建設的な意見の対立を大切にする リーダーにとっての関門だよね
新しいものを作り出したり、お互いに高めあっていくためにも「建設的な意見の対立を大切にする」ということが大切だとよく言われるね。
それはわかってはいるんだけれども、なかなかそうはいかないよ。
大体トップの意見だからと言うことで、押し通されてしまうからね。
結局はトップが何を考えているのか忖度して、その意向を尊重するのが日本の組織だよ。
だけど、これでは前例のないことを取り組んで成功させるにはやっぱり難しいよ。今低迷している組織が苦しんでいるのも、この部分だと思うよ。
そこで「心理的安全 最強の教科書」という本にいいことが書いてあったよ。
これはポーランドの人で日本でコンサルタントとして活躍している人が書いた本だけどね。
建設的な意見の対立を活用するためには、その前提としてまず目的パーパスが大事だと書いてあったよ。
それは価値やビジョンと言うことだよね。
これによって明確な構造ができるんだそうだよ。
明確な構造というのは、リーダーが、自分の好みや発想や価値観をストレートに押し付けることを止めるためのルールのようなものだよね。
この明確な構造がないと、結局自分の意見や価値観の押し付け合いになってしまうんだよね。
それから、伝統のある会社ではよくあることだけれども、創業者や抜きん出たリーダーが抜けてしまうと、時間とともに目的やビジョンが薄れていくと言うこともよくあるね。
ただ組織が続いていくこととか、自分がご飯を食べればいいとか、何とか会社が潰れなければいいレベルでやってるところはほとんどそうだろうね。
やっぱり対立する意見をあえて言うというのは、何とかして低迷状態から抜け出していくための、リスクテイキングないことでもあるし、これを否定と受け取らないリーダーの存在が不可欠だね。
そして、この本には、対立が生じた後で「ポジティブな意図の共有」というのが必要だと書いてあったよ。
対立するというのは別に相手を否定してるんじゃなくて、それなりにポジティブな狙いがあると言うことだよね。
こうしてポジティブな意図を共有できれば、それが新しいチームとしての創造性につながっていくと言うことだろうね。
ここはものすごく大事だと思うよ。大体、同質的な組織では、ちょっと人と違うことを言うと、特に仕事の場合は、それが否定的なこと言うと受け取られて、途端に雰囲気が悪くなるからね。
だけど、建設的な意見の対立の奥には、ポジティブな意図や狙いがあって、それが共有できれば、新しい創造につながると言うことだよね。
こうした創造性が生まれれば、指示や命令がなくても、自分たちで目的に向かって新しい方法を生み出していくことができるし、競争相手に対する大きな優位性になると言うことなんだろうね。
やっぱり一番大事なのは、何のためにやってるかという目的のところをはっきりさせると言うことだろうね。
これは仏教で言うところの正念と言うものかもしれないね。
正念というのは、仏の教えをしっかりと記憶して忘れないというのが仏教的な意味だけれども、会社にとっての理念や目的と言い換えてもいいかもしれないね。
ドラッカー風に言えば、社会にどのようなインパクトを与えるかという意味での、「成果は外部にある」ということだろうね。
社会に貢献するという意味での目的意識を持ってやり続けるっていうのは結構難しいよ。
やっぱり人間には経験を積み重ねていくとそれなりのこだわりというのが生まれるし、自分の好みでやりたくなるからね。
それを押し通してしまうと、リーダーとしては失格だし、むしろ組織にとって害が出ているんだけれども、どうしてもそれがわからないんだよ。
そんな時にやっぱりリーダーは自覚的に、自分が何のためにいるのか、その存在意義を再確認しないといけないね。
やっぱりリーダーは人の成長を手助けするために存在すると考えるべきだと思うよ。
成長を通じて業績を生み出していくというのが王道だよね。
だけど、どうしても成長よりも業績を優先してしまう人がいるだよね。これは、やっぱりだめだと思うよ。
そして人が成長するためには、何か社会に貢献しようとか、自分の強みを伸ばそうとか、そういった情熱を解き放つような理想が必要だよ。
理想や情熱があれば、人に指示命令されなくても自分でやり始めるからね。
結局、建設的な意見の対立を大切にするという事は、リーダーの側から言うと、忍耐力が試されるよ。
それから部下の側から言うと、勇気とリスクテイキングな発想が必要だよね。
どちらにしても、仕事を通じて心を磨く気持ちが大切だよね。
松下幸之助さんも「道は無限にある」と言ったけれども、困難や八方塞がりの中で、必死に考え続けるときに、人間は成長するし、その成長が本当に貴重なものだよね。
そしてリーダーは人を成長させるために、自分が命令したり、指示したりするのを我慢して、自分の好みよりも目的や理念を大切にするのが大事だね。
それができるようになれば、むしろ建設的な意見の対立が楽しくなるはずだよね。