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子どもと美術館を楽しむためのコツ、注意点、メリット各10選と行けない親子のための楽しみ方

美術館って子どもの教育に良さそう。だけど、子どもと一緒には行きづらい。そんなお悩みはありませんか?

美術鑑賞はお子様にとってどんな影響があるのか、お子様と美術館に行くときに気をつけると良いことなどをご紹介します。

美術館は、誰にでも開かれた場です。ぜひ小さい頃から芸術に親しみましょう。


美術鑑賞で育まれる子どもの力

「美術は子どもの感性を育てる」と、何となく感じていらっしゃる方は多いと思いますが、美術鑑賞はお子様たちの成長にとってさまざまな影響を与えることが分かっています。

1.学力 UP!

「知能は高いが、創造性が低い子ども」より「知能はやや低いが、創造性が高い子ども」の方が学力が高い「ゲッツェルス・ジャクソン現象」という現象があります。

古い研究ですが、自分で新しいものを生み出す創造性は、与えられた問いに答える知能よりも、学力にとって良い影響を与える可能性があることを示唆しています。

2.教養 UP!

文部科学省でも推進している「STEAM教育」の「A」はArtの頭文字です。Artは一般教養であり、芸術でもあります。

作品に興味を持ったら、その作品がどのように作られたか、どこで作られたのか、作家はどんな時代を生きていたのかなど、さまざまな疑問が生まれることがあるでしょう。そうした疑問を調べていけば、美術だけでなく歴史や地理など、さまざまな知識への興味・関心が広がります

逆に、鑑賞時には興味が持てなくても、後々その作品や時代に関する知識を身につけるときに、美術館で作品を鑑賞した経験が役に立つこともあります。

3.創造性 UP!

創造性とは、独自性が高く斬新なものを生み出す力のことです。創造性は、抽象画をじっくり観察することや、模写をすることで向上するという調査結果があります。

ゼロから新しい物を生み出す創造性とお子様を結びつけるとき、多くの保護者は図画工作や音楽を想像するのではないでしょうか?

しかし、創造性とは芸術分野だけに発揮される力ではありません。新しい遊び方を考えたり、自分に合う勉強の仕方を探して試行錯誤することにも創造性は使われます。

また、ビジネスシーンでは起業や事業開発だけでなく、商品やサービスの改善や業務の効率化にも必要です。AIの時代でもイノベーションを起こすには人間の創造性が求められ、これからの時代を生きるお子様には不可欠と言えます。

4.忍耐力 UP!

お子様と美術館に行くとき、お子様が静かにできるか、集中して作品を鑑賞できるか、心配な保護者の方は多いでしょう。実は、それこそが美術館で育まれる力の一部です。

公共空間でのマナーを学び、おしゃべりを我慢する忍耐力を育ててみましょう。

5.集中力 UP!

美術品を鑑賞するには、集中力が求められます。集中力を鍛えると、長く一つのことに取り組む習慣がつき、学習にも良い影響を与えます。

あまり興味を持てなかったお子様でも、ワークシートなどの課題に取り組むことで、じっくり作品を鑑賞することができるようになります。適宜利用すると良いでしょう。

6.観察力 UP!

一つの作品にじっくり向き合うと、パッと見るだけでは気づかなかった細かい描写や筆遣いに気づくことがあります。丁寧に鑑賞することは、観察力を鍛えることです。

観察力が身につくと、同じ物事を見ていても、多くのことに気づくようになります。たくさんの情報を見いだす力こそ、観察力と言えるのです。

7.想像力 UP!

美術館で用意されているワークシートには、「あなたが、この絵の中に入ったら……?」など、空想をかき立てる問いが立てられていることがあります。

「この絵に描いてある子どもは、どんなことを考えているのかな?」「この鳥はどこから来たのかな?」など、一つの作品を見るだけでもいろいろな想像を膨らませることができます。高学年になったら、作家の意図を想像することも大切でしょう。

美術館に行くことは、さまざまな非認知能力の向上に貢献します。

8.美意識 UP!

情報があふれ、AIが活躍する現代では、自分の美意識や感性、つまり「あなたはどう考え、感じているか」が今まで以上に求められています。

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』(山口周, 光文社新書)というベストセラーがありますが、トップエリートはすでにそれに自覚的です。

美意識や感性というと、生まれで決まっていると思われる方がいるかもしれませんが、実際には育てることができます。

そのためには、美しいものをたくさん見て、自分なりの考えを持つことです。美しい作品に触れることで、自然と美的感覚が養われ、何が良いものか、美しいものかを判断する力が育ちます。

美意識を高めることは、生活を豊かにするきっかけになります。

さらに、美しい作品に触れることで、心が癒やされ、豊かな感情を育むことができます。感受性が高まり、柔らかな心を持つお子様に育つでしょう。

9.コミュニケーション力 UP!

美術館で多くの芸術作品を鑑賞し、どう感じたのか話し合いましょう。言葉ではないものを話し合うことは、言語化能力を鍛えます。自分の考えを伝えるために、論理能力やコミュニケーション力も養われるでしょう。

芸術鑑賞には、決まった答えがありません。ご家族やお友だちと作品について話し合うことで、自分とは異なる視点から物事を捉え、互いの考えを認め合うことができるようになっていきます。

また、さまざまな時代の、さまざまな国の芸術作品に触れることで、異なる文化や歴史に対する理解が深まります。世界に対する視野が広がり、多様な価値観を受け入れる心を育みます。

10.表現力 UP!

作品を見て感じたことを言葉や絵画、造形などで表現することで、自己表現の幅が広がります。いろいろな作品を鑑賞することは、表現方法の多様さを知るきっかけにもなるでしょう。

美術館で開催されているワークショップなどで、お子様自身が創作する楽しさを知り、自己表現の幅が広がり、自分の考えや感情を自由に表現できるようになれば、自信も深まっていきます

美術館は、お子様の知的好奇心を刺激し、創造性を育む、まさに「心の栄養」を補給できる場所です。ぜひ、お子様と一緒に美術館を訪れて、豊かな体験をさせてあげましょう。

子どもと美術館を楽しむための10個のコツ

美術に詳しくない方でも、お子様と一緒に美術館を楽しく過ごすことは、もちろんできます!

大切なのは、お子様と一緒に作品に触れ、感じたことを共有することです。お子様と美術館を楽しむためのポイントを、10個お伝えします。

1.展示内容を選ぶ

お子様が興味を持ちやすい展示内容かどうか、事前に確認しましょう。初めは、お子様向けの展示やプログラムがある美術館を選ぶのも良いでしょう。

2.イベントを探す

お子様向けのワークショップやプログラムを探してみましょう。子ども連れには料金の割引があったり、おしゃべりをしても良かったりする日を設定している美術館もあります。「ファミリーデー」「キッズプログラム」などを探してみましょう。

3.事前に学ぶ

美術館によっては、お子様向けのワークシートや資料を配布していることがあります。事前にホームページでダウンロードできることがあるので、探してみましょう。

個別の作家に関する展示を見に行く場合は、絵本や児童向けの美術書を読んでおくのも良いでしょう。

4.身近な題材を探す

いよいよ作品鑑賞です。写実的な絵を鑑賞するなら、お子様が好きな動物や食べ物が描かれた作品を探してみて、作品とお子様を結びつけるきっかけを探してみると良いでしょう。

5.質問してみる

小さい声でおしゃべりをしても良さそうな場合は、「これは何の絵かな?」「この子は何歳くらいかな?」など、作品を見ながらお子様に質問してみると良いでしょう。

6.想像を膨らませる

作品を見て、絵画ならどんな場面なのか、彫刻なら何を表しているのか、陶芸ならどんなときに使うのか、想像してみましょう。事前にお子様に、作品を鑑賞するときに、こうした想像をしてみると楽しいと伝えておくと良いでしょう。

野外作品なら、お子様と一緒にわいわい話し合ってみましょう。意見が合わなくても、何も思いつかなくても構いません。みんなでさまざまなことを語り合うことが大切です。

7.疑問を大切にする

作品を鑑賞していると、お子様には分からないことがたくさん出てくると思います。そうした疑問に、保護者がすべて解答する必要はありません。家に帰ってから調べられるように、メモしておくと良いでしょう。

展示室内では、筆記用具やスマートフォンの利用に関してルールが定められていますので、メモを取るときには注意しましょう。

また、美術館では定期的に学芸員や専門家の解説講座が開かれています。お子様向けの講座もありますので、探してみると良いでしょう。

8.ワークショップに参加する

当日参加できる小さなワークショップが開催されていることがあります。お子様は見るだけより、自分で手を動かすことの方が楽しさを感じやすいです。もし参加できるものがあれば、積極的に参加しましょう。

また、無料の塗り絵やペーパークラフトなどを配布していることもあります。パンフレット置き場や受付をチェックしてみましょう。

9.お土産を選ぶ

ミュージアムショップは、ユニークな雑貨が数多く販売されているので、見ているだけでもお子様が楽しむことができるでしょう。

気に入った作品の絵葉書やマグネット、展示に関連する本などを買えば、帰宅後も作品を振り返ることができます。

また、知育に役立つおもちゃやアートに関する絵本などが置いてあることもあるので、ぜひ探してみてください。

10.楽しい時間を過ごす

せっかく美術館まで足を運んだのですから、リラックスして楽しみましょう。

大人でも、美術館には真剣に鑑賞する人も、散歩気分で来る人も、付き合いで来ただけの人もいます。展示内容があまり好みでなく、がっかりして帰った経験がある人もいるでしょう。

ですから、お子様が飽きてしまったり、興味を持ってくれなくても悩む必要はありません。無理に全部の展示物に目を通す必要もありません。

「美術館に行く」という体験を楽しんでください。

子どもと美術館に行くときの10個の注意点

美術館は開かれた場所ですが、お子様と一緒に行く際には注意しておきたい点があります。事前に読んでおくことで、みんなで楽しめる美術館を守りましょう。

◆事前の準備

1.展示内容を確認する

お子様が興味を持ちやすい展示やプログラムがあるか、確認しましょう。おしゃべりしながら鑑賞できる日や、赤ちゃん歓迎の鑑賞日などが設けられている美術館もありますので、初めはそうした展示を利用するのも良いでしょう。

お子様向けのイベントやワークショップがある場合は、申込方法や持ち物も確認しましょう。

2.館内設備を確認する

飽きてしまったときのためにキッズルームや途中退出通路などはあるか、館内地図を見ておくと良いでしょう。自由に散策できる庭や、野外展示があると、室内では飽きてしまうお子様にも鑑賞しやすいでしょう。

ベビーカーの貸出やレストランなど、必要な設備があるかどうかも見ておきます。大きな荷物は展示室に持ち込めない場合がありますので、ロッカーを利用する可能性も考慮しておきましょう。

鑑賞時間は、お子様の集中力が持続する時間を考慮し、無理のないスケジュールを立てましょう。再入場できる美術館であれば、お子様が飽きてしまったときにも安心です。

3.マナーを説明する

美術館でのマナーを、お子様に説明しましょう。大切なことは、作品に触らないことと、静かに過ごすことです。走り回ったり、大声を出したりしないことを伝えましょう。

◆当日の注意点

4.体調を確認する

体調が悪いときは無理をせず、別の日にしましょう。

また、慣れない場所で静かにしようと思うプレッシャーがあると、お子様は体調を崩しやすくなるかもしれません。注意してあげましょう。

5.興味を引く作品を探す

美術館では、すべての作品を鑑賞したり、どの作品も同じようにじっくり見る必要はありません。お子様が興味を持てる作品を探してみましょう。

また、順路が決まっている美術館もありますが、行ったり来たりしたり、好きな場所から見ても良いことがほとんどです。柔軟に対応しましょう。

6.飽きたら休憩する

飽きてきたら無理をせずに、椅子に座って鑑賞したり、休憩スペースに行ったりしましょう。

再入場できる美術館であれば、無理をせずに展示室を出て、休憩して水分や食事を取ったり、近くを散策したりしましょう。ミュージアムショップを見るのもおすすめです。

7.作品に触らない

作品だけでなく、展示ケースや壁などにも触らないようにしましょう。規制ロープが張ってある場合は、その中に入ってはいけません。

事前に注意しておいても、お子様はつい手を伸ばしてしまうことがありますので、よく見ておくことが必要です。

8.静かにする

美術館では、集中して鑑賞している方が多いので、大きな声を出さないようにしましょう。面白い作品があると、つい大声をあげてしまうお子様もいると思いますが、たくさん話すのは展示室を出てからにしましょう。

おしゃべりを我慢することがどうしても難しい場合は、すいている日や、おしゃべりをしながら鑑賞しても良い日に行くのがおすすめです。近くの美術館で開催されているか調べてみましょう。

走り回ると、転んでけがをするばかりか、作品を傷つけてしまう恐れがあります。すぐに走り出してしまうお子様には、野外美術館から美術館デビューしてはいかがでしょうか。大きな彫刻に触ることができたり、体験型の作品があったりするので、公園感覚で楽しむことができます。

9.写真撮影のルールを守る

美術館では、作品の撮影を禁止していることがほとんどです。

最近は、一部の作品に限って写真撮影を許可していることもあります。その場合も、フラッシュ不可などのルールがありますので、よく確認してから撮影しましょう。

10.飲食のルールを守る

展示室内では、飲食が禁止されていることがほとんどです。

大きな美術館では、途中に飲み物を飲めるような休憩スペースが設けられていたり、展示室外に飲食スペースがあったりします。

お子様が小さいと、頻繁に飲み物やおやつが必要ですが、指定された場所を守りましょう。

美術館に行けない子どもが感性を育む7つの方法

美術館に行きたくても、近くになかったりするなど、さまざまな理由でお子様と一緒に行くことが難しい場合があるでしょう。ご自宅や身近な場所で、子どもたちの美術的な感性を育む方法はたくさんありますので、その中から7つお伝えします。

1. 絵画や彫刻の本を一緒に読む

子ども向けの画集や美術書を鑑賞しましょう。近くの書店にない場合は、図書館を利用するのも良いでしょう。

作品を見ながら、「この絵の色がきれいだね」「この彫刻の形がおもしろいね」など、感想を共有して美的感覚を育みましょう。

2. 身近なものでアートを楽しむ

身近なものを利用して、作品を作ってみましょう。さまざまな物の形や色をじっくり観察し、組み合わせを考えることで、創造性を刺激し、表現力を高めます。

お子様が工作をしやすいように、材料となるお菓子の空き箱などを置いておく場所を作っておくのも良いでしょう。草花や落ち葉、野菜や果物を利用して、コラージュ作品を作るのも楽しい遊びです。

お子様が自宅で遊ぶときは、危険が及ばない限り、失敗を恐れさせず、自由に表現させましょう。

3. 美術館のウェブサイトを閲覧する

多くの美術館が、ウェブサイトでコレクションを公開しています。高解像度の画像で作品を鑑賞したり、解説を読むことで、美術館で鑑賞するのとはまた違った楽しみ方ができます。

美術館のオンラインツアーの動画があったり、お子様向けの塗り絵やペーパークラフトがダウンロードできることもあります。

4. 絵画や彫刻の動画を見る

テレビの美術番組やYouTubeなどに、美術館のオンラインツアーや美術解説動画がたくさんあります。著名な作品を鑑賞したり、制作過程を見たりすることで、美術の世界に触れることができます。

5. 絵画教室やオンライン講座に参加する

美術館や児童館などで開催されているワークショップや絵画教室、オンラインの美術講座に参加してみましょう。手ぶらで参加でき、数十分で終わる講座もあるので、気軽に美術に親しめるでしょう。

あまり絵を描かないお子様でも、ちぎり絵、コラージュ、粘土細工、工作、デジタルアートなど、いつもとは違う表現方法や画材を試してみるきっかけになります。絵画だけでなく、彫刻、工芸、デザインなど、多くの表現方法に触れる機会を作りましょう。

絵画教室では、経験豊富な講師から直接指導を受けることで、保護者では教えきれない画材の使い方や表現方法を学ぶことができます。

最近では、デジタルアートの教室も人気です。iPadやパソコンがあれば始められて、部屋が汚れることもありませんし、アニメやゲームに興味があるお子様には特に相性が良いでしょう。

6. 街中のアートを探す

美術館以外にも、美術品はあります。街を歩く際に、壁画や彫刻など、公共の場に設置されたアート作品を探してみましょう。街中をキャンバスに見立て、さまざまなアート作品を発見する楽しさを味わえます。

また、美術大学や専門学校などの展覧会や学園祭もおすすめです。街中でギャラリーや個展を探してみるのも良いでしょう。

7. 美術館グッズを活用する

美術館のミュージアムショップで、ポストカードや図録を購入し、自宅で鑑賞しましょう。作品を身近に感じながら、美術の世界への興味を深めます。

グッズは、オンラインでも購入できます。お子様向けの解説書やおもちゃなどもありますので、お子様の好きなもの、興味のあるものをきっかけに、美術の世界へ誘いましょう。

大切なのは、お子様が楽しみながら美術に触れることです。これらの活動を通して、お子様の美的感覚を養い、創造性を育み、豊かな心を育みましょう。

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  1. がんばることを決める

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