過ちを繰り返さない 何を理想にするかが大事だよ
過ちというのは誰にでもあるけれども、そこからどのような教訓を汲み取って、予防策を立てるかが大事だね。
しっかりとした予防ができるかどうかで、個人も組織も未来が変わっていくからね。
三菱銀行で貸金庫から金品をくすねた行員が出たけれども、似たような事は、もしかしたらいっぱいあるのかもしれないね。
三菱銀行は、スペアのキーを本店で預かるようにすると言ってるけれども、それが根本的な解決かどうかはわからないよ。
やっぱり人間のエラーというのは、人間そのものの心の中にあるからね。
トヨタでは、なぜなぜ5回と言うらしいけれども、失敗の原因をどんどんと掘り下げていって、深いところで予防策を立てると、とても有効な再発防止につながると考えられているみたいだね。
その時に大切なのは、やっぱり心のあり方だと思うよ。
三菱銀行で言えば、銀行というのは信用で成り立っている仕事だからね。
信用の大切さを従業員に教えるというのは、かなり難しいんだろうね。
だけど、どうやったら予防できるか、繰り返し考えていくことが大切だよ。
考え続けていくと、だんだんと考えそのものが深まっていくからね。
大体、失敗を繰り返すのは、仕方がないと心の中で思っているからだからね。
それは言い換えれば、失敗を犯すことが、やむを得ないだけじゃなくて、どこか部分的には正しいことだと思っているからなんだよ。
窃盗についても、人間の本質は欲望であって、欲に動かされるのは仕方がないんだと思っていたら、必ず欲に目がくらんで、犯罪を犯すことはあり得るよ。
そう考えてみると、再発予防の大切なポイントは、自分や他人といった人間そのものを、どう定義するかに、かかっているかもしれないね。
人間の本質は欲であって、欲まみれになるのが人間の定めだという運命論に、どうやって反論するかが大事だね。
これはやっぱり宗教や哲学が必要だよ。
仏教では、欲望というのは肉体の属性であって、肉体を脱ぎ捨てた後の霊体には、欲望を残さないようにするのが大事だという考えだからね。
よく観音菩薩とか、観世音菩薩とかいう神様の使いがいるけれども、あの人たちは欲望の世界を卒業した人たちだからね。
霊界には欲界というのがあって、その上に無色界という世界があって、そこは欲望を卒業した人たちが住んでいる世界なんだよ。
そう考えれば、欲のない人間というのはあり得るわけだよ。
そうした理想的な人間像を目指して、努力していこうと、会社を挙げて努力すれば、欲望にまみれた人を修正することもできるだろうね。
聖徳太子の17条の憲法にも、曲がった人間を治すには、三宝帰依というのが必要だと書かれているし、それは人間の理想的な姿を肯定しようということでもあるだろうね。
やっぱり過ちを繰り返さないためには、人間の理想像というものを大切にして、そこに向かって欲望や怒りや憎しみを捨てていくと言う作業がどうしても必要だろうね。
そう考えれば過ちを繰り返さないことは可能だと思うよ。