春のおもてなしフレンチ・野菜のテリーヌ
本日紹介する料理は、11種類の野菜を使って作るゼラチン不使用の野菜のテリーヌです。
家庭で作るにはちょっと面倒で調理工程も多い料理ですが、作り置きできるので、おもてなし料理にピッタリの料理です。
日本のフランス料理では定番の前菜ですが、フランスでは野菜のみでテリーヌを作ることはとても珍しく・・・いやレストランで提供されることは、ほぼないに等しいです。
フランス料理の伝統と技術をリスペクトしながら、野菜の彩り・食感・香りや季節感と言った魅力を最大限に表現するために、日本人の知恵と繊細さが生み出したヒトサラなのかもしれません。
そもそもテリーヌ料理は長期保存や持ち運びを目的として生まれた料理。
崩れやすい野菜のテリーヌは、お惣菜屋さんで提供するには不向きであったり、保存日数も短いから廃棄のリスクが高い料理です。
またフランスのレストランで働く料理人の労働時間を考えると調理工程が多く、手間もかかる野菜のテリーヌは、必然的に作らないのだなぁと実感します。
今回紹介する野菜のテリーヌは、東京・京橋にあるフレンチレストラン【シェ・イノ】の【ガトー・ド・オマール】がモデルになっています。
ガトー・ド・オマールはキャベツ・インゲン・人参・しいたけ・ズッキーニと数種類の野菜の他に、オマール海老とホタテを贅沢に使用したテリーヌです。こちらのテリーヌもゼラチン不使用で、食材を押し固めています。
僕が紹介する野菜のテリーヌは野菜のみなので、もちろんオマール海老もホタテも入れていません。
参考にしている点は食材をテリーヌ型に入れる順番や敷き詰め方。そして押し固めてからテリーヌをアルミホイルで巻き直してからカットする方法です。
現在シェ・イノの代表取締役・料理長の古賀純二氏がYouTube動画内で【春野菜のテリーヌ】の作り方を紹介しています
こちらのテリーヌもガトー・ド・オマールをベースにされた作り方だと思うので、参考までに動画をのせておきます
それではレシピの紹介です。
【材料】15cmのテリーヌ型を使用(容量900ml)
キャベツ 6〜8枚
インゲン 200g
ブロッコリー 100g
ポワロー 1
ズッキーニ 1
カリフラワー 100g
人参 2
赤パプリカ 1
黄パプリカ 1
小玉ねぎ 2
ナス 1/2
マッシュルーム 6 (mushroom)
【ソースの材料】
マヨネーズ 60g
ニンニクピューレ15g
オリーブオイル 5g
塩 ひとつまみ
サフランパウダー ひとつまみ
塩
オリーブオイル
レモン果汁
コリアンダー
まずは野菜の下処理から始めます。
11種類も野菜があるのでそれぞれの野菜をテリーヌ型に詰める前の段階まで、野菜ごとに一つずつ説明します。
予め準備しておくこと
・オーブンを200度に余熱
・氷水
・野菜を下茹でする用に塩分濃度3%のお湯を鍋に沸かしておく(今回は4Lのお湯に120gの塩を入れています)
*野菜の加熱時間は各野菜と一緒に記載します
野菜の下処理と加熱方法・加熱時間
1:パプリカ(30分)
パプリカは赤と黄色の2種類を準備しました。
アルミホイルに包んで、200度のオーブンで30分間蒸し焼きにします。オーブンから出したら10分間ほど蒸らします。
アルミホイルを外してパプリカの薄皮をむきます。
できるだけ長方形の形になるようにカットして形を整えます。
薄皮は無理に向かなくてもしっかり火を通していれば食感の邪魔にはなりません。
オーブンで調理できない場合は、4等分にカットして下処理したパプリカを5分ほど茹でて加熱処理しても構いません。
2:キャベツ (5分)
キャベツはテリーヌで他の野菜を包む役割として使用します。今回使用する15cmの型のテリーヌでは、キャベツの大きさにもよりますが6〜8枚使用しました。
できるだけ緑色の部分のほうが見た目がきれいになるので、外側の葉を一枚ずつ破れないように外します。
硬い芯の部分もしっかり茹でれば使えますが、今回は予め外しておきます。
3:インゲン (8〜10分)
先端を切り下ろしてから下茹でして冷水でしっかり冷やします
4:ブロッコリー(3分)
房に切り分けて下茹でした後、冷水でしっかり冷やします
5:ポワロー (15〜20分)
テリーヌ型の長さに合わせて半分にカット。頭の部分は十字に切り込みを入れて水の中に漬けて砂抜きをします。
下茹で後も形を綺麗に保つためにタコ糸でぐるぐる巻に縛ります。
茹で時間はポワローの大きさによって異なるので、時々包丁の先端をポワローに刺して、抵抗なく刺されば茹で上がりの目安になります。
6:ズッキーニ (3分)
縦に4等分にカットして柔らかい種の部分を取り除いてから下茹でして冷水で冷やします。
7:カリフラワー(5分)
房に分けてから下茹でして冷水で冷やします
8:人参 (8分)
ズッキーニ同様、テリーヌ型の長さに合わせて縦にカット。下茹でして火が入ってから包丁で形を整えます
9:小玉ねぎ (20分)
半分にカットして、オリーブオイル(またはサラダ油)フライパンで断面に焼き色をつけてからごく弱火で蒸し焼きにします。
少量の水とローリエも加えてしっかり柔らかくローリエの香りを移します。
柔らかく火が入ったら室温で冷まします
10:ナス (10分)
縦にカットしてから塩をして10分置いてアク抜きをします。水でナスを洗って水気をしっかり取り除きます。
フライパンに少量のオリーブオイルをひいて、アク抜きしたナス全面に焼き色をつけながら弱火で蒸し焼きにします。
柔らかく火が入ったら室温で冷まします
11:マッシュルーム (5分)
しっかり水洗いをして汚れを落としてから水気を取ったマッシュルームは、薄皮をむくことで見た目をより美しく保てるようにします。
水・塩・レモン果汁・オリーブオイルを加えた鍋にマッシュルームを入れたら強火で火を入れます。
動画内ではできるだけ早く火が入るようにクッキングシートを被せて加熱調理しています。
マッシュルームに火が入ったら煮汁ごと別の器に移して粗熱を取ります
全ての野菜の加熱処理が済んだら後はテリーヌ型に詰めていくだけです。
テリーヌ型の内側には、出来上がった野菜のテリーヌを方から崩さずに取り出しやすいように複数枚重ねたラップをしっかり張り合わせます。
ラップを重ねないでテリーヌ型に貼り付けようとすると、静電気で上手く綺麗に貼り付けることが難しいです。3〜4枚重ねると扱いやすく簡単にテリーヌ型に貼り付けやすいので、ラップと方の間に隙間ができないようにしっかり貼り付けましょう。
まずはじめにキャベツを型の側面に貼り付けます。
中に詰める野菜の順番は特に決まった順番や決まり事などはありません。
強いて言うならば、同じ色合いの野菜をできるだけ重ねず、隣どおしで並べないことと、硬めの食材の間には柔らかい野菜を挟むことでつなぎの役割を担ってもらうことですかね。
僕ははじめにズッキーニと3色異なる人参、それとインゲンをまとめた数本を一段目に敷き詰めて土台を作ります。
続いて2段めは柔らかく火を入れたポワロー・ブロッコリー・ナスに2段目にもインゲンを1段目のインゲンと重ならないように敷き詰めます。
3段目に赤パプリカ・マッシュルーム・ブロッコリーの芯、マッシュルームの煮汁も加えて味わいを深めます。
4段目には1段目同様にズッキーニ・3色異なる人参とカリフラワー
4段目と5段目の間のズッキーニと人参の間には黄パプリカをのせてつなぎにしています。
5段目はポワロー・玉ねぎ・ナス
5段目・6段目の間のポワロー・玉ねぎの上には赤パプリカを
6段目にはブロッコリー・ズッキーニ・人参をのせて、最後に残りのインゲンを敷き詰めます。
全ての野菜を敷き詰めたらキャベツで上部を被せから、サイドに垂れ下がったラップをキツめに覆い被せます。
重しをした後に野菜の水分とテリーヌ内の空気を押し出すための空気穴を作るために爪楊枝など使ってラップに穴を開けます
最後に3〜4kgの重しをして冷蔵庫内で一晩プレスします
今回紹介しているテリーヌはゼラチンを使って作る野菜のテリーヌとは異なり野菜を詰める際に、テリーヌ型から4〜5cmほどはみ出るくらい野菜を敷き詰める点は、作り方の特徴的な部分です
強いプレスをかけることで野菜から余分な水分を出してテリーヌ内で野菜を押し固めるためです。
翌日しっかり押し固められたテリーヌは、型の上部まで野菜が押し固められています。
ラップごとテリーヌ型から取り出したらアルミホイルで巻き直します。
テリーヌをアルミホイルに巻き直すのは特に重要ではありませんが、冷蔵庫内での保存状態を綺麗に保てることと、包丁でカットしやすいので僕はアルミホイルで巻き直します。
野菜のテリーヌと合わせるソースは、ニンニク風味のマヨネーズを準備しました。
ニンニクを柔らかくなるまで湯がいたものを裏ごしから、マヨネーズと合わせたものです。色合いと風味をプラスするためにサフランパウダーも少量加えていますが、サフランは高価なの色合いだけを綺麗に作りたいという方は、少量のターメリクで代用しても構いません。
カットした野菜のテリーヌはお皿に盛り付けてから周りのアルミホイルを外せば綺麗に盛り付けることができます。
仕上げにテリーヌの表面にオリーブオイルとフルール・ド・セル、コリアンダーも振りかけました。
完成したテリーヌは、冷蔵庫で最長5日間は保存が可能です。
作り置きできますので、おもてなしフレンチにいかがでしょうか?
他にも私の料理をYouTube動画で紹介しています。
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