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(54/100) ファスト&スロー(下)
驚き ★★★★☆
笑い ☆☆☆☆☆
やっと下巻まで読み終わりました。上巻を読んだのが去年の12月なので、およそ6ヶ月越しに読了です。
今回は、読もうと思うまでに時間がかかりました。この本、難しいんですよ(笑)さらっと読み流せるほどの読解力がなくて、普段よりゆっくり、ときには読み返さないと理解できない箇所もあります。
読書の魅力の1つは、驚きを享受できるところだと思います。「こんなんよく思いつくな」みたいな。
本書は、上下巻を通して、人間の意思決定がいかにテキトーであるかを説明しています。人は合理的(一貫的)ではない選択を簡単にしてしまう、という話です。こんな名著で、内容が濃い本を、ただの素人が数百文字で要約できるはずもないので、一部に焦点を当ててみます。
下巻で印象的だったのは、人は基準(参照点)からのズレに強く反応する、という理論です。たとえば、次のシナリオを考えてみてください。
・今日、AさんとBさんは、500万円を持っています。
・昨日、Aさんは100万円、Bさんは900万円持っていました。
今日、二人は同じように幸せでしょうか?
この質問は、本文から抜粋しています。今日だけの「状態」をみると、2人の幸福度合いは同じように思えますが、昨日、100万円しか持っていなかったAさんは、Bさんに比べてずっと幸せなはずです。
さらに、人間はズレの中でも、プラスよりもマイナスに強く反応する、というのです。本書ではこれを損失回避と呼んでいます。同じく、次のシナリオを考えてください。
問題1:あなたはどちらを選びますか
① 確実に900万円もらえる
② 90%の確率で1000万円もらえる。
問題2:あなたはどちらを選びますか
① 確実に900万円失う
② 90%の確率で1000万円失う
たぶん多くの人が、それぞれ①、②を選んだと思います。これって、合理性という観点からはおかしな選択をしていることに気づきましたか?
問題1で確実に900万円もらえることに価値を置いたのにもかかわらず、問題2では損失を恐れリスクを追求したのです。
こんな感じで、人間は日常生活のなかで非合理的な選択をめちゃくちゃしてるようです。それに気づいていないんですよね。
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思えば冒頭の本書に対する評価も合理性に欠いています。この★マークの数は、僕という評価者の主観をもとにして決められています。もっと言えば、上巻を読んだうえで、下巻を読んだ後の自分が決めた評価です。
何が言いたいかというと、下巻を先に読んでいた場合、★の数が変わっている可能性が高いということです。上巻を読んだとき、人間の意思決定の適当さを指摘され、雷に打たれるような衝撃を覚えました。それを経験したのちに読んだ下巻は、驚きという面で上巻に及びません。この評価は、上巻下巻の内容に優劣があるというより、基準点の違いから生じた可能性が高いのです。つまり、基準点が変われば人は同じものでも異なる評価をつけてしまうの典型ですね!
これを読んで応用できることとしては、合理的な判断をするために、自分の決定を他人にも聞いてコメントしてもらう、とかですかね。とにかく、人間の不完全さに気づかされる衝撃の本でした。
それから、読んですぐは何気ない買い物がちょっと苦痛になると思いますよ笑
もう一歩だ!