ロナルド・ドーア「金融が乗っ取る世界経済」
私欲の追求を止めないアングロサクソン世界への懐疑。
リーマンショック後、無反省に復元される高額報酬。
ウォール街の影響力を排除しきれない歪んだルール形成。
見えないところで進む金融エリートの強欲な言動を知ることができる。
胴元の安全性を担保したうえで参加者から確実に搾取するという点で、金融商品はカジノであることをあらためて認識できる。
巨大金融会社のトレーダーたちは、本来ハイリスクとセットであるはずのハイリターンのゲームに、ローリスクで参加している。
彼らの言動が一貫性を欠くことにも怒りを覚える。
平時、自由な競争を主張し、有事、公的な救済を要求する。
日本が元々の国民性に反して、英米型の考え方への追従を強めている原因についての指摘も的を射ている。
すなわち、政治経済の中核に占める英米帰国組の比率の高まりだ。
彼らは時間とカネをかけて学んだ理論や言語を無意識のうちに周囲に押し付ける傾向が強く、そのことに驚くほど無自覚である。