映画鑑賞『博士の異常な愛情』
加入しているU-NEXTが古い年代の映画も見られるようになっているので、一昔前の映画ばかり見ているこの頃です。
博士の異常な愛情 1964 監督 スタンリー・キューブリック
冷戦下を風刺した作品でした。
将軍が独断でソ連に向けて水爆を発射する命令をして、核戦争まっしぐら!みたいな話です。以下かなりネタバレが含まれています。ご注意ください。
人類の愚かさを体現したブラックユーモア満載なものでした。
ドイツ出身のストレンジラブ博士の右手がハイルヒトラーになるのを抑えているところや、公衆電話から大統領に連絡する際にお金がたりなくなるシーンが個人的には面白かったです。
全体的な感想としては、組織は脆いものだということです。
この映画の冒頭で、「映画はフィクションであり、現実には起こりえない」とアメリカ空軍の解説がついていますが、鋼の錬金術師の名言でもあるように、「ありえないなんて事はありえない」のです。
この作品では、
①軍のトップである将軍が独断で核兵器の発射命令をする。
②命令に従った水爆を搭載した戦闘機がソ連に向かう。
③それを知ったアメリカ政府がソ連に掛け合って、撃墜&戦闘機との交信を試みる。
④しかし、戦闘機との交信の暗号は将軍しか知らない。
つまり、大統領や閣僚がどうのこうの言っても、軍が暴走してしまえば、簡単に核兵器という恐ろしい武器を行使できるのです。このようなことをシニカルに描いている点がこの映画の魅力だと感じました。
最終的に戦闘機と交信するための暗号が分かるのですが、ソ連にミサイルで通信機を壊されたため、交信不能となったために水爆が放たれてしまうのです。核兵器の使用を阻止する!みたいな作品はよく見ますが、核兵器が使われてジ・エンドという映画は見たことなかったので新鮮でした。改めて、その恐ろしさを考えさせられました。
ヘリが登場すると、『地獄の黙示録』から「ワルキューレの騎行」の曲が思い浮かびますが、この映画で戦闘機B-52の場面になると流れる音楽がまた癖になります。エンディングテーマもアンマッチな感じが良かったです。
キューブリックの名作、一度は見てみるといいかもしれないですね。