水野和夫「株式会社の終焉」
世界は歴史的な転換期にある。
有識者や権力者が信奉する「成長」「グローバル化」「競争」といった観念は既に時代遅れのものである。
薄々感じ始めていたことを定量情報や歴史を用いて論理的に整理している。
マネーゲームとの決別を意図したトヨタの新型株式。
陸の国の時代が来たことを告げる英国のEU離脱。
やり過ぎた部分の調整を象徴するジャンボジェットやコンコルドの引退。
たしかに、全てが歴史の必然であるように思える。
個人的な経験も加えるならば、「株式会社という考え方が好きではない」というベンチャー創業者に最近出会った。
自由度がなくなることよりも、背景にある思想やそれが体現している世界観のレベルで違和感を感じるという。
著者が言うように、「より速く、遠く、合理的に」から「よりゆっくり、近く、寛容に」へ、ものごとを考える際の基本方針を変えていきたい。