トラウマを抱えた難民の子どもたちを支える 映画「心の涙をことばにして ~今日を生きる子どもたち~」(2022年)@難民映画祭
国連UNHCR協会の難民映画祭、3本目は、故郷を逃れて、カナダに難民として受け入れられた子どもたちと、彼らを支える人々を追ったドキュメンタリー映画「心の涙をことばにして ~今日を生きる子どもたち~」を観ました。
カナダはなんと毎年40万人を難民として受け入れているのだそう。
アフリカなどから逃れてきた子どもたちは、それぞれ、暴力を受けたり、暴力が振るわれるところを見たり、親族や友人との別離を経験して、カナダに来ています。
カナダで手厚い教育や生活支援を受け、落ち着いた生活を送っていても、故郷のことや、残してきた親族や、辛い過去を思い出して、穏やかでいられないときがあります。
なかには、その辛さをうまく言葉にできず、乱暴な振る舞いをしてしまう子もいます。
ある小学校の教師たちは、子どもたちがお互いを受けいれ、自分の言葉で思いを語れる場をつくるためのグループワークの研修を受けます。
その研修で、教師たちは、自分たち自身も、心のなかにあった思いを言葉にし、解放されていきます。
研修を受けた教師たちは、今度は子どもたちのグループワークをファシリテイトします。そのファシリテーションも素晴らしいですし、次々に思いを口にする子どもたちの姿にも感心します。
日本でも、小学校低学年くらいまでは、はいはい!と手を挙げて発言しますが、年齢が上がるにつれ、だんまりになっていきます。
正しいことを言わなくてはいけない、立派なことを言わないといけない、という呪縛が強いからでしょうか。大学生も、演習形式のクラスであっても、なかなか発言してくれません。
映画のなかのような、個人的な経験や思い、悩みを口にするグループワークと、大学の演習とでは、もちろん違うところもあるとはいえ、これくらい、毎回、次々次々、手が上がる授業にしたいわ。
それはともかく。
この映画に出てくる教師や研修講師の心理学者らも故国を離れてカナダにやってきた人たちであったり、まだ少女の年齢のうちに性的虐待を受けて出産し、子どもとともにカナダに来て家事育児学業を両立させながら自立の道を進んでいる若い女性であったりと、小学校の子どもたちだけでない(元)難民の人たちも出てきて、カナダに来た難民の人たちが人生を切り開いていっている姿も見ることができました。
ドラマティックな展開があるようなストーリー仕立ての映画ではありませんが、たいへん勉強になる作品でした。
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