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(大人の博物館見学)ちかはくに行こう!

夏休みの自由研究、って、小中学生の時に取り組みましたね。当時のエピソードとして覚えているのは、
 ①京都・八瀬の高野川で河原の石拾いをして、拾った石の名前を
  青少年科学センターで教えてもらうイベントに参加していた際、
  ラジオの生取材を受けた。
 ②とにかく、京都駅から発着する全列車とバスの現地に提示されている
  時刻表を転記し、まとめた。
 ③琵琶湖疎水のことを調べたくて、三井寺とか蹴上とか南禅寺に行った。
 ④巨椋池干拓地を調べるために、自転車で向島、槙島、東一口などを
  走り回った。
 ⑤化学実験と称して、落花生から油を抽出し、石鹸を作ろうとしていた。

こんな経験を思い出します。当時からちょっぴりマニアックで土木な少年だったことが、何となく思い出せるかと(笑)。

さて、そんな少年も大人になりました。子供と一緒に取り組む自由研究も、お父さんの趣味に付き合わされて、マニアックな経験をしてもらっています(笑)。例えば、自宅のある八王子市・南大沢で降った雨はどこに流れていくかを辿りながら、河口である多摩川の下流端の羽田空港まで歩いて行ったり、

美味しいごはんを炊くことを探求してみたりしながら、自身でも自由研究の傍ら、(なぜか)レポートを書いてみたりして、楽しんでいました。

そんな中、「大人の自由研究って、おもしろい!」ということを、再認識するようになり、そんなことをやってみたいと思っているところです。

ということで、子どもが勉強するのを横目に(今は、もう自由研究を課せられる年齢じゃなくなりましたが・・)、大人も自由研究!ということでやってきたのが・・、

東京メトロ東西線の 葛西駅。地下鉄といいつつ、高架駅です。

この場所にあるものと言えば・・

「地下鉄博物館 当駅下車」 地下鉄の世界へ出発進行!

こんな博物館がありますので、行ってみました。

■地下鉄博物館に入る

葛西駅の高架下の一角にあるのが・・、
地下鉄博物館、なのです。
入館料は、なんと、大人220円、子ども100円!
ちょっと懐かしい自動改札に券を通して入ります。

■数々の展示物たち

まずは館内でひときわ目立つのは、昔の丸ノ内線と銀座線の車両展示。
銀座線の1000系は・・
国指定重要文化財であり、機械遺産認定がされています。
銀座線と丸ノ内線は、第三軌条方式という集電方式が採用されています。
銀座線の集電靴は、一部木製です。
丸ノ内線の集電靴は、鋼製。このあたりが進化しているのでしょうかね。
第三軌条用の集電レール。特別に純度の高い鉄で、
集電するのに最適なのだとか。1926年米国産。
これは、打子式列車停止システムです。線路の右にある白い突起が
とびだしている状態(赤信号)の場合、列車に付いた突起に
接触し、非常ブレーキがかかる仕組みです。
打子式システムを紹介しています。
こちらは、営団地下鉄のマンホール。

続いては、土木系の展示。

トンネル側壁のコアを抜いたところ。コンクリートの外にアスファルト防水がされ、
その外側を保護モルタルで覆っている状況がわかるものです。
こちらは、コインを入れてぐるっと回す形式の
当時の自動改札です。ガチャガチャみたいな原理です。
丸ノ内線のJR交差部の模型。苦労して当時の線路直下に
新しい躯体を作った模様を知ることができます。
とてもリアルな模型です。
丸ノ内線トンネルの両側アーチは補強されているようです。
別角度から見た、東京駅付近の高架線。レンガ造りの山手線・京浜東北線に
RC造りの東海道線が線増されているのがわかります。
トンネル工事で出土した、ナウマンゾウの骨と歯と木製の水道管
JR直下を横切る丸ノ内線と、そのさらに下を横切る千代田線。
こんな複雑な場所を走っていることをわかりやすく明示しています。
こちらは、副都心線の新宿三丁目駅の模型。
丸ノ内線の下、都営新宿線の上に大規模な地下駅。よく作ったな、と感心します。
これは地下を走る副都心線の地下部の模型。複雑な地形に上下に交差するトンネル。
いやはや、やっぱりすごいね、と感心させられます。
地上にはこんなすり鉢状の地形があるのですが・・。
地下も負けず劣らずとても複雑です。
こちらは、副都心線を掘削したシールドマシンのカッターの一部。
微妙にビット位置が平らでないのは、真ん中を先に掘り、徐々に周囲に広げていく
掘り方をしているからなのです。
そして、このビットはトンネルの半径よりも少し大きく掘削するためのもの。
大きく掘って、シールドと地盤との摩擦を小さくしているのですね。
そして、掘った土はこのスリットを経由して、機械の中に取り込みます。
大きな礫があるのであれば、スリットが小さすぎると詰まってしまいます。
こちらは、開削工法で施工される駅部の地下の模型。
切梁と路面覆工、躯体構築の世界。
下床版の鉄筋を組み立てて、躯体を構築しています。
都市土木工事の勉強にはとても良い素材です。
これは、駅の部分をシールドで掘った際の、めがねシールドの断面図。
両側の円形シールドを掘削し、真ん中を「ルーフシールド」で掘って完成させます。

(渡辺:めがね型駅シールドの設計、土木学会年次学術講演会、1970.)
http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00035/1970/25-03-0279.pdf

これは、シールドジャッキの実物です。
こちらは、作業用のモーターカー。
列車運行していない時間に作業用に走っています。
こちらは、シールドトンネル区間の鉄道施設の原寸大模型です。
これは、剛体架線といって、トンネル内の狭い断面で採用される架線。
狭隘部分で使用できる反面、列車速度は上げられません。
軌道周りには、様々な機器があります。
特に地下鉄の機器は通常みられないので、ここの展示はとても貴重です。
点字ブロックも展示されています。誘導ブロックと警告ブロック。
こちらは、昔の銀座線渋谷駅の車庫の模型。
パンタグラフと、電車のモーターの切断模型。
こちらは、東京高速鉄道(銀座線の新橋~渋谷間の前身)の車両と台車。
東京高速鉄道の路線図。東京地下鐡道と直通して浅草まで行ったのと、
将来計画として、新宿までの路線(今の丸ノ内線)が描かれています。
企画展示は、営団の「S」マークの特集でした。
巨大なSマークは、上野の地下鉄ストア(今の東京メトロ本社)に掲げられていたそうです。
こうやって見ると、昭和の匂いを感じる標示です。
今は無き、灰皿や痰ツボ。「YOUタン禁止」というシャレは
今では通用しなさそうですね。こんなのが駅にあったのは時代の違いでしょうか。
これは、営団旗。どう言うときに用いるかと言うと・・
開通式で必ず掲げられる、営団地下鉄のお宝のような旗だそうです。
銀座線の01系は、子供たちの人気者。
ドアの上の銀座線案内が、懐かしすぎます。反対側のドアが開くのね(笑)。
メトロ各線がレイアウトされた鉄道模型ジオラマ。
小さいお子様は大喜び。結構手の込んだ作品です。
相互乗り入れ車両が走らないのは、大人の事情、でしょうね(笑)。
ちょっと懐かしい東西線車両の模型もあります。
この千代田線6000系は、つい先日まで走っていた気がします。
東京地下鐡道株式会社の社訓。
ちょっと時代を感じるところはありますが、とても良いこと書いてあると思います。
これは、東京地下鐡道開業の際、大倉喜八郎が詠んだ句の袱紗。
「地下鉄は 世に珍しき 初ものと 利便と幸を 乗せて開業」
そして、地下鉄創業の父、早川徳次さんの胸像。
地下鉄起工式の写真と、当時の社員読本。
当時の社長は初代土木学会会長の古市公威さんだったそうです。

■終わりに

地下鉄博物館は、高架下の小さな博物館と思いきや、とっても展示物が充実していて、大人にとっても見ごたえのある展示物が盛りだくさんでした。この展示が、「大人220円(子ども100円)」で楽しめてしまうとは、本当にすごいと思うこの場所です。

夏休みは、こんな大人の社会見学に出るも良し、子どもを連れて楽しむのも、子どもが楽しんでいるのを横目に大人が楽しむなど、いろんな楽しみ方がありますので、是非試してみてください。

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