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VTuberの労働環境から『サブスタンス/The Substance』を捉え直す
ここ最近、大手VTuber団体ホロライブに関する不穏なニュースがタイムラインに流れてくる。相次ぐ体調不良やネガティブな理由での卒業が目立っている印象がある。TV業界が相次ぐパワハラ・セクハラによる降板で世代交代が起きる中、VTuberが大きな番組に出演する機会が増えている。比較的その手の問題が少ないのかと思っていたのだが、やはりエンタメ業界の深淵なる闇を恍惚で覆っている側面があるようで、問題になりつつある。
2年ぐらい前にVTuberにハマり、自分自身もVTuberとして活動しているのだが、最近、SNS投稿から翳りが見えたりタイムラインが殺伐としていることもあってあまり観なくなった。
そんな中、ふとこの前鑑賞した『サブスタンス/The Substance』のことを思い出した。本作は第77回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞したボディホラーである。デミ・ムーア演じる50歳の女優エリザベスがとある医学療法を試す。専用の注射を刺すと肉体が脱皮を始め、若い肉体が現れるのである。この肉体を使ってかつての栄光を取り戻そうとするのだが、この医学療法にはルールがあった。
1.元の肉体のエキスを7日分採取し、肉体へ投入すること
2.7日後には一旦、元の肉体へと戻ること
3.二人ではなく一人であること
しかし、脱皮し生まれた分身は「スー」と名乗り、名声と共にこのルールを逸脱していく。その結果、世にも恐ろしい悲劇へと繋がってしまう。
本作は正直、深層的/表層的双方で振り切れていない作品となっており、中盤以降の展開に面白さは感じるものの、あまりにも雑で乱暴で使い捨てな要素の数々に落胆した作品となっている。そのことはブログに書いた。
そして、既に観た人の感想や批評を読んでいると、やはり「二人ではなく一人であること」と定義されているにもかかわらず最初から独立した個々の関係性に持ってきているところに違和感を抱いている方を見かけた。
違和感だらけの作品だったのだが、ここ最近の企業勢VTuberの労働環境問題を眺めていたら、本作はVTuberの側面から捉えると腑に落ちるのではと思うようになった。ということで以下、批評を行っていく。
なお、本記事は『サブスタンス/The Substance』のネタバレを含むものとなっている。
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