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妻のお節料理から日本人としてのアイデンティティーに心もお腹も満たされる

昨晩の大晦日は毎年のように仕事を入れず、家族と食道楽旅行で我が家に滞在しているS氏とともに過ぎすことができ、美味しい鰹出汁の効いた鴨そばとともに2024年度を締めくくる事ができた。

2025年の元旦も昨年と同様に、家族と過ごす事ができる大切な1年の始まりでもあり、その静かな喜びは特別な気持ちになれる。

フランスで暮らす我が家でも元旦は日本の風習に習い、お節料理をいただくことにしています。

とは言っても、お節料理は妻に作っていただきます。

彼女は年末の忙しい中の仕事を終えてから、帰宅後に2日ほど時間をかけて5日前から滞在している食道楽のS氏にも気遣いながら、素晴らしいお節料理を今年も用意してくれました。

お雑煮に入っているお餅は2種類。一つはフランスでも容易に購入できる白玉粉で作ったお餅と、餅米を蒸してからジップロックに入れて、綿棒で叩いて作ったお餅。

黒豆もオーガニックショップで購入した小粒の黒豆を使い炊き、伊達巻は冷凍の白身魚から作った彼女のレシピ。

海老の甘煮、鶏もも肉の八幡巻き、紅白の膾や、レンコンと人参を丁寧に型取りして、味わい深く仕上げた筑前煮など、フランスの土地でここまで丁寧にお節料理を作れる妻はやはりすごい。

彼女は日本で働いていた頃に料理講師としての経歴があるので、日本の家庭料理はもちろん、長年自身で書き留めた様々なレシピを元に、定番料理や季節の節目で味わう習わしのある料理などをフランスで再現してくれます。

母であり、妻でもありながら、ときに日本の伝統文化などを近所のフランス人にも自身の経験や知識を踏まえて丁寧に説明し、大切な人には労力を惜しまない存在でもあります。

だから僕は妻と話しているときに、

「君が何気なく家で僕達や近所の人たちにもやっていることって、普段の生活の中で何気なくやっているけれども、フランスの田舎の地方に住んでいるっていうこともあるかもしれないけど、実はとっても貴重でありがたい存在だよねー笑。」

っと冗談半分で彼女に話します。

新年を祝うお正月の食卓に欠かせないのがお節料理ですが、我々家族のように海外に在住していると、年末年始に日本に一時帰国をしないかぎり、お節料理を味わう機会は珍しいと思います。

お節料理に限らず、日本人の僕ら夫婦が幼少期から学校や地域を通して触れてきた季節の風習や伝統行事等も、妻はできる範囲で家庭の中に取り入れたり、一時帰国する際も、息子に触れる機会を与えている姿は尊敬に値します。

それは普段の挨拶から食事はもちろんですが、息子の成長に合わせた習い事や課外活動、そして日本語教育に至るまで。

僕ら夫婦は、息子がフランスの環境でフランス人に溶け込みながら健全にゆっくりと成長することを祈るように願っています。

そんな息子が日本人であるというアイデンティティーを育むために、妻はありとあらゆる情報を取捨選択しては試し、我々家族の環境に合ったものだけを続けられるように日々尽くしています。

彼女が毎年時間をかけ丁寧に仕上げる元旦のお節料理。

一つ一つの食材をゆっくり噛みしめるようにして味わう妻のお節料理。

フランスで生き続けていく日本人の我々家族が、家族の結束力と日々の活力が湧き上がるような感覚に浸れる、僕らが大切にしていることや想いも再確認できる新年の伝統料理に、お腹と心も癒やされた時間となりました。

Chef ichi








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chef ichi
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