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リズム感って人生の重要スキルなのでは説[今月のコラム]

毎月細々と更新しているnoteやInstagramの投稿。“こんなの誰が読むんだろう”と内心思ったり、“今回あんまりリアクションなかったなぁ”としょぼくれたりすることもある。しかしながら、久しぶりに会った友人なんかに、「毎回読んでるよ」とか「今回もおもしろかった」とか言ってもらえることがあり、シンプルにニヤついている。

そんなみなさんに共通してほめてもらえるのが「文章が読みやすい」という点。

これについて、性格がひん曲がっていたわたしは、正直ずっと素直に喜べなかった。なぜなら、言葉を知らないというコンプレックスがあったから。

昔から本(活字・日本語)が嫌いで、小学校の読書感想文は親が代筆したし、高校の現代文テストはボロクソすぎて、英語の点数の方が上という謎展開だった。就活では憧れの「小学館」に応募しようとエントリーシートを取り寄せたところ、「今まで読んだなかで心に残っている本を3冊挙げて理由を述べよ」という問いが立ちはだかり、『コナン』『ハリーポッター』の2冊しか思い浮かばず、進路をあきらめた。
その後、奇跡的に地元のメディア会社に就職でき、編集長という栄えある立場になったものの、言葉を知らないため言いたいことがうまく表現できず、どっかから拾ってきたような、当たり障りのない言葉を使うという姑息な手段を取ってしまうことも。そのくせ、業を煮やした当時の社長に「毎朝、新聞を読みなさい」と言われたのに、活字の塊が嫌すぎて全然実践しなかった(性格終わってる)。

そんな感じで知識・経験不足が自信のなさにつながり、「読みやすい」=「こいつ言葉全然知らねぇな」と言われているのでは、という幻聴になっていたのだ。

ただこれも極限までくると、人間開き直るものである。“小難しくて専門的な言葉を使うよりも、わかりやすい言葉で語るほうが、伝わることが多いじゃね?”と切り替え、ニホンゴ初心者なライターとしてなんとかやっている。


とまぁ前段が長くなったが、難しい言葉を使わない(使えない)ことにプラスして、文章を書くときに意識していることがある。それがタイトルにある[リズム感]。
書いた文章を声に出して読んでみたときのしっくり感とかハマりのよさ、小気味よさを感じるようにしている。一文が長くなりすぎないようにというのはもちろん、語尾が似ないようにしたりだとか、同じ語句が続かないようにしたりだとか。“これってリズム感だな”と最近気がついたのだ。

そもそも歴史をたどれば、俳句や短歌のように一定の語数≒リズムで言葉を綴る文化があるわけで。韻を踏んだ文章や歌なんかが気持ちいいのも、わたしたちのDNAに組み込まれたものなのかもしれない。
ちなみに「韻を踏む」の英語は「rhyme(ライム)」。「rhythm(リズム)」に似てるよね。

わたしの場合、幼稚園からピアノを習っていたし、小学校では音楽クラブ(スネア)、中学・高校では吹奏楽部(サックス)と、[リズム]という存在に比較的慣れ親しんだ人生だった。ただ、リズム感はあってもスポーツ能力は皆無。運動神経が生えていなかったらしく、ダンスの授業なんかは恥ずかしさも相まり、地獄の時間だった。

音楽かダンスくらいしか活かせる場がないと思っていた[リズム感]。まさかライタースキルに結びつくなんて思ってもいなかったが、そういえば、これまでも何度か[リズム感]が大事だと語る人たちに出会ってきていたことを思い出した。[リズム感万能スキル説]をいくつか紹介させてほしい。


●リズム感がいい人は、算数ができる人
これは中学校時代、吹奏楽部の美人顧問に言われた言葉。音楽を奏でるにはまず楽譜をよむことから。楽譜には「4分の4拍子」とか「8分の6拍子」のように、1小節に何個音符がはいるか、という拍子記号が書かれている。これが要は算数でいう「分数」というわけ。リズムが正しくとれる≒楽譜が正確によめる=分数が理解できている、ということらしい。たしかに聴いていて気持ちいい変拍子の音楽ほど、楽譜は難解だった。
「リズム感がいいってことは分数ができるってことよ」と美人な先生に言われ、認められたいがためにがんばった。そのおかげで今のわたしがある。

●リズム感がいい人は、マッサージがうまい人
これは会社員時代、担当していたエステサロンのオーナーに言われた言葉。忘年会にお呼ばれしカラオケへ行ったのだが、歌いたくないがためにタンバリン役に徹していた。後日、オーナーから「あなた、うちに来ない?」というお誘いが。その理由がまさかのタンバリンだった。オーナー曰く、エステやマッサージなどの手技はリズム感が大切で、わたしのタンバリンはその合格点だったらしい。
「あなた、がんばれば、ボーナスだけで3ケタ稼げるわよ」とまで言われた。なぜ……なぜあのとき転職しなかったんだろう……。

●英語学習にはリズム感が重要
これはごく最近のできごと。字幕なし映画や俳優さんのインタビューを理解したいなと思い、英語の勉強をリスタートした。とはいえ独学だけでは不安もあり、英語を教えている友人に相談。いくつか受けたアドバイスのなかで出てきたのがリズム感だった。おすすめされた学習法「shadowing(英語音声を声に出して追う)」では、英単語ではなく“音”そのものが重要で、音とそのリズムを掴むことで、ネイティブの発音に慣れていくのだとか。たしかにこれまでは英語字幕を追う、英単語を学ぶなど、字面だけで勉強した気になっていた。shadowing、数日だけでも効果はてきめん。shadowingしている最中に自然と手でリズムを打ってる自分がいて、リズム感っていうアドバイスの意味がすごく理解できた。現地の方々が話すときの身振り手振りが大きいのもなんか納得。

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とまぁこんな感じで、[リズム感]は音楽だけでなく、算数に英語に美容健康と、日常生活や対人コミュニケーションなど、さまざまな場面で派生して活かすことができるみたい。リズム感万能スキル説、実証。

「幼稚園の友だちが習ってるから、わたしもやりたい」という不純な動機でもピアノ教室に通わせてくれた両親に感謝。音楽をやりたいというお子さんがいたら、ぜひ止めないであげてほしい。人生、無駄な経験やスキルはないはず。


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