思わぬ取引先からのメール
退社直前、このメールだけチェックして帰ろう、と思って開いた取引先からのメールの最後に「家族が御社商品を愛用しています。いつもありがとうございます。」と書かれていた。
「嬉しいお言葉を本当にありがとうございます。とても励みになります。商品共々今後ともよろしくお願いします。」と返事をした。
会社の上層部にほとほと嫌気がさし、とうに愛社精神を無くした私にとって、励みになったのは喜んでもらえるように今後も良い商品を作ろう、という思いからではなかった。
なんとなく、世の中にはこの方のように仕事の関係者とも純粋な人間関係を築く人がいるんだ、と知ったからだ。
この方や皆さんにとっては普通のことかもしれない。ただ、ドライなやりとりに慣れてしまい、自分の意思より会社の意向で働くようになってしまった私の心にはじんわりとシミを作った出来事だった。
瑛人の香水を聞いた時もチクリと胸が痛んだ。人に、自分に嘘をつかないで生きていけるようになりたい。
でもみてよ今の僕を
空っぽの僕を
人に嘘ついて軽蔑されて
涙ひとつも出なくてさ
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