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季節を詰め込むフランスの保存瓶
こんにちは、ICHIです。
日本の2月は全国的にまだまだ寒い日々が続いていると思いますが、いかがお過ごしでしょうか?
曇りの日々が続くことの多いフランスの2月ですが、少しずつ春の陽気を覗かせる太陽の日差しや、温かい風を時折感じる日々が増えてきました。
日照時間も増え、外に出れば温かい陽気が自然と気分を高揚させてくれる瞬間はとても心地よいです。
春がもうすぐやってくると思うとやっぱり嬉しくなりますね。
春の訪れは、マルシェやスーパーに足を運ぶ楽しみも与えてくれます。
冬野菜で単一色の色合いが強かった陳列棚が、いちごやクレソン、グリーン・ホワイトアスパラガス、そして様々なざまなハーブ類といった明るい彩りの野菜が増えはじめるからです。
短い期間でしか味わえない旬の野菜たちを眺め、自分で調理して旬を味わい、楽しむことは料理人の醍醐味の一つですね。
こちらは先日上げた最新の動画。チーズとチョコレートのそれぞれの特徴と芳醇な香りが楽しめる、なめらかチョコレートチーズケーキ。
こちらの詳しく解説記事も近々書こうと思います。
さて本日はフランスの保存瓶のお話です。
季節の野菜や果物たちを瓶詰めすれば、通年それぞれの季節を自宅でも楽しむことができるのが保存瓶の大きな特徴です。
フランスではスーパーで保存瓶に入った様々な食材を見つけることができます。
シンプルな野菜の水煮もあれば、定番のフルーツのジャムにシロップ煮。
そしてパテやフォアグラ、ブッフ・ブルギニオン、ブランケット・ド・ヴォーなどといった、フランス料理の定番料理などもあります。
週末家族や友人を自宅に招いて、お酒のお供に楽しむことができる、オシャレで便利な存在です。
フランスは食品保存文化が古くから発達しています。
どれくらい前からというと、19世紀の時代からだそうです。しかも保存瓶の誕生は、ナポレオン・ボナパルトの要望から生まれたとされています。
ナポレオンは遠征先で兵士達の士気を高めるために栄養豊富で美味しい食事を用意することだと考えていました。
当時の食物貯蔵は塩漬け、燻製、酢漬けの保存食が中心でしたが、味が悪く、腐敗も多かったそうです。
そこで食料の長期保存のアイデアを公募したところ、1804年にフランス人のニコラ・アペールがガラス瓶に食品を入れて加熱・脱気・殺菌するガラスの瓶詰めが発明されたそうです。
しかし瓶詰め容器には一つ欠点があります。
持ち運ぶには重く、割れやすいといった欠点です。
この欠点を克服したのが、イギリス人の商人・ピーター・デュランド。
1810年にブリキ缶に食品を保存する缶詰を発明。食品を長期保存、そして簡単に持ち運ぶことが可能となり、これが現在の缶詰の原型になったそうです。
そういった歴史的背景もあり、フランスは現在も瓶詰食品のラインナップが豊富なのだと思います。
フランスで保存瓶といえばシャンパンの生産で有名なシャンパーニュ地方の街、ランスにある老舗メーカー、ル・パルフェ(Le Parfait)です。
フランス製の保存瓶として高い品質でフランスでは一般家庭からプロ料理人と愛用する人が数多くいます。
ル・パルフェの保存瓶は、異なるサイズが数種類あり、タイプは蓋の部分が金具で固定して一体型のものと、脱気用の内蓋と外蓋の蓋が2枚ある2種類のタイプが存在します。
大型スーパーに行けば必ずと言ってよいほど置いてある保存瓶ですが、基本的に1個単位で購入はできません。
必ず6個1セット購入するようになっています。
見た目はオシャレで丈夫そうなフォルム。
フランス人も家庭で愛用している方は多くいます
ですが私個人的な意見としては、あまりオススメできない保存瓶。
あくまで私個人のル・パルフェ瓶の偏見ですのでご了承くださいませ。
それではオススメできない理由を一つずつお話します。
1:付属の部品が多い
まずは、保存瓶を組み立てる部品が多い点です。
食材を入れる容器・蓋の他に、この2つをつなげてくれる金具が3つあります。この金具は容器と蓋をつなげる役割の他に、蓋を閉めるための重要なパーツになります。
個人でル・パルフェを2〜3つ程、少量を使っている方は特に部品の多さにあまり悩むことはないと思いますが、10個以上保存瓶を使いまわしていると、この金具がかさばる場面があります。
それは、容器を洗浄・煮沸するときです
容器と金具の間に汚れや食品が入り込んでしまう場合があるので、洗浄する際は金具をすべて取り外してそれぞれの部品を洗います。
また、鍋の中で保存瓶を煮沸するときも同じです。金具を取り外して煮沸をしないと、かさばり一度に多くの保存瓶を煮沸することができません。
ただレストラン等のプロの調理器具が揃った場所などでは、大きな鍋があるので、この点においては特に問題は無いかもしれません。
2:脱気後、瓶を温めないとパッキンが外れにくい
蓋を開けるためにはパッキンの突起部分を引っ張って、容器内に空気を入れて蓋を開ける必要があります。
しかしこのパッキン、ちょっぴり厚めで柔軟性が乏しく硬めのパッキンなので、指先だけで引っぱてパッキンを引っ張ろうとしても、時々上手くいかず、蓋を開けることができない場合があります。
その際は、湯煎にかけて瓶を温めるとパッキンが外れやすくなるのですが、蓋を開けるためにわざわざ湯煎を準備する手間と、パテやジャム、フルーツのシロップ煮など、食品を温めたくない場合は非常に困ります。
引きちぎるタイプのパッキンもあるのですが、こちらもそこそこ力が必要なのが難点ですね。
3:湯煎で脱気すると、付属の金具が色落ちして見た目の清潔感がおちる
過去のYouTube動画では、家庭でも一度に多くの保存瓶を脱気・滅菌できることから私はオーブンで脱気・滅菌作業をする方法を紹介しています。
一般的に紹介されている脱気・滅菌作業は湯煎の中で行います。
1度や2度の脱気・滅菌作業の繰り返しがけであるなら特に金具の変化はないのですが、3回以上繰り返して使っていると、金具が色落ちし始めます。
金具の色落ちの原因として考えられるのは、煮沸の際にお湯の中にヴィネーグル・ダルコールという名前のアルコール酢を入れているからだと思います
フランスの水は炭酸カルシウムが多く含まれた硬水で、お湯を沸かすと炭酸カルシウムが白い微粉となって瓶に付着し、白くくすんだ見た目になってしまいます。
すぐに拭き取れば取り除けますが、一度に多くの瓶を拭き取るのはとても手間です。しかし、お湯の中にほんの少しだけアルコール酢を入れるだけで、炭酸カルシウムはお酢に反応して溶けるので瓶への付着問題は解決できます。
ただお酢は酸性のため、金具を痛め、次第にくすみはじめて清潔感を失います。
4:蓋が2枚タイプの内蓋が使い捨てで割高
こちらは蓋が2枚タイプの保存瓶です。
2枚蓋タイプは、金具付きに比べてかさばらず、軽いので扱いやすいです。
脱気後、内蓋の蓋がはずれなければ脱気がしっかりできている証拠になります。
内蓋を外すためには、アイスピックのような鋭利なもので刺して穴をあけると空気が入って開けることができます。
そのため内蓋は使い捨てになり、瓶を使い回すためには内蓋を買い足す必要ががあります。
金具がついてる通常タイプの瓶も、脱気に必要なパッキンは、次回脱気作業する時は新しいパッキンを取り付けます。
こちらも使い捨てタイプですが、内蓋はパッキンの2倍の値段と少しわり高のため、私は内蓋を買い足したことはありません。
5:蓋が2枚タイプの外蓋の内側が錆びやすい
外蓋は軽く落としても割れない利点があります。
しかし、こちらも何度か脱気・滅菌工程を繰り返すと、どんなに丁寧に扱っていても少しずつ錆びてきて、見た目が不衛生になってきます
他にも気になる点はあるのですが、ネガティブなことを書き続けるのは好きではないのでこの辺で終わりにしておきます。
このように実際に去年の年始に3ヶ月間ほどル・パルフェを使って、家庭でできる食品保存の方法を試した結果、私個人の意見として、とても扱いづらいという結論に至りました。
唯一良い点を上げるとするならば、フランスに住んでいて購入しやすいという点。
どなたかこの保存瓶の好きな点や愛用している理由など、教えてくださる方がいると、とても嬉しいです。
次回の記事では、現在私が愛用しているドイツ製の保存瓶、WECK【ウェック】について熱くお話ししたいと思います。
それでは、良い一日をお過ごし下さい。
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Chef Ichi
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