『LAMB/ラム』評:サボるな!(ネタバレ有)
早稲田松竹という映画館へ『ザリガニの泣くところ』目当てで馳せ参じたところ、『LAMB/ラム』という名前だけ聞いたことある映画と2本立てで上映されていたのでついでに鑑賞してきました。
お金を払って見てきましたが、アマプラでも見られるそうです。(2023年1月)
一言で言うと、最近評価されてる系の映画、言葉で伝えると言うことをサボり過ぎじゃね?
映画の冒頭はこれでもかってくらいのアイスランドの大自然とひたすらに羊飼いの日常。この『ナショナルジオグラフィック』と『ザ・ノンフィクション』の中にラストへ繋がる羊さんの一人称視点のシーンも組み込まれていたのですが、基本的にBGMほぼなしで淡々と時が流れるのでこの伏線に初見で気付くのは素人には無理です。
で、そうこうしているうちに飼育している羊が「羊ではない何か」を産みます。この「羊ではない何か」の正体は結構勿体つけた演出になっていますが、事前情報でケンタウロスの反対ver.の半人半獣(羊)だってわかっているので「あ〜はいはい。これがアイツね。」って感じでした。
夫婦は割と半人半獣をすんなり受け入れ「アダ」と名付けて我が子として育て始めます。どうやら羊飼い夫婦は娘を亡くしたことに対して大きな後悔があること、そして娘の名前は「アダ」だったと高い確率で推測できるシーンがありますが、この映画は言葉で伝えることをサボるので推測の域を出ません。
この映画の一番キツいところは、この『世にも奇妙な物語』状態の中に
『世にも奇妙な物語』には絶対にいる「みんなどうしちゃったんだよ!」って叫ぶキャラクターがいないことです。映画の途中、羊飼い夫の弟が登場して「しっかりしろよ!」ってな感じで夫婦にツッコミを入れてますが、15分もしないうちになんのキッカケもなく『世にも奇妙な物語』に取り込まれます。その間をさ…、説明してくれよ。
ちなみにこの弟もなかなか食わせ者でした。弟は隙さえあれば羊飼い妻を誘惑し、拒否られてるのにめげません。この後の展開で羊飼い妻はアダの母羊を撃ち殺すのですが、なぜか弟はこの事実を知っています。もしこれが「サリーとアン」課題(注1)だったら弟は知らない事実なんですけど?何、私の見てないところで話してたわけ?
それから羊飼い夫とアダが外出している間に羊飼い夫が撃ち殺されます。撃ったのはアダと同じ半人半獣の成体(筋骨隆々)(めちゃくちゃCG)。なかなかグロテスクだったので噴き出しこそしませんでしたが、「マジかー^^;」っていうなんとも言えない感情が。そしてアダはアダの父らしき半人半獣に連れ去られ、2体が去った後に羊飼い妻が駆けつけて夫の亡骸を見つけ泣き叫びます。で、なぜか急にスンと前を見据えてEND。え?
私めは素人なので「要は羊飼い妻への因果応報ストーリーってことかいね。」という理解しか出来ませんでしたが、どうやらキリスト教のなんとかとか、ギリシャ神話がどうとか、そういう読み解き方をする映画らしいじゃないですか。(人様の考察ブログ情報)羊っていうのもキリスト教の世界では男性の象徴だとか。(人様の考察ブログ情報)最後羊飼い妻が前を見据えていたのは妊娠していたからだとか。(人様の考察ブログ情報)
もしかして人様の考察ブログだけ読めば良かった…ってコト!?
考察が必要な映画はもちろん嫌いではないんですが、考察で読み解かれることがメインテーマで、表層から読み取れるものは極端に少なくサブテーマの映画は不誠実だ、と大声で言いたい。あんなの初見でわかるのは映画オタクしかいねーだろ、と超大声で言いたい。
この辺を素人を代表してしっかり発信しないと、知らない人のアフィブログ見まくらないと理解できない映画が量産されちまう。もっと説明してくれ!
ところでこの映画の中では、何か展開する時にドゥーーーーーンという音と共に主要人物の顔がアップされます。羊飼い夫婦や羊はなんとなくわかるのですが、ちょくちょく出てくる猫もアップになっていたのがウケました。
総評としては星0個。なぜなら犬が無意味に殺されたからです。