ChatGPTに症例報告用のパワーポイントスライドを作ってもらいたい 考察, 質疑応答編
0. はじめに
※ 悲報
2023/10 AIの日々の進化から本記事は完全に時代遅れになりました。
↓ 最新の情報となります
前回の記事では, 病歴要約テキストファイルを半自動でプレゼン用スライドをMSパワーポイント形式に出力する方法を紹介しました。
症例提示の【タイトル】,【主訴】,【現病歴】,【検査値】など形式が定まった文章の自動整列はChatGPTの得意分野だと思います。これらの入院後経過までの内容はある程度の「決まった型」が存在しているので誰が作っても似たような内容になることはあると思います。一方, 考察パートは発表者が症例に対して「考えた」内容であって, 考察能力がないAI (ChatGPT) には基本的には代行は難しいです。今回【考察】パートの完全な代行は無理でもこちら側が具体的に手伝ってもらう内容を指示しどの程度効率化につながるかを検証しました。
1. テーマの設定
症例報告のスタイルとして大体以下のように分類されるかと思います
① 疾患自体が稀
② 疾患は稀ではないが経過などが非典型的 (稀)
③ 新規治療 (介入) など行った
【考察】パートの構成としては【緒言】【症状】【検査】【診断】【治療】【先行研究 (他の一例報告)との比較】【この症例から学ぶべき教訓】などが含まれていればそれなりの形になるかと思われます。自分で考えるのすらも面倒くさいのでChatGPTにタイトル考えてもらいます。
んー 肺吸虫症今まで診たことないです。イメージがつきませんね.
まあまあ稀ですね。
代表的な論文を読んでみるとあまり治療法では話が膨らみそうにはありませんでした。また, 国内限定にしたら文献見つけるの苦労しそうなので今回は無難に「診断に苦慮した肺吸虫症 (Paragonimiasis) の一例」で作ってみます。
今回は実際に学会に提出するわけではなくChatGPTでどこまでできるかの検証, demo的な意味合いを込めて架空症例を設定しました。
ありそうな設定を提案してもらいました。
2. 準備
2.1 用いたプラグイン
今回用いたプラグインは以下の通りです。参考文献を読み込ませたり, テキストファイルから図などの作成を行いました。
2.2 参考文献の準備
あちこちで言われているとおり現時点 (2023/5) でAIを駆使して, 望みの論文を自動で見つけることは困難だと思います。
最近, Pluginsが公開されましたがβ版のせいか, 検索能力, 時間含め効率が悪く, Pubmedなどで自分で探した方が良い気がします…
肺吸虫症に関する論文をPubmedで検索し使えそうなものを数本選びました。論文をChatGPTに読みこませ学習してもらい, 資料作成をしたいと思います。Pluginsを使いPDFを読み込ませます。
Pluginsの中で個人的に優秀と思っているのがAsk your pdfです。
下のサイトで
Pubmedなどで準備した論文pdf fileを上のアイコンにドラッグ＆ドロップします。
リンクID ここでは 「d3321a53-a4b8-44e7-ac5a-6e9f2bef9dc0」 が生成されましたので ChatGPTに貼り付けます。
この論文に関する質問の解答や要約などをしてくれます。
後で患者比較表を作成しますので患者情報を抽出しておきます。
4-5本論文を提示して学習してもらいます。一度に複数のリンク先を提示するとバグ (β版のせい?) でうまくいかなかったので1度に1本ずつ論文を読んでもらいました。
これで準備完了です。
3. 作成
3.1 【緒言】
ありがとうございます。ではそのように【緒言】を作成してください。
肺吸虫症一般の話ですのでWeb browsingで作成しました。
3.2 【症状】
CDCの肺吸虫症を解説したホームページをLink Readerで読ませて要約しましました。さらに手持ちの論文から症状の頻度の表を作成しました。
出力したテキストをパワーポイントへ手動でコピペさらに色などをかえています。
3.3 【検査, 診断】
同様にAsk YourPDFで手持ちの論文を2本読ませた後, 「それぞれの論文から表を作成してください」みたいなプロンプトで出来た表を手動でパワポにコピペしました。
3.4 【治療】
今まで読み込ませた論文とCDCガイドラインを要約してもらいました。
なかなかの出来ではないでしょうか。
3.5 【他の研究との比較】
次は他の報告と比較した表の作成です。「これまでの5名の比較表お願いします。」でもある程度の表はできますが, 以下のプロンプトでしっかりとした表を作成しました。
出力したテキストをパワポにコピペし色, フォントなど変更を加えました。
かなりまともな表が出来ました。これは手打ちする時間の短縮で
3.6 【教訓】
プロンプト「表の5名を比較して総合考察を行ってください。早期診断するためにはどうすればよいか 教訓的なものもお願いします。」
「さらにshow me を用いて診断チャートを作成してください」
3.7 【その他, 図表など】
webページをLink Readerで読み込ませ, webページのテキストファイルから, 肺吸虫の生活環の図 (show me), 原因食品の円グラフ (wolfram) を作成しました。
4. 原稿の作成
完成したすべてのスライドに対して学会の読み原稿を作成してもらいます。
完成したパワーポイントファイル (ppt) をAsk YourPDFで読み込ませてプロンプトします。
プロンプト
0680f638-203e-46b2-9b9d-cef94e70a48e
Ask yourPDFで上のパワーポイントを参照してください。
上のスライド9枚で学会発表を考えています。各スライドを要約して出力例にならって
原稿を合計1500文字で作成してください。●は文字列で置き換えてください。
出力：
S1:●
S2:●
...
S9：●
んー 全然だめですね。スライドを1枚ずつ読ませると精度が上がりますが , 手間がかかるので自分で書いた方が速いなと思いました。いくつかのプロンプトを試行錯誤しましたが駄目でした。
5. 質疑応答
ありそうな質問ですが基本的ですのでもう少し踏み込んだ質問が欲しいところです。質問5をさらに掘り下げます。
他の論文を読ませて専門的な質問と回答を考えてもらいました。
ふむふむ
なるほど
素晴らしい。
6. 抄録作成
内科地方会のstyleで抄録を作成してみます。
0680f638-203e-46b2-9b9d-cef94e70a48e
このパワーポイントをask pdfで参照して下さい。学会発表を予定しています。
演題抄録を以下の条件のもと, 出力例の通り600文字で作成して下さい。
■は表示不要で文字列に置換してください。
条件：
■t タイトル一行で
■b 演者の所属 施設名
■a 発表者
■1 年齢, 性別
■3 経過を300文字で要約
■4 考察を100文字で要約
■5 キーワードを3単語で
出力：
■tの１例
■b
■a
【症例】■1【主訴】■2【現病歴】■3【考察】■4
キーワード：■5
下書きとしてはまずまずではないでしょうか。
7. まとめ
質の高い論文の準備が一番の律速です。
質疑応答, 図表の作成はすこし感動しました。