ラダー瞬間1位・機体型告別コントロールというアーキタイプ
団結のドミナリア発売後のスタンダードは黒を中心にして回っていた。
何故なら、強いカードが揃っていたからだ。
私はクソデッカーなので、強いカードをかき集めて60枚のリストを作ることは不得手だ。
しかし、特定のカードに対して強いカードでデッキを構成することは得意だったりする。
1. 黒の支配する世界
団結のドミナリア発売直後のスタンダードは黒が隆盛していた。
ドロー。除去。ライフレース。全てが可能な黒単やラクドスは、環境初期において「打開することが難しい」デッキに見えた。
私だってクソデッカーのはしくれだ。環境初期は誰も気が付いていない面白コンボで戦いたいところだが、面白コンボがヴェリアナに勝てるわけがない。ヴェールのリリアナは手札も盤面もむしりとっていくことに定評があり、スタンダードリーガルだった記録のある歴代3マナプレインズウォーカーの中で2番目に強いと言ってもいいカードだ。(異論は認める)
ヴェールのリリアナがコンボデッキに対して力を溜める選択を与えないカードだということは、モダンで嫌というほど付き合わされたのでよく思い知らされている。
しかし一方で、こいつは鹿の人とは違って万能ではない。
布告はあくまで相手に選択権のある除去だ。プラス能力はアドバンテージを得るものではない。
お互いにカードを捨てていく状況を想像して欲しい。
あなたは更地にヴェリアナをコントロールしている。手札は自分が2枚。相手は4枚。
あなたの持つ2枚は、現状あて先の無い除去だ。
あなたはリリアナのプラス能力を起動することにした。
相手が捨てたのは土地だった。
相手に追加の土地が不要であった場合、このヴェリアナのプラス能力はあなたにとって痛みを伴うものとなってしまう。
手札が0であればノーリスク。しかし、お互いが手札を持っている場合、ヴェールのリリアナのプラスは手札(=余分な札)を多く持つ側に利する。
ヴェールのリリアナを場に出す、という選択を選んだ時点であなたの手札は1枚減っており、墓地から帰ってくるカードを採用しない限り、ヴェールのリリアナのプラス能力があなたにとって利となることは、それほど多くはない。
そう。現スタンにはいるのだ。墓地から帰ってくるプレイアブルな犬が。
私は負け犬とヴェールのリリアナの組み合わせを「マゾ犬パッケージ」と呼んでいる。この2枚は相互に補完が取れており、スタンダードでクソデッキを作るうえで乗り越えなければならない基準のひとつだ。
ヴェールのリリアナはお互いの手札を絞る。お互いがマナフラッドし始めたタイミングで負け犬が墓地から帰ってくる。負け犬はヴェールのリリアナでは手出しできないプレインズウォーカーを落とすことができ、ブロッカーはリリアナで排除できる。
ライフが足りない?
ならば黙示録、シェオルドレッドの出番だ。
お互いマナフラッドしている状況であれば、こいつが場に定着することは想像に難くない。
ヴェールのリリアナでは対処できないものは結構ある。
例えばライフ不足。例えば面展開。例えばプレインズウォーカー。
しかし、それらが黒いカードで対処できないわけではない。
結局のところ、生半可なデッキ構成では、黒いデッキの根幹部分に対して膝を屈することになってしまう。
乗り越えるべき課題のすべてを一度に解決することは難しい。
そういうときに必要な作業は細分化だ。
白には放浪皇がある。
4マナ立てることで相手のアタックを抑制する効果が期待できる。
相手のアタックを抑制するカードと全体除去は、相性のいい組み合わせだ。
こういった重いカードを用いる戦略は、ヴェールのリリアナのプラス能力で捨てることのできる、余分なリソースを持てないという構造的欠陥を抱えている。
ならば、軽いカードで余計なリソースを確保してしまえばいい。
アンチデッキを作るに足る道具が環境にある。
私がそう確信するのは、少し後になってからだ。
2. 青白築城コントロールの可能性
マゾ犬パッケージと対になるはずの犬築城パッケージ。
これを青白コントロールで使ってみることにした。
ちなみに上のリストは犬築城パッケージ搭載前のゴミだ。
先手3ターン目のヴェールのリリアナが通れば負けまで一直線。このデッキは環境デッキに勝たず、それ以外のデッキにも勝たないファンコントロールでしかない。一生CPUでも冷やしとけ。
私はなぜ青白コントロールに犬と永岩城の修繕を入れたのか。ヴェリアナ対策という面もあるが、それ以前の話として土地が26枚では足りないからだった。
クソデッカーは覚えている。29枚目の土地としてジュワー島の攪乱をいれておけばよかったあの頃を。ストレスフリーなスタンダードを実現した裏面土地の面々を。彼らは下環境では土地0デッキを作った悪名高いカードだが、スタンダードではゲームのプレイ感を非常によくしてくれた名カードだった。私は彼らが再びスタン環境に来てほしいとさえ思っている。
さて実戦。神憑く相棒と永岩城の修繕パッケージを搭載した青白コントロールは、土地をきっちりと伸ばせるデッキとなっていた。
アグロに対しては3ターン目に永岩城の修繕。4ターン目に全体除去で修繕を場に残したり、2章で土地を捨て、ランパンとして運用することで本来は間に合わない告別を5ターン目に打てたり。
なるほど、確かに犬築城パッケージは現環境においてプレイアブルらしい。
ではこの青白コントロールがプレイアブルなのかと聞かれれば、残念ながら否だった。
犬築城パッケージを採用した青白コントロールは、プラチナ帯で勝てるデッキではあった。しかし、9/6にダイヤ帯になった瞬間、暗雲が立ち込める。
このデッキはいかにも青白コンのような見た目をしているが、結局のところノーケアブッパに対して告別が通って勝っていただけだったのだ。
あとデッキの構造的に滅茶苦茶マナフラッドする。
それはもう笑えないぐらいマナフラッドする。
カウンターの枠にかき消し、除去の枠に運命的不在取っておいて、長期戦戦えます? 面白い冗談ですね。ソーサリー型ボードコントロールで、軽いインスタントドローもなしに船砕きの怪物を運用する? お薬処方しますね。
端的に言うと、採用カードとデッキレンジが噛み合ってないという話になっていく。
コンセプトは「一番遅いデッキ」なのに、長期戦をすると損するカードが多すぎる。だから船砕きの怪物で手早くゲームを畳みたいのだが、腐っていた除去が飛んできてうまくいかない。
だからラスがぶっ刺されば勝つだけのデッキになってしまっている。
このデッキはラダーのプラチナ~ダイヤ4までしか回されていない。環境初期ということもあって相手の練度が高いとは正直言えないので、勝っているデッキ群に対して有利だとか意味のあることを言うことは出来ない。
だからこそ、負けているデッキ群に対してははっきり言える。
この青白コンは、ラクドスに構造上勝てない。
マスカンが多すぎてライフが足りない。
長引けばカウンターが腐ってマナフラッドして死ぬ。
(黒のいつものファミリーは割愛)
現環境は相手の攻め手が多様であり、非パーマネントによる対応型デッキには限界がありそうに見えた。
それでも(デッキが思いついたわけでもないし)青白コンを調整しようとしていたとき、あるフォロワーがこんなことを呟く。興味が湧きデッキについて聞いてみたら、「レンジの問題、白単で組んだら解決しそう」という答えが帰ってくる。
ちょっといじって回してみたら、これが存外面白い動きをするうえ、結構勝てるのである。
3. 白単コントロール? 白単ミッドレンジ?
白単コントロールの強みは2つある。
ひとつは単色デッキであるがゆえに強い無色土地を大量に取れる点だ。採用されている無色土地は、水晶の岩屋4、メカ格納庫3、道路脇の聖遺3。
電圧改竄メカを使うことでミシュラランドに近い運用が可能となったメカ格納庫を3枚採用した上で、キャノピーランド3枚、スクライランド4枚を採用することが出来るデッキは、クワドラブルシンボルにとらわれている現スタンダードでは他に無いと言ってもいい。
もうひとつは、告別を強く使うことが出来る点だ。
青白コントロールにおける告別は、相手のパーマネントを後腐れなく追放するカードでしかなかった。
白単機体における告別は、相手のクリーチャーや墓地を追放したうえで、自分の機体を残すカードだ。
コントロールは自身の唱える全体除去で吹き飛ばないカードによって成立する。
たたき台のリストを見た瞬間、調整する価値を感じた。
私が最初にとりかかったのは2マナ域の検討だった。
3ターン目に永岩城の修繕を置く場合、2ターン目にクリーチャーを置かなければすなわち3ターンマグロとなることを意味する。
全体除去が7枚入っているとは言え、流石に何かしらの介入手段がなければ相手のキルターンに間に合わせることが出来ないだろう。
とはいえ、ただ除去を打つだけでは結局マナフラッドまたはマナスクリューして負けることになる。青白と同じ轍は踏めない。
初動の安定枠として野心的な農場労働者は神憑く相棒に勝る。
神憑く相棒にやって欲しかった仕事のうち野心的な農場労働者では出来ないことは、エンチャントの生贄要員になることと終盤の1ドロー。
このうち終盤の1ドローは代替が効きうる。
本来、平地をサーチすることによる山札の圧縮効果はゲームにおいて無視してもいいのだが、このデッキでは山札の半分以上をドローで手札に加えることがそれなりにあり、山札圧縮は軽微なれど軽視出来ない効果がある。
強くもない2マナのカードをわざわざ取るのだ。2ターン目において強いカードを無視してはいけないと、私は考えた。
犬にも強みはあるので散らしての採用。
増減を繰り返しつつも、2マナの実質ドロー生物は一時的に6枚まで増えることになる。
なお、調整終盤になると2マナ1/1では勝たないし盤面を止め切れないという根本的問題にぶち当たって2マナ域は減っていった。優秀な繋ぎのカードが見つかったから減ったとも言えるが。
続いて気になったのは、カーンのパッシブさである。
コントロールとして戦う場合、こういった重いドローは必要だと言える。
選択的ドローなので、終盤は全体除去にアクセスするカードにもなりえる。
しかし、プレインズウォーカーは絶望招来で処理されがちな環境でもある。
カーンは仕事が遅いタイプのプレインズウォーカーだ。プラスの返しに絶望招来で落とされると、思わず苦笑いしてしまう。
このデッキには、布告除けプレインズウォーカーとして場に出たときしか仕事をしない放浪皇が入っている。
とはいえ、環境は低速なれどカーンを4ターン目にポンと置くことを許容してくれるわけではないように感じた。そもそもこのデッキは3ターン目までほぼマグロであり、仕事の遅いプレインズウォーカーの定着は簡単なことではない。絶望招来で生贄に捧げさせられうるし、そもそもシェオルドレッドのせいでライフが足りないことも多い。カーンを出すことに4マナを使うことを、相手がいつも許容してくれるとは限らない。
結局のところ、マジックはお互いのライフを削りきるゲームなのである。カードアドバンテージを得る行為は、相手にライフを削りきらせないための手段だ。目的であってはならない。
コントロールデッキは、カードアドバンテージを得る手段とライフを保つ手段。両方があってこそ成り立つ。
しかし、どちらかを選ぶ必要があるとしたら私は答える。
ライフを、いっぱいください。
機体に絆魂をつけて殴ることが出来れば、ダメージレースは成立しえない。
エルズペスは、五分~自力勝利無し盤面を一瞬で安全勝ちに変えうるカードだった。
機体はコストの割にサイズが大きい。そのうえソーサリー除去が当たらない。絆魂を持った機体が定着すれば、安全に勝てることは想像に難くない。
エルズペスは5マナだ。しかしカーンのマイナス能力を使うことを考えれば、エルズペスの方がカーンより軽いとまで言える。
ただし、エルズペスではドローが出来ない。
出来ることはあくまでライフを増やすことだけ。
もう少し器用なPWが白にも欲しい。例えばヤヤみたいな。
無いものは無いのだが、欲しいものは欲しい。
序盤にテンポ損しやすい構成ではある。だからこそ白行進をマナ損して打つことになるのがどうしても気になった。だから1枚まで減らしている。
代わりに入ったカードは聖域の番人だ。序盤用のカードではないが、割り切って採用することにした。アグロ系の相手はサイド後の私に押し付けることにした。あれ本当に大丈夫か?デッキ重くし過ぎてないか?
調整期間中、私は半月以上悩み始めることになる。
このデッキはコントロールなのか? ミッドレンジなのか?
どちらかに振り切った方がいいのだろうか?
この回答は保留となる。今でも答えが出ていない。
はっきり言えることは、どちらだとしても運命的不在は弱いカードだということだ。
確かに広い除去ではある。
しかし、相手に手掛かりをひとつ与えてしまう除去でもある。
このデッキは、相手が手掛かりを割るまで付き合うデッキだ。
疑似的なバウンスでしかないカードを、序盤に打つ前提の枚数となる4枚も取ってはいけない。
それで黒系相手に毎回サイドインする婚礼の発表をメイン4に増量してみて……とデッキをいじり続けていたときに事件が起きた。
環境に合わなくなったのか。うっかりデッキを壊したのか。
おそらく後者だ。
私の9月期のラダーはこの日に終了した。
4. ミッドレンジ+告別
この白単、後手番が脆い。
2ターン目に置けるのが1/1で、3ターン目に出るクリーチャーの最大サイズが1/1で……となれば、後手番でサイズ差を押し付けられるのは必然だと言える。
ある程度の部分を原案者のリストに戻し、再びイチから試してみることにした。
盤面を止められない問題は、原案者イチオシのクリーチャーである魔道士の従者を用いて応急処置を行うことにした。こいつはパワー4相当なので、電圧改竄メカの搭乗要員を1枚で確保できるのだ。(テキストを読み上げただけ)パワー3あれば、相手の3マナ域とそれなりにぶつかれるのが今のスタンダードだ。
また、白行進をメインボードに採用しなおし、後手番でのテンポ損を減らそうともした。皮肉なことに、白行進は勢団の銀行破りに当たるため、低速化したスタンダード環境では一周回って取り回しのよい除去となっていた。
クリーチャーを増やし、コントロールからミッドレンジへの移行を始める。しかし、多少いじったところで根本のゆがみが解消出来たわけではない。軽いアクション、特に2マナ域がしっくりこない。
10/1、1日だけラダーRTA走者となって瞬間1位を獲得してみたものの、確かに嬉しくはあるが初日のプラチナ~ダイヤ帯に勝ったから何だというのか。構成に納得がいかない状態は続いている。
白行進を戻した今、デッキリストが弱いとは思わない。
でも何かが足りない。特に2ターン目に気軽に出せるカードの、強いパーツが足りてないことだけは分かっていた。
ぼんやりとカードプールを見ていたら、あるカードが目に入る。
2マナでタフネス3を討ち取れる絆魂持ち。
パワー3であり、搭乗要員として及第点。
キッカーを1回払えば電圧改竄メカにも搭乗出来る。
終盤多重キッカーすれば、機体や婚礼の残したトークンで大ダメージを与えることが出来る。
疑似除去として優秀な2マナのカードが、フィニッシャーになりえることに気が付いた瞬間だった。
懸念点があるとすれば、1マナ除去の基準である切り崩しが当たることぐらいか。
とはいえ、どうせ3マナ以下のクリーチャーか除去から選ぶことになる枠だ。どのみち切り崩しは当たる。ダメもとで白敵対者を試して、カードパワーの高さと噛み合いの良さに驚いた。
このデッキは早いデッキではない。つまり絆魂の価値が高い。
このデッキは土地が伸びるデッキだ。終盤は3回キッカーすることもある。
豪胆な敵対者は疑似除去として使い捨て、終盤釣りあげてフィニッシャーに転用することが出来るユーティリティクリーチャーだった。
フラッドの遠因となりえる除去を積むより、積極的な選択に思える。
とまあベッタベタに褒めてはいるが、問題点もある。
重ね引くとイマイチなのである。
メインに3枚はとりすぎだった。
2マナのカードは結局、2ターン目に2マナで出すのが一番強い。
最終的にメイン1、サイド1に落ち着いた。
まだまだ低マナ域を探す旅は続く。
5. 調整に終わりはない
食肉鉤禁止前後の白単は、メタ上位のデッキの中でエスパーを唯一苦手としていた。
食肉鉤虐殺事件の禁止でエスパーが死滅することはおそらくない。
おそらく今後もトップメタの一角であり続けるだろうと考える。
であれば、白単には打開義務がある。
当時、3マナ域には魔道士の従者が入っていた。
そして、原型の製作者はサイドに選定された平和の番人を入れていた。
私はこのカードを高く評価していなかった。
正確には「サイドカードとしての選定された平和の番人」を、である。
このカードのテキストが強いことは分かるけど、何を抜いて入れるつもりなのよ。丸いだけじゃん。
じゃあ、メインに入れればいいのでは?
従者は非クリーチャースペルを1マナ重くする。ただし自分も1マナ構える必要がある。
平和の番人はマナを構える必要がないし、2マナ重くなる。
上位互換である。(アンコモンでは、レアに勝てなかったよ……)
こういった見落としは、少人数でいじっていると見過ごされやすい部分だと思う。しかし、デッキのクオリティーに大きな影響がある部分でもある。
最初は平和の番人をメイン2枚で運用していたが、テキストがただひたすら強いカードだったのでメイン3枚になった。
強いカードではあるが、デッキのキーカードである告別に敬意を払い、3枚の採用で十分だろう。(こういう思考停止が見落としを生むのだが)
私は、平和の番人が採用されたデッキでまじすと予選(ストリーマーが集まる大会)の3日目を4-0して抜けた。
デッキパワー自体は問題がないと感じている。
少なくとも、ミシック帯の2桁を漂うことが出来る程度には強かった。
とはいえ、デッキ構造に欠陥があることも感じていた。
放浪皇の受けがないのは、そのうちのひとつだった。
放浪皇はシステムクリーチャーの軽率なコンバットを咎めるカードであり、現代に蘇った残骸の漂着だ。
例えば、デッキが青い。であれば、相手が攻撃を自重したときにインスタントのドローソースを唱えるといった選択を取れる。
しかしこのデッキは白単だ。銀行破りが無ければ放浪皇のために構えた4マナでは「放浪皇を唱える」ことしかできない。
これは、ソリッドなコントロールと放浪皇の相性が悪いことを示している。
構えた放浪皇が、過剰に透けてしまうのだ。
この問題を解決するために、4マナ程度の、裏択となる瞬速を持ったカードが必要に思えた。
まじすと決勝一週間前。私はカードプールをひと通り見直すことにした。
正直期待はしていない。そんな都合のよいカードがあったら既に使われているに決まっている。そもそも私の目は節穴ではない。嗅覚が真っ先に反応しているはずなのだ。
私の目は節穴だった。ついでに鼻も詰まっていたらしい。
放浪皇の受けとするカードに求めることは奇襲性である。
「どうせ放浪皇だろ」と思っている相手の裏をかくことだ。
ただ瞬速と書いているだけのクリーチャーでは出来ないことが出来て欲しい。
除去に対して破壊不能をつけて躱す。
ブロッカーに破壊不能をつけてサリアを討ち取る。
これらが出来る香醍は、奇襲性が非常に高いカードに見える。
当然カスレアなのでケアされることもない。
私は自分の白単デッキについてTwitterや動画で情報を発信していた。だから、まじすと本戦出場者にはデッキリストがほぼ割れていると考えていい。
このデッキの歪みかつ強みである告別は徹底的にマークされている。ラダーで定期的に発生する告別どしゃくりは期待できないと言っていい。
メインボードに香醍を忍ばせる。
不意打ち一発勝負の、4マナの小刀。
ラダーでは試さなかった。(順位が妙に高いせいで試せなかった)
そして、まじすと決勝当日。
1枚差しの香醍は、限られたゲーム数の中で、大仕事をこなしてくれた。
右手が強かったこともあり、私は白単でまじすとを優勝することが出来た。
予選から通算すると10勝1敗。
BO3ラダーの直近20戦の成績である18勝2敗に近い成績が残せた。
細かいミスはそこそこあったが、コントロールはプレイ方針を間違えさえしなければ致命傷になりづらい。リーサル逃し程度では簡単に勝敗が入れ替わらないのが骨太なコントロールの強みだ。私はデッキにプレイヤー不適格を捺されなかったことに安堵した。
私の調整してきたデッキは(決勝参加者は12人だけど1回戦シードだったので)1/8以上の確率で抽選を受ける権利があるデッキだとは思っていた。
とはいえ、優勝出来たのは運の要素が非常に大きいとは思う。
もちろん最初から最後まで一貫して運が良かったわけではなく、土地を詰まらせたゲームがあればダブルマリガンを選択せざるを得なかったゲームもある。それらひっくるめて、優勝は運が良かった結果だと感じる。
それでも。
これが最強のデッキだと言うつもりはない。世界選手権に白単コントロールなんて居なかったから言えるわけがない
それでもこなしたマッチ数は裏切らなかった。
あと2週間でスタンダードに新しいパックが追加される。
ソリッドな白単コントロールが新しいカードプールに適応できるとは限らないし、出来る限りのことはするつもりだが、個人的には適応出来ない可能性の方が高いと考えている。
私の調整が無に還るときまで、時間はそれほど残されていないのかもしれない。
それでも。
最後の1枚。香醍に至るまでの過程はクソデッカーなりに全力を尽くしたと。胸を張って答えることが出来る。
6. マッチアップの概観
私は、サイドボードの大枠こそ決めているが、何をどこまで入れ替えるのかはその場で決めるべきだと思っている。
例えば、ラクドスがサイド後、切り崩しを2回打ってきたとする。
であれば剛胆な敵対者のサイドインには慎重になるべきだろう。完全なサイドアウトを検討してもよい。この場合の正しいサイドボーディングは「私が言っていたから」剛胆な敵対者をサイドインすることではなく「相手が切り崩しを残しているから」当たり先である剛胆な敵対者を1枚にとどめるか抜き切ることだ。(意地を張って豪胆な敵対者を残すプレイヤーは正直嫌いではない。私だって残したい)
とはいえ、いきなりリストを渡されて回せる人間は多くない。見たことが無いデッキであれば特に少ない。
だから簡単な指針だけを書いておくことにする。
VS黒単・ラクドス
・ライフが無くなると負けるマッチアップ。
・たまにソリンが定着して負ける。
・コントロールとしてふるまい、終盤ライフリンク持ちの大型で殴って勝つのが基本パターン。
・黒招来のための布告除けは残す
・シェオルを落とすため、破壊系の全体除去を1枚サイドイン
・黒単相手は邪悪を打ち砕くを抜き切ってもいい。ただしシェオルを破壊出来るカードの枚数は維持しなければならない(=全体除去または勇敢な姿勢との交換)
・相手のPWが少ない場合、電圧改竄メカを1枚程度サイドアウトしてもよい。
・相手が除去コントロールとしてふるまおうとする場合、重くてカードアドバンテージの取れるカードをサイドインする。
VSエスパー
・多様な攻め手を上手く捌かないと負けるので難しいマッチアップ。
・フラッシュからレジェンダリー、果てはコントロールまで存在するので色だけでは正直はっきりとしたことは言えない。
・最初に相手のエスパーが瞬速構成かタップアウト構成か、低速か中速かを考える。タップアウト構成の場合は、多少もたついても告別のような全体除去が上手く刺さることが多い。
・ラフィーンを定着させるとだいたい負けるので勇敢な姿勢はサイドイン
・告別は通りさえすれば復帰を許さない展開がありえるので、サイドアウトは慎重に。
・相手のPWが少ない場合、電圧改竄メカを1枚程度サイドアウトしてもよい。
・相手に絶望招来が無い場合、神憑く相棒はサイドアウトを考える。そのときは出来るだけ2マナのカードを入れてテンポ負けを避ける。
ジャンド
・相手に依存する度合いが高いマッチアップ
・アドバンテージを取る置物は割られるが、ジャンド側はメインで告別に対する対抗手段を持たないことが多い。
・婚礼の発表はあくまで布告除けと割り切る。除去を吸ってもいいためサイドアウトすることは稀。
・ギックスの残虐複数枚、産業のタイタン複数枚が入ってるような「重いジャンド」が相手の場合、告別でドシャクリする以外で勝つことはほぼ無い。
・とはいえ「重いジャンド」を使うプレイヤーは重いカードをポンポン投げるのが大好きなので、意外と告別でドシャクリ出来て勝てる。(当然状況にもよるが)対戦相手から血トークンでサイクリングランドをディスカードするアクションを観測した場合、マナ効率を重視して告別をケアしないプレイを観測する確率が高い。
・ギックスの残虐をケアするため、採用が無いと見切ることが出来るまではプレインズウォーカーやクリーチャーは早めに投げる(特に大型クリーチャーはハンデスで落とされると勝敗を左右しうるので急ぐ)
・パッと見勝てなくても諦めない。告別を早く切り過ぎない。
赤x系アグロ
・ライフが無くなると負けるマッチアップ。
・盤面を1回カラに出来れば復帰が難しいことが多い。
・2マナのクリーチャーはサイドインを考える。
・邪悪を打ち砕くなどは抜いて、サイドの広く当たりそうな除去や軽めの全体除去をサイドインすることを考える。相手の速度次第で告別を抜くことを考えてもよい。
・相手のクリーチャーにタフネス2が多い場合、サイドアウト枚数が足りないなら神憑く相棒と永岩城の修繕を抜く。婚礼の発表を抜くことも考えてよい。
セレズニアエンチャントレス・バントフェスティバル
・告別(全体除去)を撃てば勝つ。
・打てなければそこそこ負ける。
・告別にアクセスしやすいドローソースであるカーンをサイドインする。
・土地を伸ばす・ドローするカードのサイドアウトは慎重になる。
・婚礼の発表はあくまでトークンを出すカードなのでサイドアウト可能だが残しても仕事はある。
・正直、告別ってリストに書いてあるだけで7割勝つと思う。
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