草刈りしながら肥料の話【茶屋のお便り6月10日号】
こんにちは、茶屋ファームです。前回は草刈りの模様といっしょに農薬についてもお話ししましたが、今回は肥料についてです。と言っても、まずは草刈りの続きから。
■ 段々畑の草刈り
段差のある法面が大変です。下の写真のような法面だと、3段に分けて刈らなければなりません。でも他地域でもっと大変なところはいくらでもあるので、楽な部類に入ると思います。
スパイク付き長靴を履いて、足場を探し、ずり落ちないように踏ん張りながら刈り進めていきます。無理な態勢でやると腰が痛くなってしまいます。ちょっと刈っては次の足場をキープして、慌てずジリジリと。
■ 雑草で分かる土の良し悪し
ところで、生えている雑草で大雑把に土の栄養度が分かります。ヨモギやスギナが生えているところは痩せています。クローバーが生えているところは肥えた良い土です。
クローバーは緑肥として使われるくらいの優れモノなので、実際のところは、雑草のカテゴリーに入れるのは申し訳ないような存在です。
◇ 緑肥とは
植物そのものを圃場にすき込んで肥料の一種として利用することです。色んな種類と各々の働きがあります。
代表例として、イネ科植物には主に土壌への肥料分や有機物の補給と微生物の増殖を助ける効果があります。またマメ科の植物には根粒菌の作用によって窒素を固定する効果と土壌中に団粒構造を形成する働きがあります。
肥料としてだけでなく土壌環境を改善する働きもあるところが大きなメリットだと思います。
■ 肥料のそれぞれ
緑肥を語ったついでに、肥料に関する話をもう少ししていきます。
◇ 化学肥料を巡る諸事情
化学肥料はすぐに効く、というのが一番のメリットだと思います。ちょっと葉っぱが黄色いと感じたときに施肥してやれば、みるみるうちに鮮やかな緑色になります。植物が吸収しやすいような組成になっていて、点滴をイメージしてもらえると分かりやすいかもしれません。
即効性があるため、ふんだんに使いたくなるのですが、使い過ぎると土壌成分や微生物のバランスが崩れてしまい、病原菌が発生しやすくなります。それで農薬の使用量が増えてしまうと、何だかもう薬漬けのような状態になりますね。
最近は、以下に触れる理由からもデメリットが増えてきていて、化学肥料の使用は全体的に減らしていく傾向になってきています。
化学肥料の原料は輸入に頼っていますが、昨今のインフレ・円安の影響で価格が急騰中です。経営を圧迫してきています。
あとは一番肝心な「味」。肥料はゆっくりと効かせるのが良いと言われていて、急だと苦味が強くなってしまいます。とくに葉物野菜は顕著に現れます。「このレタス、苦くないか?」と感じたら、それは化学肥料を使い過ぎてるからだと思います。やっぱり美味しいものを食べたいですよね。
◇ 蕎麦栽培における肥料
蕎麦は痩せた土地でも育ちますが、そうは言っても肥えた土地の方が収量は多くなります。当ファームでは鶏ふん堆肥を使っています。化学肥料ほどではありませんが、早めに効いてきます。それと安いです。
堆肥には他にも牛ふん堆肥やバーク堆肥などありますが肥効が出るのが遅いです。蕎麦は栽培期間が短い(おおよそで3か月ほど)ので、鶏ふん堆肥が合っているのではと考えています。
ゆくゆくは、土壌環境の改善効果もあることから緑肥も使いたいと思っています。圃場にすき込む前に細かく粉砕したほうがいいので、フレイルモアという機械を買ってからになりますが。
それと最近知ったのですが、酒粕を肥料とするやり方があるようです。「これ、いいなー。」と思ってます。
環境にも優しいですし、「どこそこの銘酒の酒粕で育てた蕎麦です。」と言われると美味しそうに聞こえてきませんか。
肥料ひとつ取っても、色々なやり方があります。選ぶ側のみなさまにとっても必要な判断材料になるかと思いますので、茶屋ファームではどうしているのか、しっかりお伝えしていく所存です。
■ before→after
農薬や肥料の話をしながらでしたが、草刈りはこんな感じで終わりました。
ここの面積が約6反なので、全体の6分の1ほどです。茶屋ファームの圃場の畦畔の草を刈るのに1週間以上はかかります。伸びてきたらまた刈らないといけないので、雑草との闘いはまだまだ続きます。
私ども茶屋ファームは富山県南砺市利賀村で主にソバの栽培をしている農業法人です。日頃の農作業や六次産業化の過程、そばを使った料理、蕎麦についての豆知識など色々と発信していこうと思っています。
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