映画「ゴヤの名画と優しい泥棒」(2020年)を飛行機で観た
チェコ旅行の復路の機内で立て続けに観た映画の2本目は、イギリスらしい(のだろうと思う)映画「ゴヤの名画と優しい泥棒」。
邦題がいかにも説明臭いですが、原題は The Duke 。ゴヤが描いた名画「ウェリントン公爵」がロンドンのナショナル・ギャラリーから盗まれるという実話をもとにしたお話です。
※ネタバレありです。
主人公は初老の男性。年金生活者の彼は、老人の楽しみであるテレビ(BBC)の受信料を無料にする運動をしたり、箸にも棒にも掛からない脚本を書いては放送局に持ち込んでいます。
同居する息子は、父の手伝いをするなど理解者ですが、議員宅の掃除をして一家の生活を支えている妻は、夫の執筆や政治活動に冷ややか。
生活の足しにしようと新しい仕事をみつけた主人公は、しかし、正義感から差別や不公平に黙っていられず、すぐに追い出されてしまいます。
そんなときに、ナショナル・ギャラリーが多額の税金を費やして購入したゴヤの絵画のニュースを見て、主人公は義憤にかられます。そんなお金があるなら、老人たちの受信料をタダにするべきだ!と。
そして、ある夜、ゴヤの絵が美術館から、忽然と消え、「身代金」として老人の受信料無料が犯人から要求されたのです。
◇
主人公のおじいちゃんが(といっても60歳だったようですが)、美術館に忍び込んで、絵画を盗んだりできる!?
と思ったら、やはり違います。真犯人は、彼の息子。
でも、主人公は自分がやったことにして、裁判に臨みます。
この裁判のシーンが面白いのです!
主人公は、のらりくらりと、実にうまく尋問をかわして、法廷に笑いの渦を起こします。
そして、人々の心を打つ名演説。
絵画はすでに返還されているし、動機は正義感からだし、彼を有罪にする必要はあるのか?
判決はいかに!!
◇
この映画、主人公と妻がもうほんとにイギリスにいそうな老夫婦ぶり。
妻役のヘレン・ミレンって、私にとっては、「黄金のアデーレ 名画の帰還」が印象深いのですが、ぜんぜん雰囲気が違う。名優だわ~。
彼らのつつましい生活の様子やなんかも、イギリスの庶民の暮らしを垣間見ることができたようで、とても楽しめました。
観る時間がとれるなら、まずは東欧関連の映画を優先するので、飛行機の中でもなければ見ていなかったであろう作品。観れてよかったです♪