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【私のこだわり旅】ヨハン・シュトラウスとブラームスの別荘跡地を探して

3回訪れたオーストリアの街を歩くときは、必ずこのガイドブックを持って歩いた。

2007年8月に、オーストリアを訪れた時だった。

2006年12月の時は、冬で日没も早くて、あまり観光できなかったため、夏にもう一度訪れたかった。

しかも、オーストリアを周遊するツアーに参加した。

その時の旅程は、インスブルック、ザルツブルク、ザルツカンマーグート地方、ハルシュタット、ウィーンを訪れるツアーだった。

ツアーのパンフレットには、ザルツカンマーグート地方泊と書いてあるだけで、具体的な都市は分からなかった。

最終日程表が届いたときに、ザルツカンマーグート地方は、バート・イシュルに泊ると分かった。

ウィーンのガイドブックにバート・イシュルの情報が載っていたので、すぐにチェックした。

ホテルは、レハール博物館の近くだと分かった。

大学の時に『メリー・ウィドーワルツ』の伴奏を弾いたことがあったから、少し興味があったが、博物館が開いている時間に到着できるとは思えなかったので、外から建物の写真を撮れれば充分だと思った。

そして、気になったのは、ヨハン・シュトラウスとブラームスの別荘の跡。

住所も調べた。

Kaltenbachstrasse 36,34とある。

2007年8月当時の私は、グーグルマップなんて知らない。海外対応の携帯も持っていないから、電波はなし。

頼りは、このガイドブックだけ。
あと、幸い、ホテルにホテル周辺のドイツ語の地図があったので、それを持っていた。

一応大学の第二外国語はドイツ語だったから、文字は読める。
話せないけれども、聞き取れる。
ということで、ホテルに着いて、ポーターさんから荷物を受け取った後、夕食までの40分間でヨハン・シュトラウスとブラームスの別荘の跡を1人で探しに行った。

歩いていて、途中から別荘の跡がある住所のカルテンバッハ通りになった。
ここを歩いて行けばたどり着けると思った。

アントン・ブルックナー通りと交差するところも通った。間違っていないはず。

左右の番地を見ると順調に数字が増えている。

今、グーグルマップを見ると、ロシアの番地の付け方と同じで、道路の片方は奇数の番地、道路の片方は偶数の番地になっている。

しかし、2007年当時の私はそんなことを知る由もなく、ひたすら歩く、
28番地を見た後、反対側の通りを見たら、21番地になっている。

増えるはずが減ったのだから、焦った。

しかも、その後、2つの道に分かれている。

はて、どっちがカルテンバッハなのか?と、何度も紙の地図を確認する。

すると、地元の人らしい女性が通りかかったので、「英語を話せますか?」と訊いた。たいてい、「英語は、少し。」とか「英語は話せない。」と返事が来ると、安心して私のカタコト英語で変な英語を披露できるのだが、この時は違った。
「英語を話せます。」ときっぱりと言われたのだ。
「英語を話せますか?」と訊いておきながら、「話せる。」と言われて、戸惑う人は私くらいだろう。
そして、変な英語を、英語を話せる人の前で披露することになった。

結局、ブラームスの別荘は分からないということだった。

この後、この辺りで間違いないはずだからと、使い捨てカメラのフィルムの残りを気にしながら数枚写真を撮った。

でも、なんか違う気がした。

それでも、絶対に近くにいるはずだと思い、たまたまそこに住んでいる夫婦が出てきたので、話しかけた。
またまた、「英語を話せますか?」と訊いたところ、「そんなに。」という返事だったから、安心し、私は、変な英語で質問した。
そして、旦那さんが、ドイツ語で答えてくれた。
ドイツ語なら聞き取れる。
「昔、ブラームスとヨハン・シュトラウスの別荘は、このあたりにあった。ヨハン・シュトラウスの別荘は、ものすごく広かった。」という説明だった。
今は、マンションや民家になっているが、写真を撮った。

それが、この写真。

確たる証拠があるわけではないけれども、この辺に住んでいたんだなあと、思いつつ、ホテルに帰ることにした。

トラウン川沿いの並木道をブラームスやヨハン・シュトラウスも散歩したかもしれないと思って、歩いてみた。

40分間という短い時間で、紙の地図だけを頼りに、別荘の跡を探しに行けたのは本当に良かった。

ホテルの近くに戻ってきたら、ツアーの他の参加者も散歩をしていた。近くを散歩する人がほとんどで、私のように地球の歩き方やるるぶなどのガイドブックに載っていないような遠い場所まで行った人はいなかった。

ホテルの目の前のレハールの博物館の写真を撮った。

グーグルマップもネットも利用していなかった2007年8月当時の私は、大満足だった。
そのまま、この写真と現地の人と話した思い出を大切にしていた。


今回、『私のこだわり旅』というお題があり、記事にするために、グーグルマップを改めて見てみた。

すると、この写真に写っているマンションが私が探していた36番地だった。

やはり、正しい場所に行けていたと確認できた。

今は、マンションになっているが、昔は、この場所にヨハン・シュトラウスとブラームスの別荘があった。

ちなみに、地図はこちら。

グーグルマップで今なら、簡単に見つけられるが、そんなものがない時に、住所だけを頼りに、一人で探しに行けたのは、一生の思い出。

#私のこだわり旅


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