ChatGPTを病歴要約自動作成ロボットにする-病歴要約完全自動化に想いをはせ眠れぬ夜を過ごす-キーボードで一切入力なし。クリックのみでレポート作成してみる。
0. はじめに
0.1 本記事について
ChatGPTは【要約】【アイデア出し】などは得意ですが【考察】は苦手と言われています。前回の記事を作って以来, プロンプト次第で意外と【考察】文章もいけるのでは?と希望が見えてきました。
過去3度にわたり記事を書いてきましたが文字数が2万文字を超え, 何が言いたいのか分からないまとまりのない文章となってしまいました。今回, 余分な解説はそぎ落とし, 操作法をmainにまとめた【総集編】としたいと思います。
※本記事はAIである程度の考察を含む文章を自動で作成できることを実証するというページです。一から手打ちで作成するよりも早いですが, 劇的に楽になるかというと責任は持てません※
0.2 個人情報の取り扱いについて
一応, ChatGPTにはprivate modeがありますが。情報漏洩の危険性は否めないです。特に医学系のレポート (病歴要約) は患者情報をOpen AIに流出させてしまう危険があるのでprivate modeは必須と考えます。
1. 準備
1.1 全体の流れ
① 病歴要約をつくりたい患者情報が記載されている紙カルテや電子カルテからまずはテキストファイルの形で文章を用意します。
② 論文をChatGPTに読み込ませ学習してもらいます。
③ プロンプトを用いて病歴要約を作成します。
参考文献に関しては全自動でChatGPTが検索して持ってきてくれるわけではないので, 自分で用意している感が拭えません
『たったこれだけ』
キャベツとお肉だけ準備してください。あとはCookDoを加えるだけで回鍋肉 (ホイコーロウ) が出来上がります。
みたいなのりで
お手数ですが『論文』だけ自分で準備してください。あとはChatGPTが【病歴要約】を作りますので。
1.2 架空の退院時サマリーを準備
今回の記事では【成人スティル病】の架空症例で退院時サマリーを作成し, それをもとに【病歴要約】を作成しました。実際にありうるサマリーを想定し, 敢えて 誤字脱字, 全角, 半角の混在, 紹介状のコピペなど医学的に微妙な表現を含めています。形式は某国産電子カルテの書式です。
上の画像は退院サマリーをA4の紙に再現したものです。写真画像 (jpeg) で載せています。
ドキュメントスキャナーで読み込み, OCR (光学式文字認識) 化します。
もちろんすでにテキストファイルとして準備できていればこの工程は不要です。
1.3 論文 (参考文献) の準備
もちろん自分で「良質」な論文を用意するのに越したことはありませんが, 今回の記事の趣旨としてクリックだけで全自動で作成したいのでChatGPTと一緒に探してみます。
1.3.1 GPTに検索wordを聞く
【論文 (参考文献) 検索】プロンプト
ある患者の病歴から医学的な考察文章を書きたいと思います。以下条件で論文検索の補助をしてもらいたいです。後でカルテ原文を提示しますのでokのみ返して下さい。
条件
・検索サイトはPubmed, Perplexityです。
・どのようなkey wordで検索したらよいですか。検索word を英語, 箇条書きで提示してください。
・診断と治療に焦点を当てて考察します。
・診断:すでに診断基準, ガイドラインがあるならガイドライン名が知りたいです。ガイドラインがなければ総説などの論文, まれな症例ならcase report集など本例の診断に役立つような論文を探したいです。
・治療:本例の入院経過を参照し, 実際に行った治療に関して重要となるキーワードを提示してください。
カルテ原文の【入院経過】を含む部分を読ませます。返ってきた文章が以下です。
Pubmedで適当に上のワードで検索して論文をpdfの形式でダウンロードしました。
1.3.2 ChatGPTに論文を読み込ませる。Ask yourPDF
ChatGPTに手持ちのPDFファイルを読み込ませることができるようになるプラグイン「Ask YourPDF」を利用します。
上のサイトに行って
画面中央のエリアに手持ちのpdfファイルをドラッグアンドドロップします。
出来上がったIDをChatGPT (AskYourPDF) のチャット欄にコピペすればpdfファイルを認識します。以降, 論文の要約や内容について教えてくれたり応用は幅広いです。
今回の目的は, ChatGPTが【病歴要約】を書けるように学習してもらう事です。
1.3.3 ChatGPTに論文を読み込ませる。AiPDF
Ask YourPDFは無料版の場合, 現在 1日数ファイルしかアップロードできませんのですぐに上限に達します。
AIPDFも同様の機能があり一応使えますが精度はAsk YourPDFの方に軍配が上がります…
ファイル選択で手持ちのpdfをアップロードして「リンクID」を作成します。
1.3.4 Perplexityで検索する
AI搭載の論文検索サイトです。
さきほどChatGPTが提案したwordで検索してみます。
ダイレクトに診断基準とその元論文のリンク先が表示されています。
リンク先に飛んでみます。
使えそうなので一応PDFで保存しました。
他に準備した論文:
① Adult-Onset Still’s Disease: Novel Biomarkers of Specific Subsets, Disease Activity, and Relapsing [Forms Int J Mol Sci . 2021]
② Adult-onset Still's disease [Autoimmunity Reviews 13 (2014) 708-722.]
今回は試作なので一般的な診断, 治療について記載されていればOKとします。上記の総説を2本を準備しました。
実際, 自分で作成するとすれば成人スティル病のガイドライン2017年を使うべきですが, 今回は全てAIが作成ということで「AIが推奨した」論文で作ってみます。
1.4 注意点, コツ
全体的な作成のコツです。
① 忘却
同じチャット欄で質問, 作成を繰り返すと, 過去のこちらの質問内容をある程度覚えてくれます。その場合, 雑なプロンプトでも大丈夫ですが, 忘れますので, その都度同じ内容のプロンプトを投げかけて思い出させる必要があります。
② 混乱
膨大な量のテキストを一度に処理させると容量負荷で"混乱"してしまいます。体感的に1000文字程度のプロンプトを投げかけると精度が著しく下がります。数百文字程度に分割して作成していきます。
2. 作成
①【現病歴】 ② 【入院時現症】③ 【入院後経過と考察】 ④ 総合考察
⑤ その他
に分割して 1個ずつ作っていきます。
2.1 【現病歴】
現病歴プロンプト
これからカルテ原文から以下の条件をもとに【現病歴】を作成してください。後でカルテ原文を提示しますのでokのみ返して下さい。
条件
・200文字程度で記述して下さい。
・●はカルテ原文の内容を参照し文字列で置換してください。
・医学用語を使用。例として、喉の痛みは「咽頭痛」、息苦しさは「呼吸苦」、
ふしぶしの痛みは「関節痛」と表現します。熱さましは「解熱鎮痛薬」
・入院に至る経緯について記載し、最後の行は「精査加療のため●月●日に●へ入院となった」。
・常体で記述(ですます調ではない)
・過去形で記述 (~した, ~であった, ~された)
・患者の視点から記述, 基本的には受動態で ~された ~を受けた ~と指摘された
・認める, にて という語句を使用しない
・●年●月●日で統一 同じ年は繰り返さない 2回目から「同年●月●日」
・●病院, ●医療センター, ●クリニックなど病院名が実名で記述されていたら「近医」, または「前医」に変更
・風邪薬など薬品名が具体的でなければ 風邪薬 (詳細不明) と記述
・薬品は一般名 例:フロモックス→セフカペンピボキシル塩酸塩
略語は全称に再構築 例:オグサワ→オーグメンチン/サワシリン
・「その結果」という表現は使わない
・「検査で~が見られ」 という表現は使わない 「検査で●の所見が指摘された。」や「●が疑われた。」「検査で●が疑われ」 などとする
」
・精査と治療→精査加療
・高血圧→高血圧症, 胆石→胆石症
・「急に」→「突然」, 「現れた」→「出現した」
プロンプトだけを入力して, 患者情報 (カルテ原文) は後から入力します。「OK」のみ返してもらい待機状態にします。
患者情報の現病歴が含まれている箇所をコピペします。
出来上がった現病歴です。まずまずの完成度です。プロンプトトークン (入力文の文字数) が多いためか微妙に意図が伝わっていなかったり、弛張熱を不動熱と変換したりしていますが、目をつむります。
抗菌薬の略語が気になるので「略語は使わないでください」とプロンプトの一部をコピペしてもう一度同じ指示をします。
一度では完璧な文章ができませんが, 簡単な修正指示をすれば大抵理解してくれます。
2.2 【入院時現症】
【入院時現症】もやや高度な処理が必要なので単独で処理します。
入院時現症プロンプト
これからカルテ原文から以下の条件をもとに【入院時現症】を作成してください。後でカルテ原文を提示しますのでokのみ返して下さい。
条件
・例をそのまま引用し、その中で異常所見を変換や追記する。
・例の文:【入院時現症】身長 ● cm,体重 ● kg.体温 ●℃.脈拍 ● /分,整.血圧 ●/●mmHg.呼吸数 ● /分.眼瞼結膜に貧血はなく,眼球結膜に黄疸はない.胸部:肺音.心音に異常はない.腹部:平坦,軟で圧痛はない.肝・脾を触知しない.四肢:下腿浮腫を認めない.皮疹を認めない.
・●はカルテ原文の内容を参照し文字列で置換してください。記載がなければ●のまま。
・医学用語を使用。例として、喉の痛みは「咽頭痛」、息苦しさは「呼吸苦」、
ふしぶしの痛みは「関節痛」と表現します。
・常体で記述(ですます調ではない)
所見がある場合は「~を認める」、ない場合は「~はない」と記述し「不明」という言葉は使わず省略してください
・その他身体所見の具体例 以下の例がカルテ原文に明記されていたら追記してください。なければ省略してください。
:JCS, GCS, 瞳孔径, CVA叩打痛の有無 刺青の有無 手術創の有無, 腸蠕動音, PS, 関節の圧痛, 腫脹,
リンパ節の蝕知, 神経学的所見, 構音障害, 共同偏視, 空間無視の有無, MMT (例えば三角筋4) , 長谷川式知能評価スケール
・改行, 空白は不要です。連続した文字列で出力してください。
特に問題なく出力されました。
2.3 【主訴】【検査項目】など
高度な処理が不要な文章ですので簡単なプロンプトでも出力可能です。例えば検査項目の整列では以下のようなプロンプトで作成できることが多いです。
検査所見を以下の例にならって連続した文字列で出力してください。
例:赤血球 ●万/μL, Hb ● g/dL,・・・
以下のような詳細プロンプトを使用すればGPT3.5でも作成できます (3.5の場合たまにとんでもないものを作成しますが…)。
その他【主訴】【検査項目】などのプロンプト
これからカルテ原文から以下の条件をもとに【主訴】【検査所見】などを作成してください。後でカルテ原文を提示しますのでokのみ返して下さい。
以下の形式で出力してください。●はカルテ原文から以下の条件で語句, 文章を参照して再構築し全て文字列に置換してください。カルテ原文に記載がなければ●のままで。
出力形式:【主訴】●【既往歴】●【社会生活歴】●【家族歴】●【検査所見】●【プロブレムリスト】(#1.●、#2.●、#3.●)【退院時処方】●
条件:医学用語に変換してください。例として、喉の痛みは「咽頭痛」、息苦しさは「呼吸苦」、ふしぶしの痛みは「関節痛」と表現します。以下の書式に従って記述してください:
【主訴】患者が医療従事者に対して訴える症状の中で最も重要なもの 病名ではなく患者が訴える主観的な症状 先ほどの現病歴から参照
【既往歴】現在治療していない過去の病歴, 疾患
【社会生活歴】アレルギー歴:, 喫煙歴:●本×●年などで, 飲酒歴, 職業
【検査所見】主要な検査所見を抜き出して以下の形式で文字列を作成してください。検査所見以外の記載は不要です。該当する項目がなければ● のまま
例:尿所見:タンパク(-), 潜血(-). 血液所見:赤血球 ●万/μL, Hb ● g/dL, Ht ●%, 白血球 ●/μL(NE ●%, LY ●%, MONO ●%, EOS ●%), 血小板 ●万/μL, PT ●%, APTT ●秒, 血漿フィブリノゲン ● mg/dL, 血清FDP ●μg/mL. 血液生化学所見:TP ● g/dL, Alb ● g/dL, フェリチン ● ng/mL, AST ● U/L, ALT ● U/L, LD ● U/L, BUN ● mg/dL, Cr ● mg/dL. 免疫血清学所見:CRP ● mg/dL, リウマトイド因子陰性, MPO-ANCA < ● E・U, PR3-ANCA <● E・U, 抗核抗体陰性.」
【プロブレムリスト】#1.は主病名 #2, #3は主病名, 入院後の経過と関連する重要な疾患や検査異常, 症状など
【退院処方】退院時処方を抽出し例のように薬品名 用量用法 カンマ半角スペースで改行をせずに文字列を作成してください。薬品名はタケプロンではなくランソプラゾールのように一般名 キャットフードも処方に含めます 例:ランソプラゾール 15 mg 1T 分1 夕食後, ワルファリンカリウム 1 mg 3.5T 分1 夕食後
怪しいところがちらほらありますが形にはなっています。注目すべきはクレアチニンをわざとCre O.35 mg/d l 「ゼロ」ではなく「オー」で作りましたが空気を読んで0「ゼロ」に直してくれてます。
プロンプト文字数が長くなると"混乱"して精度が落ちますが
指摘すると正確にやってくれます。一度で100%の答えは返ってきませんが
間違いがあることをこちらが指摘するだけで自己修正してくれます。
2.4 【入院後経過と考察】
一般的な構成として【診断】と【治療】の話を中心に展開し入院後経過を語れば良いかと思われます。
2.4.1 【入院後経過と考察】【診断part】
今回用意した成人スティル病の総説論文には, スティル病診断で有名な山口基準が含まれていましたのでそれを利用したいと思います。まずはAsk YourPDFを用いて【診断】についてGPTに学習してもらいます。
Ask YourPDFで診断を要約するプロンプト
ここにIDをコピペする:
Ask YourPDF で上の文献を参照して下さい。
この論文を"タイトル[雑誌名 年;巻:ページ]"(改行空白は不要 連続した文字列 title[J Y;V:P])で表示して下さい。
診断:診断基準が記載されていれば日本語で詳細に記述してください。主要基準, 副次基準など。なければ, どのように診断するのかを具体的にまとめてください。診断基準が別の引用文献にあれば, Referencesを参照し, その論文を"タイトル[雑誌名 年;巻:ページ]"(改行空白は不要 連続した文字列 title[J Y;V:P])で表示して下さい。
この論文に関する詳細が出力されました。
これをもとに診断partを作ってもらいます。
【入院後経過と考察】診断part作成プロンプト
これから以下の条件で【入院後経過と考察】の診断partを作成してください。カルテ原文は後ほど提示します。okのみ返してください。
条件
・ですます口調ではなく 常態
・受動態ではなく能動態(筆者目線)で記述 ×考えられた 〇考えた
・以下の例を参考に診断基準, 診断を記述した論文を参照し, 最後の一文は“以上より●●と診断した。”で終わる
・先ほどの診断に関する論文が診断基準の記載があれば 本例のカルテ原文を参照し, 合致項目のみを記述して下さい。例1, 「PMRの分類基準の1. 関節痛, 2. 50歳以上, 3. 炎症反応高値を認め, 3項目を満たした。■r」例2.「●ガイドラインの●●を満たした。■r」”
・診断基準の記載がない場合, 例3. 「●●に関する詳細な診断基準はないが, 一般的に●●で診断を行う■r」
・鑑別診断 3個挙げてください。診断基準の除外項目があればそのまま引用。 例4「また鑑別診断として●, ●, ●(3つ)が挙げられるが, ●なことから否定した。」
例:多発性硬化症で見られるような脱力や頭部MRIでの異常所見がないことより否定した。
・診断partなので診断以外, 例えば治療の記述は不要です。
・例1-4の形式で200文字程度でまとめてください。
・重症度, 病期など臨床分類してください。例:肺炎:ADROPスコア, CURB-65スコア, 心不全:NYHA機能分類, ACC/AHAステージング, 悪性腫瘍:TNM分類, 糖尿病:HbA1c, 糖尿病の合併症, COPD:GOLD分類, アルツハイマー病:軽度, 中等度, 重度, 腎不全:GFR, CKDステージ, 心房細動 CHADS2スコア
■rは引用文献です。”タイトル [雑誌名 年;巻:ページ]”で置き換え■rという表記は不要です。引用文献は文の最後ではなく途中に挿入してください。
同様にカルテ原文を貼り付け enter keyを押します。
前回紹介した方法と比べると, 完成度の低さは否めません。
しかし, 今回は【プロンプト】と【論文提示】のみで自動作成出来たことに大きな進歩がありました。
他の分野でいくつかやってみましたが再現性は高かったです。
2.4.2 【入院後経過と考察】【治療part】
きちんとした考察に関しては【総合考察】で述べることにし, ここでは経過のみを淡々と記述してもらいます。
例の如く以下のプロンプトを打ち込み, カルテ原文から入院後経過の治療を含む箇所をコピペします。
【入院後経過と考察】治療part作成プロンプト
これから以下の条件で【入院後経過と考察】の治療partを作成してください。カルテ原文は後ほど提示します。okのみ返してください。
条件
・ですます口調ではなく 常態
・受動態ではなく能動態(筆者目線)で記述 ×考えられた 〇考えた
・改行, 空白は不要, 連続した文字列で表示して下さい。
・治療開始後の経過を説明して, 臨床症状, 所見の改善, 退院(改善無く死亡退院)までを記述。
・治療以外の話, 例えば診断の記述は不要です。
・医学用語に関して、略語が初出の場合は、その全称に変換してください。2回目以降の出現では略語を使用してください。例: GEMを初めて使用する際には「ゲムシタビン(gemcitabine:以下GEM)」と表記し、2回目以降は「GEM」と記述してください。ABVDを初めて使用する際には「ドキソルビシン, ブレオマイシン, ビンブラスチン, ダカルバジン療法(以下ABVD療法)」と表記し、2回目以降は「ABVD療法」と記述してください。薬品名は一般名を使用してください。抗菌薬に関してはsulbactam/ampicillin (SBT/ABPC) 3g 1日 3回のように一般名 (略名) 1回投与量 1日何回か。回数などカルテ原文に記載がなければ名称のみ。ステロイドはプレドニゾロン●mg/日のように一日量。
・主病名に対する治療を主に記述。主病名以外にも入院中に発生したイベント(院内発熱, 原因不明の胸水, 治療薬剤による副作用, アレルギー)に対する治療, 予想される副作用の予防についても記述して下さい。
例:「●月●日より●を開始した。」
例:「血栓症予防に対して持続ヘパリン●unit/日を開始した。」
例:「また, ステロイド性骨粗鬆症予防のためアレンドロン酸ナトリウムを開始した。」
例:「APTTが●と効果が乏しいと判断し●に増量した」「発熱が持続し, 呼吸状態, 炎症反応の改善を認めず●に変更した」
例:「その後改善を認め●日に退院とした。」
内容はともかく, 整った文章が出力されました。乱雑な文章でも自動認識, 解釈してくれます。
2.5 【総合考察】
総合考察の文章の構成をザックリと2パターンに分類してみました。
I. バランス型:治療の話をメインにし, 診断, 指導を少し含めます。多くの病歴要約がこの型ではないかと思います。
II. 環境整備, 倫理型:退院後の環境整備を主に記述します。
2.5.1 【総合考察】バランス型
順序としては① 論文提示→②【総合考察】下書き作成プロンプト→③【入院後経過と考察】提示→④ 校正プロンプト となります。
① 論文提示
ここでの目的はこちらが論文の内容を知りたいからではなく, ChatGPTに学習してもらうためです。
引き続きもう1本 論文を読み込ませます。
②【総合考察】下書き作成プロンプト
どのような【総合考察】を書くかについて大まかな内容をChatGPTに指示するためのプロンプトです。okのみ返し, こちらが指示するまで待機してもらいます。
③【入院後経過と考察】提示
先ほど作成した【入院後経過と考察】をコピペします。
Enterを押し 下書きが完成するのを待ちます。
【入院後経過と考察】と用意した【論文】内容に忠実な下書きが完成しました。内容としては問題ありませんがこのままでは【病歴要約】の形式としては不適です。
④ 校正プロンプト
【総合考察】を自動で作るにあたりこちらが入力したプロンプト量 (文章量) は膨大です。そのため「混乱」「忘却」するため一度では目的の文章が生成されません。以下のプロンプトで整えます。
指導のくだりが抜けています… 良しとします?
2.5.2 環境整備, 倫理型
今回の症例は環境整備についてあまり記述する必要がなかったので別の症例で作ったものを下に提示します。
3. まとめ, 課題, 改善点
もとの退院サマリーは乱雑な文章でした。
論文とプロンプトのみで内容はちょっと怪しいですが一応「整った」レポートが完成しました。
今回は自動作成を目指したものですので内容二の次で作りやすさを優先しました。質を優先するという意味では, プロンプトの改善の余地はいくらでもあるかと思います。
ChatGPT-4 が現在抱える「忘却」「混乱」の問題が解決すれば, 操作はさらに簡略化され完全自動化する日もやってくるのではないでしょうか。
4. プロンプト
4.0 論文検索
【論文 (参考文献) 検索】プロンプト
ある患者の病歴から医学的な考察文章を書きたいと思います。以下条件で論文検索の補助をしてもらいたいです。後でカルテ原文を提示しますのでokのみ返して下さい。
条件
・検索サイトはPubmed, Perplexityです。
・どのようなkey wordで検索したらよいですか。検索word を英語, 箇条書きで提示してください。
・診断と治療に焦点を当てて考察します。
・診断:すでに診断基準, ガイドラインがあるならガイドライン名が知りたいです。ガイドラインがなければ総説などの論文, まれな症例ならcase report集など本例の診断に役立つような論文を探したいです。
・治療:本例の入院経過を参照し, 実際に行った治療に関して重要となるキーワードを提示してください。
4.1【現病歴】
現病歴プロンプト
これからカルテ原文から以下の条件をもとに【現病歴】を作成してください。後でカルテ原文を提示しますのでokのみ返して下さい。
条件
・200文字程度で記述して下さい。
・●はカルテ原文の内容を参照し文字列で置換してください。
・医学用語を使用。例として、喉の痛みは「咽頭痛」、息苦しさは「呼吸苦」、
ふしぶしの痛みは「関節痛」と表現します。熱さましは「解熱鎮痛薬」
・入院に至る経緯について記載し、最後の行は「精査加療のため●月●日に●へ入院となった」。
・常体で記述(ですます調ではない)
・過去形で記述 (~した, ~であった, ~された)
・患者の視点から記述, 基本的には受動態で ~された ~を受けた ~と指摘された
・認める, にて という語句を使用しない
・●年●月●日で統一 同じ年は繰り返さない 2回目から「同年●月●日」
・●病院, ●医療センター, ●クリニックなど病院名が実名で記述されていたら「近医」, または「前医」に変更
・風邪薬など薬品名が具体的でなければ 風邪薬 (詳細不明) と記述
・薬品は一般名 例:フロモックス→セフカペンピボキシル塩酸塩
略語は全称に再構築 例:オグサワ→オーグメンチン/サワシリン
・「その結果」という表現は使わない
・「検査で~が見られ」 という表現は使わない 「検査で●の所見が指摘された。」や「●が疑われた。」「検査で●が疑われ」 などとする
」
・精査と治療→精査加療
・高血圧→高血圧症, 胆石→胆石症
・「急に」→「突然」, 「現れた」→「出現した」
4.2【入院時現症】
入院時現症プロンプト
これからカルテ原文から以下の条件をもとに【入院時現症】を作成してください。後でカルテ原文を提示しますのでokのみ返して下さい。
条件
・例をそのまま引用し、その中で異常所見を変換や追記する。
・例の文:【入院時現症】身長 ● cm,体重 ● kg.体温 ●℃.脈拍 ● /分,整.血圧 ●/●mmHg.呼吸数 ● /分.眼瞼結膜に貧血はなく,眼球結膜に黄疸はない.胸部:肺音.心音に異常はない.腹部:平坦,軟で圧痛はない.肝・脾を触知しない.四肢:下腿浮腫を認めない.皮疹を認めない.
・●はカルテ原文の内容を参照し文字列で置換してください。記載がなければ●のまま。
・医学用語を使用。例として、喉の痛みは「咽頭痛」、息苦しさは「呼吸苦」、
ふしぶしの痛みは「関節痛」と表現します。
・常体で記述(ですます調ではない)
所見がある場合は「~を認める」、ない場合は「~はない」と記述し「不明」という言葉は使わず省略してください
・その他身体所見の具体例 以下の例がカルテ原文に明記されていたら追記してください。なければ省略してください。
:JCS, GCS, 瞳孔径, CVA叩打痛の有無 刺青の有無 手術創の有無, 腸蠕動音, PS, 関節の圧痛, 腫脹,
リンパ節の蝕知, 神経学的所見, 構音障害, 共同偏視, 空間無視の有無, MMT (例えば三角筋4) , 長谷川式知能評価スケール
・改行, 空白は不要です。連続した文字列で出力してください。
4.3【主訴】【検査項目】など
その他【主訴】【検査項目】などのプロンプト
これからカルテ原文から以下の条件をもとに【主訴】【検査所見】などを作成してください。後でカルテ原文を提示しますのでokのみ返して下さい。
以下の形式で出力してください。●はカルテ原文から以下の条件で語句, 文章を参照して再構築し全て文字列に置換してください。カルテ原文に記載がなければ●のままで。
出力形式:【主訴】●【既往歴】●【社会生活歴】●【家族歴】●【検査所見】●【プロブレムリスト】(#1.●、#2.●、#3.●)【退院時処方】●
条件:医学用語に変換してください。例として、喉の痛みは「咽頭痛」、息苦しさは「呼吸苦」、ふしぶしの痛みは「関節痛」と表現します。以下の書式に従って記述してください:
【主訴】患者が医療従事者に対して訴える症状の中で最も重要なもの 病名ではなく患者が訴える主観的な症状 先ほどの現病歴から参照
【既往歴】現在治療していない過去の病歴, 疾患
【社会生活歴】アレルギー歴:, 喫煙歴:●本×●年などで, 飲酒歴, 職業
【検査所見】主要な検査所見を抜き出して以下の形式で文字列を作成してください。検査所見以外の記載は不要です。該当する項目がなければ● のまま
例:尿所見:タンパク(-), 潜血(-). 血液所見:赤血球 ●万/μL, Hb ● g/dL, Ht ●%, 白血球 ●/μL(NE ●%, LY ●%, MONO ●%, EOS ●%), 血小板 ●万/μL, PT ●%, APTT ●秒, 血漿フィブリノゲン ● mg/dL, 血清FDP ●μg/mL. 血液生化学所見:TP ● g/dL, Alb ● g/dL, フェリチン ● ng/mL, AST ● U/L, ALT ● U/L, LD ● U/L, BUN ● mg/dL, Cr ● mg/dL. 免疫血清学所見:CRP ● mg/dL, リウマトイド因子陰性, MPO-ANCA < ● E・U, PR3-ANCA <● E・U, 抗核抗体陰性.」
【プロブレムリスト】#1.は主病名 #2, #3は主病名, 入院後の経過と関連する重要な疾患や検査異常, 症状など
【退院処方】退院時処方を抽出し例のように薬品名 用量用法 カンマ半角スペースで改行をせずに文字列を作成してください。薬品名はタケプロンではなくランソプラゾールのように一般名 キャットフードも処方に含めます 例:ランソプラゾール 15 mg 1T 分1 夕食後, ワルファリンカリウム 1 mg 3.5T 分1 夕食後
4.4 【入院後経過と考察】
論文学習
Ask YourPDFで診断を要約するプロンプト
ここにIDをコピペする:
Ask YourPDF で上の文献を参照して下さい。
この論文を" [雑誌名 年;巻:ページ]"(改行空白は不要 連続した文字列 [J Y;V:P])で表示して下さい。
診断:診断基準が記載されていれば日本語で詳細に記述してください。主要基準, 副次基準など。なければ, どのように診断するのかを具体的にまとめてください。診断基準が別の引用文献にあれば, Referencesを参照し, その論文を"タイトル[雑誌名 年;巻:ページ]"(改行空白は不要 連続した文字列 title[J Y;V:P])で表示して下さい。
診断part
【入院後経過と考察】診断part作成プロンプト
これから以下の条件で【入院後経過と考察】の診断partを作成してください。カルテ原文は後ほど提示します。okのみ返してください。
条件
・ですます口調ではなく 常態
・受動態ではなく能動態(筆者目線)で記述 ×考えられた 〇考えた
・以下の例を参考に診断基準, 診断を記述した論文を参照し, 最後の一文は“以上より●●と診断した。”で終わる
・先ほどの診断に関する論文が診断基準の記載があれば 本例のカルテ原文を参照し, 合致項目のみを記述して下さい。例1, 「PMRの分類基準の1. 関節痛, 2. 50歳以上, 3. 炎症反応高値を認め, 3項目を満たした。■r」例2.「●ガイドラインの●●を満たした。■r」”
・診断基準の記載がない場合, 例3. 「●●に関する詳細な診断基準はないが, 一般的に●●で診断を行う■r」
・鑑別診断 3個挙げてください。診断基準の除外項目があればそのまま引用。 例4「また鑑別診断として●, ●, ●(3つ)が挙げられるが, ●なことから否定した。」
例:多発性硬化症で見られるような脱力や頭部MRIでの異常所見がないことより否定した。
・診断partなので診断以外, 例えば治療の記述は不要です。
・例1-4の形式で200文字程度でまとめてください。
・重症度, 病期など臨床分類してください。例:肺炎:ADROPスコア, CURB-65スコア, 心不全:NYHA機能分類, ACC/AHAステージング, 悪性腫瘍:TNM分類, 糖尿病:HbA1c, 糖尿病の合併症, COPD:GOLD分類, アルツハイマー病:軽度, 中等度, 重度, 腎不全:GFR, CKDステージ, 心房細動 CHADS2スコア
■rは引用文献です。”タイトル [雑誌名 年;巻:ページ]”で置き換え■rという表記は不要です。引用文献は文の最後ではなく途中に挿入してください。
治療part
【入院後経過と考察】治療part作成プロンプト
これから以下の条件で【入院後経過と考察】の治療partを作成してください。カルテ原文は後ほど提示します。okのみ返してください。
条件
・ですます口調ではなく 常態
・受動態ではなく能動態(筆者目線)で記述 ×考えられた 〇考えた
・改行, 空白は不要, 連続した文字列で表示して下さい。
・治療開始後の経過を説明して, 臨床症状, 所見の改善, 退院(改善無く死亡退院)までを記述。
・治療以外の話, 例えば診断の記述は不要です。
・医学用語に関して、略語が初出の場合は、その全称に変換してください。2回目以降の出現では略語を使用してください。例: GEMを初めて使用する際には「ゲムシタビン(gemcitabine:以下GEM)」と表記し、2回目以降は「GEM」と記述してください。ABVDを初めて使用する際には「ドキソルビシン, ブレオマイシン, ビンブラスチン, ダカルバジン療法(以下ABVD療法)」と表記し、2回目以降は「ABVD療法」と記述してください。薬品名は一般名を使用してください。抗菌薬に関してはsulbactam/ampicillin (SBT/ABPC) 3g 1日 3回のように一般名 (略名) 1回投与量 1日何回か。回数などカルテ原文に記載がなければ名称のみ。ステロイドはプレドニゾロン●mg/日のように一日量。
・主病名に対する治療を主に記述。主病名以外にも入院中に発生したイベント(院内発熱, 原因不明の胸水, 治療薬剤による副作用, アレルギー)に対する治療, 予想される副作用の予防についても記述して下さい。
例:「●月●日より●を開始した。」
例:「血栓症予防に対して持続ヘパリン●unit/日を開始した。」
例:「また, ステロイド性骨粗鬆症予防のためアレンドロン酸ナトリウムを開始した。」
例:「APTTが●と効果が乏しいと判断し●に増量した」「発熱が持続し, 呼吸状態, 炎症反応の改善を認めず●に変更した」
例:「その後改善を認め●日に退院とした。」
4.5 【総合考察】
論文学習
【総合考察】治療:論文学習ここにIDをコピペする:
Ask YourPDF で上の文献を参照して下さい。この論文を"[雑誌名 年;巻:ページ]"(改行空白は
不要 連続した文字列 [J Y;V:P])で表示して下さい。
治療に関して重症度, スコアごとに治療法が異なれば。それぞれの治療法について,
使用する薬剤, 用量, 期間など具体的に詳細に記述してください。全て日本語で記述してください。
下書き作成
【総合考察】下書き作成プロンプト
【入院後経過と考察】から以下の条件で【総合考察】の【下書き】を作成してください。筆者の臨床的な洞察と分析、個人的な評価や解釈に重点を置いています。治療について重点的に述べます。【入院後経過と考察】は程提示します。okのみ返してください。
① 診断:この症例の確定診断名を述べます。簡略に述べます
例:「本例は■と診断し■を行った例である。」
② 治療: この症例で行われた具体的な治療法(薬剤名, レジメンも述べます用量用法は不要)について説明します。現在のガイドラインや他の研究で推奨されている治療法と、この症例で行われた治療法を比較し, 必要性や妥当性を評価します。また, 実際行っていないが必要と考えた治療など他の研究の紹介を自分の考えとして記述します。先ほどAsk YourPDFで提示した参考文献に記述されている治療法はどのような状況で使用し, 本例と比較して導入基準を考察します。文中に複数の引用文献2-3個記載して下さい。
③ 指導:【入院後経過と考察】で言及されていなくても以下の内容で患者指導したということにする。患者が改善すべき生活習慣について考察します。再発を防ぐための具体的な指導や勧告を提供します。使用薬剤に対する指導の記述。例えばステロイド使用により出現する副作用対策など。1, 2文で短めに記述します。
校正
【総合考察】校正プロンプト
【総合考察】の【下書き】を以下の条件で校正し【総合考察】を完成させてください。
条件:
・ですます口調ではなく 常態 ~である。
・受動態ではなく能動態(筆者目線)で記述 ×考えられた, 思われた 〇考えた
・改行, 空白は不要, また「①診断」などのtitleは不要で連続した文字列で表示して下さい。
・■は全て文字列で置換してください。
・■rは引用文献です。” [雑誌名 年;巻:ページ]”で置き換え■rという表記は不要です。引用文献は文の最後ではなく途中に挿入してください。
例:「本例は■と診断し■を行った例である。」
例:「■rでは■に対して■が推奨されている。」
例:「■では■がしばしば問題となるため■を行う■r。」
例:「本例には行っていないが■という報告もある■r。」
例:「■は■により再燃することがしられており■を指導した。」
例:「■は使用により■が出現するリスクがあるため■。」
環境整備, 倫理型
【総合考察】環境整備, 倫理型 作成プロンプト
先ほどの【入院後経過と考察】から以下の条件で【総合考察】を作成してください。
退院後の環境整備が重要となった症例に関しては①の内容を重点的に, 倫理的考察が重要の場合は②を重点的に述べてください。主治医として疾患の治療だけでなく, リーダーシップを発揮し退院後の環境整備を構築する, 終末期の医療をに総合的に考察することに重点を置いています。
条件:
・ですます口調ではなく 常態
・受動態ではなく能動態(筆者目線)で記述 ×考えられた, 思われた 〇考えた
・改行, 空白は不要で連続した文字列で表示して下さい。
① 社会的背景と生活状況など患者の背景を把握します。患者のライフステージ、家族の構成、家事、妊娠、子育て、職業など、特に高齢者の場合には、自立生活の可能性や同居介護者の有無などの具体的な状況も詳細に把握します。早期から地域包括ケアシステムなどの公的機関、産業医、多職種間の連携をはかります。介護、訪問診療、リハビリテーションなどを含む全体的なケアプランを策定します。また、地域のリソース(デイサービスや地域福祉サービス、高齢者向けの社会活動等)を提供、活用します。
② 患者の自己決定権を尊重する視点から全人的な考察を行います。患者の心理的、社会的、文化的な状況についての考察を深めます。治療提供における公平性についての深い考察を提供します。終末期・緩和医療の考察: 終末期の治療や緩和医療の視点からの深い考察を行います。