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映画「キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩」(2021年)

ロシア国境にほど近い、現代の東ウクライナの農村が舞台の映画「世界が引き裂かれる時」に続き、1930~40年代、現在の西ウクライナの一軒の家に暮らすユダヤ人一家、ポーランド人一家、ウクライナ人一家が、次々と変わる支配体制に翻弄されながらも、3家族の子どもたちを守り抜こうとした物語、映画「キャロル・オブ・ザ・ベル」を観ました。

場所はアップリンク京都。地下鉄直結でアクセス楽々、私の観たい作品を次々上映してくれて、最近一番通っている映画館です。

映画「キャロル・オブ・ザ・ベル」 パンフレットもおすすめ!

映画のタイトルは、ウクライナで歌い継がれてきたクリスマスキャロルです。

音楽家の両親に愛されて育ったウクライナ人一家の一人娘は、この歌を歌うと良いことがあると聞かされ、ここぞというときに歌います。

これがもう美しくて。天使の歌声という形容がありますが、まさにそれです。ずっと聞いていたい。


ユダヤ人が家主の家に、ポーランド人の軍人一家、ウクライナの音楽家一家が引っ越してくるところから物語が始まります。

ポーランド人一家の母親は、ウクライナの一家を少々見下しているらしく、子どもどうしが遊ぶのも嫌そうです。

でも、クリスマスの食事会に誘いに来たウクライナ人一家の娘の純真な歌声に心がほだされ、3家族の距離は縮まります。

ところが、戦争が勃発、ソ連占領下となると、ポーランド人一家の軍人の父親、次いで母親が捕らえられます。

そして、ドイツの占領下になると、ユダヤ人一家の両親が呼び出されて帰ってこれなくなってしまいます。

ウクライナ人一家は、そのたびに、ポーランド人一家の娘とユダヤ人一家の姉妹を匿います。

苦しくなる生活、手入れのたびにユダヤ人姉妹を秘密の場所に隠す日々に、みんな疲弊していきますが、それでもウクライナ人夫婦は3家族の4人の少女たちを守り抜こうとします。

しかし、追及の手は伸びてきます… 彼らの運命はいかに?

というお話です。

ときどき、舞台は1978年に切り替わります。女性がアメリカの空港で誰かを待っているのですが、それが3家族の女の子たちのいったい誰なのかは、なかなかわかりません。

誰かは生き抜いて、誰かを待っている、それが最終的には何人で、誰なのか、、、気になりながら1940年代の話の展開を追っていく構成です。


愛情に満ちた、ていねいな生活を送ってきた普通の家族が、入れ替わる支配者によって普通の暮らしを奪われ、離散していくさま。ウクライナがいかに大国の支配に揺れ動かされてきたかがよくわかります。

見ていて辛い場面もありますが、生き抜こうとする母親や子どもたちの姿、美しい歌声に涙、涙の2時間です。

なじみがないと、歴史や背景がわかりづらいところが多々あるので、鑑賞後はぜひパンフレットを買って、解説を読むことをおすすめします!

ここはどういうことだったんだろう?という謎は、ほぼ解けるはず!

おすすめです。


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