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集客に役立つ、3つの編集者的まなざし

このブログでは、地域の観光振興を進めるにあたり欠かせない「人を集める」技術を、当方が旅行雑誌の編集者として培ってきて、現場で活用した内容について記しています。
当方プロフィール

㈱リクルートの旅行雑誌『Abroad』や『じゃらん』など編集を15年余り経験し、その編集の現場で「人を動かす」実践的技術を培いました。その後、『千葉あそび』というメディアを作り、体験プランへの多くのブッキングを得ることができました。このブログにおいては、これら集客に活かすことができた編集技術に共通にあった考え方をぐっと抽象化して、3つお伝えします。
(写真:『世田谷梅まつり』(2025年3月2日撮影) 


1 観光情報とは、すべてが「お慶び事」

もっとも大切なことは
「観光情報とは、そのすべてが「お慶び事」である」
と深く心に刻むことだと考えます。
このスタンスの有無でその後の情報を扱う局面で大きく差がついてきます。

以下がそのセルフチェックポイントです。
□その企画に、お慶び事が含まれているか?(1)
□そのお慶び事は、読者が享受できるか?(2)
□そのお慶び事は、どうして生まれたか?(3)

順に紐解いていきましょう。

(1)   お慶び事を含むには?


企画やプランとは、主催者が考えに考えて作り出したものですから、それは「今までに世の中になかったもの」です。それがリリースされる時とは、言ってみれば、赤ちゃんがこの世に産声をあげた時です。
今までに世の中になかった「赤ちゃん=価値」が生まれた瞬間なのです!パパやママと同じ喜びとささやかな「自分たち、よくやったよね!」という喜びがあるはず。その喜びを隠さずに、読者とわかちあう姿勢がとても大切かと思います。
セルフチェックの仕方として効果的なやり方は、文頭に「新しいのは〇〇〇~」または「喜ばしいのは〇〇〇~」とつけて、声に出して言い切ってみることです。この「新しいのは」「喜ばしいのは~」という言い出し文句をつけても後にスムーズに続けられるなら、それは価値がある証です!残念ながらなかなか見つからなかったり、違和感があったら、それは、企画フェーズに戻って、そのプロダクト自体を見直しましょう。そしてよりうれしい「お慶び事」作りに励んでください。

(2)   読者に享受していただくには?


読者の心をがっちり掴むために、お伝えしたい11個の観点があります。
11個も「武器」があるということ、ちょっとうれしいですよね!
プロセス順に記すと。
❶3つの魅力創出法・「わける」「あわせる」「かける」で魅力を生み出す
❷3つの基本因子・・「笑い」「驚き」「誘い」で感情に訴える
❸3つの強化軸・・「今だけ」「ここだけ」「あなだけ」で行動を促す
❹2つの表現基軸・・「ストーリー力」「ナラティブ力」で印象を強める

です。

これらのより詳しいトリセツは、大学生向け連続講義や、各種社会人向けの機会などで、伝えていますが、ここでは紙面の関係もあり、一つだけお伝えします。
上記11の武器の中で、観光集客の現場で、もっとも手軽で扱い易いのは「今だけ」かと思います。「今だけ」は言い換えれば、「時間」軸から価値を創出し、行動を誘引することです。

時間を、区切ったり、伸ばしたり、密度を濃くしたり、特定の時間を意味づけしたりすることで「今だけ」が生まれるんですね。

わかりやすいのは、季節の花の見ごろ、年中行事などです。
(あまりにもわかりやすいので、より価値を高めるとしたら、「時間」同士を重ねることもありです。たとえば「一定期間」×「年」の掛け合わせ。具体的には「梅の見頃」×「今年」で、「昨年とは違ったテーマの梅まつり」が考えられ、「今だけ」効果はさらに高まります。)

他にもパン屋の「焼きたて」ディスプレイや「周年祭」なども時間上の価値を強化した例って多いですよね(著書の中には一覧表で紹介しました)。

さらにおすすめは、目を転じて読者サイドに立つことです。一度読者軸(行動様式やライフステージ)に立つやいなや「時間がない人のための駆け足弾丸ツアー」「見逃し配信」とか、「誕生月の特別サービス」「リピーターのためのゆったりステイ」などどんどん考えられます!楽しくいろいろ発想を広げてください。

(3)   お慶びごとが誕生した理由は?


最後に。
大切なことは、主催者側からのメッセージがあることかなと思います。主催者の思いを共有しましょう。なぜこのタイミングで、こんな企画を作ったのか? 「主催者の想い」が、読者に伝わり、納得され、共感が生まれれば、訴求力は高まりますし、場合によっては、ファン作りの一歩になり応援までされます。表現の仕方にこだわって、ぜひ、御本人の想いが正確に伝わるように工夫したいですね。

以上駆け足で記しました。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!著書には具体的な事例など数多く掲載しておりますので、あわせて御覧いただければうれしいです。

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