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元不登校de統合失調症の私が困難を自覚して支援に繋がるまで。
まえがき
「専門的な支援を受ける必要がある」
私が初めてはっきりそう言われたのは大学生のとき。資格を取るための大切な実習の最中でした。中学生で不登校になり、診断名がついて、それでも通信制の高校から大学に進み、少しずつ良い方向に向かっているという自信が芽生えてきた頃です。それは私にとって自己肯定感がガクンと下がるきっかけであり、同時に自分の困難と向き合うきっかけでもありました。そこから手帳を取得し、就労支援を受けたり、福祉サービスを利用するようになって現在に至ります。この記事は手帳を取るための手続きや制度についてではなく、あくまで一当事者の葛藤や障害の受容、支援を受けて生きることへの想いにフォーカスしたものです。
きっかけと抵抗
前述のとおり、それまでも困難は多かったけれど専門的な支援に繋がることなく大学生になった私。家族と友人のサポートで、ボロボロながら奇跡的に何とか大学生活を送っていました。気温に合った服を着るとか、時間通りに部屋を出る、雨の予報に傘を持つ。そんな基礎的なことが自分は難しかったから、周囲から見ても誇張なしでボロボロだったはずです。それでも私は、どんな状態であれ学校に通えていることが何より上手くいっている証拠だと思っていました。そんな自信を打ち砕いたのが冒頭の一言です。苦手が多く自分の力では何ひとつ進められない。実際、実習期間には幾度もそれを痛感しました。支援が必要だと言われてからも、私も家族も、資格をあきらめて支援を受けるという道をすんなり受け入れることはできませんでした。
理解と対話
それまでの自分は、障がいや疾病で手帳を持つことに何ら偏見がない人間だと思っていました。でも、いざ自分に手帳が必要となると、それをなかなか認められません。手帳を取ったら「支援が必要です」というシールを背中に貼って生きていくのだと、そう感じてしまったのです。当時、学内に在学生のサポートを担う窓口があり、その職員さんが卒後の道をひたすら一緒に考えてくれていました。手帳について「持っているから必ず提示するものではなく、より生きやすくするための選択肢の1つ」だと伝えてくれたことは、私が手帳の取得に納得できる大きな要素でした。就活に差し掛かると、自分の課題を自覚する場面はさらに増え、だんだんと支援の必要性を受け入れるようになりました。
家族の心情と変化
就活がままならないとき父親に「お前はのんきですごいな」と言われたのを覚えています。ちゃんと焦っていたし、焦りすぎて現実逃避もしたし、学んだこともない職種やありもしない可能性に賭けようと迷走もしていました。それを近くで見ていた家族の焦りは、私よりも大きかったかもしれません。両親は福利厚生やストレートの就職を当然のように望みましたが、先ほども登場した支援課の職員さんとも面談して、恐らく父も母もたくさん考えて、支援を受けることはブランクではなく一つの道だと認識するようになっていったと思います。思い描いた安定が自分の子どもに当てはまらなくても、それを否定しないようになったのは、あきらめもあるけど、両親なりの受容のカタチなのだと思います。
「この選択でよかった」
卒後は就労支援の事業所に通いました。就職に繋がる前に辞めてしまったけど、初めて福祉のサポートがある環境に入ってたくさん学びがありました。「あなたの課題は苦手そのものではなく、失敗を恐れすぎることにある」と指摘されたとき、それまで苦手の克服に重きを置いてできない自分を責めていたのがふわっとほどけました。周りの多くの人たちが「普通」に見えて、ずっと追いつかなければと思っていた。でも、自分のゴールはそうじゃないと、支援が入って初めて思ったのです。支援が必要と言われたときには心の大半を絶望が占めていたけど、結果「安心して失敗できる」ように働きかけてくれる支援者さんたちに出会って、人生は格段に生きやすくなりました。
さいごに
手帳を取ること、支援に繋がること自体に良し悪しはないと思っています。良い側面を強調して、そうするべきだと発信するのが目的ではないです。でも、少なくとも私は学校を卒業して、支援に繋がったことで指標ができ路頭に迷わずに済みました。それは家族も同じで、自分たちだけで抱えていたらたどり着けない答えがいっぱいあった。今より状況は悪かったはずです。どこかで社会と接点を持っていれば、それ自体がマイナスに働くことはあまりないと感じます。どんな方がこれを読んでくれるかわからないけど、似た境遇であれば不安な気持ちを共有できたらうれしいし、支援をする立場の人には繋げること、繋がり続けることの大切さを感じてほしいなと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。また別の記事でお会いしましょう!