潜在的な価値を見つける

何度かnoteで、身近なものほど価値を感じにくいという記事を書いたことがあります。

私にとっては価値も何も、そういうものだと何も思わず過ごしてきた物事も、今は立派なビジネスとして成り立っています。

それは、ダムです。

負の思い出としてのダム

父方の実家は京都のど田舎にありました。実家があった村は、今はダムの底に沈んでいます。

ダム建設による村の移転で、国や府と30年近くなんだかんだあったという話は、今でもふとした時に話にあがります。

私は移転後に生まれたので、細かい事情や思いはあまりわからないものの、我が家や周りのコミュニティの人たちにとって、そこのダムは失った故郷であり、長年「負」の存在として認識している感じていました。

ダムマニアの出現

全国的にも、税金の無駄遣いとして
マイナスイメージとして風当たりが強い存在でしたが、あるときから、ダムマニアのおかげでそのイメージが変えられました。

ダム建設のイメージの転換は2000年の夏。
ダム好きのための個人サイトの草分け的存在である「ダムサイト」の管理人である萩原雅紀氏が活動を始めた時期です。ロボットアニメの悪の神殿のような風貌に魅了されたそうです。

ダムについて、当時はまとまった情報のサイトがなく、萩原氏が足を運んでコツコツと収集しました。それがYahooサイトに載ると、実はダムファンだったという隠れたニーズが浮き上がってきたのです。

ニーズを顕在化することが負を好転させる

東洋経済オンラインのダム人気についての記事このように締めくくられています。

「ダムなんか見に来て何が面白いんですか」と言っていた職員が周囲からの評価に自らの仕事に誇りと自信を持ち、仕事に励むと同時に見学者の満足を考えるようになる。その努力が見学時の楽しさに伝わり、リピーターにつながる。ダムで起きている変化はそんなものではないかと思う。

さらにその変化は日本のインフラ全般に及び始めている。2016年に国土交通省はインフラツーリズムのポータルサイトをオープンさせているが、そこにはダム以外にも橋、港、灯台などのインフラを観光資源、地域おこしの起爆剤として活用しようとする姿がある。民間主導のツアーも増えた。

ダムという、昔からあったものの見えていなかったものを見えるようにしたことで1つの産業が立ちあがったと考えると、学ぶべきことは多い。これから日本が頼ることになろうであろう観光などのビジネスにおいては、今見えていないニーズや負をどれだけ顕在化させていくかが勝負。

イノベーションを起こすには、
ばか者、若者、よそ者の力を借りると良いという議論がある通り、積極的に他者の目を借りることは有効だなと、このダムの例を見ていても感じます。

イノベーションを成功させるためには、
『機会』を正しく見つけ出す必要がある。

P.F.ドラッカー

出典

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