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【感想】劇場版「きのう何食べた?」|幸せの形はそれぞれ
1月は『孤独のグルメ』で孤高に外食を嗜む独身個人事業主の映画を堪能しました。
今回はパートナーとの食事、自炊を主軸にした物語「劇場版きのう何食べた?」を観たので感想を書いていきます。
私はLGBTQの業界でいう異性愛者の「ノンケ」なのですが、見ていて考えさせられました。
アマプラでドラマを2シーズン分一気見して劇場版も観ちゃいました。
第2シーズンのポテトサラダは楽に作れるのでお世話になっております。
あらすじ
料理上手で倹約家の弁護士<シロさん>と恋人で美容師<ケンジ>。当たり前だったはずの平凡でゆっくりとした日常。二人の間に、そのかけがえのなさを実感する時が訪れる。
いわゆるゲイのカップルのお話です。
50代前後のカップルで相続や年老いた家族、職場の関係などリアルな物語です。
ただ、そこまで重い話ではなく、パートナーへの思いやりが伝わる暖かいストーリーです。
原作は2007年から連載しているご長寿漫画。
登場人物
筧 史朗(かけい しろう)/演:西島秀俊
通称シロさん。弁護士。見栄っ張りだが頼まれたことはきちんとこなす。
ゲイであることは基本的に隠している。
両親はゲイのことを誤解している節がある。
賢二と同棲中。
中の人的には名探偵ピカチュウの声優を担当されている方ですね。
矢吹 賢二(やぶき けんじ)/演:内野 聖陽
シロさんと同棲している美容師。人当たりが良く優しい性格。
母親と姉とは仲がいい方。
最近ハゲ始めて気にしている。
『仁』の坂本龍馬役の方。
小日向大策(こひなた だいさく)/演:山本 耕史
佳代子の夫のテニス仲間。芸能事務所のマネージャー。
航の家庭教師をしていた。
井上航(いのうえ わたる)/演:磯村 勇斗
通称ジルベールわたる。小日向の恋人で元教え子。
実業家の息子で嫉妬深くワガママな性格。わさビーフが大好物。
言いたい放題だが、確信をつくことも言う。
ツン要素の多いツンデレキャラですね。
富永佳代子(とみなが かよこ)/演:田中 美佐子
史朗の買い物仲間。富永家はさっぱりざっくりした性格の家族。
劇場版の時系列で孫が産まれる。
主な料理
シロさんのキッチンで作った料理は以下の通り。
今作は外食も多め。
リンゴのキャラメル煮
超簡単ローストビーフ
おせち用の黒豆
ぶり大根
感想
上映時間は2時間。
テレビドラマ4本分のストーリーです。
先に第2シーズンを見てしまったので、話の補完的な感じになっちゃいました。
よくあるファンタジー的な物語ではなく、相続や身内の死、職場の人間関係も込みの等身大なお話でした。
若いカップルではなく、壮年カップルというのも見ててしんどくないのも良いですね。
普通に幸せカップルの日常を見せられて、ほっこりさせられますよね。
シロさんもケンジさんも末永く爆発しやがれください。
マイノリティーの生きづらさ
原作は2007年から連載しているご長寿漫画。
ドラマや映画でもゲイへの風当たりの強さを感じますよね。
今は幾分か理解が深まったんじゃないでしょうかね。
エンタメ作品ではいわゆるオカマキャラといえばネタ枠や変態といったステレオタイプでしたがこういった自然体なキャラクター付けは良い感じでしたね。
最近はステレオタイプな同性愛者キャラって少ないのかな。
あんまり見かけない印象。
シロさんの両親は息子がゲイであることに抵抗があり、ケンジを正月に呼ぶことを拒否しました。
ケンジの家族はケンジのことを受け入れていて対照的でしたね。
全体的にギャグっぽく描かれていますが、実際のところ大変なのかなと思います。
それでも、シロさんとケンジさんや小日向カップルはひっそりと幸せに暮らしています。
性的嗜好のマイノリティーも大変だと思いますが、障がいやHSPといった障害ではないけど現代社会では生きづらい性質の人もたくさんいると思います。
みんな生きづらさの中で頑張ってんだな。
ケンジの優しさ
ケンジが良いよ良いよって言うのは自分の保身のためだと吐露します。
でもシロさんが言うように違うんですよね。
本人は気づいてませんが、ケンジは本当に相手のことを想っているんだと思いますよ。
大人になると我慢も多くなる
実質出禁を食らったケンジさん、気丈に振る舞っていました。
シロさんも思うところがたくさんあるでしょうがグッと堪えていることが多いです。
大人になると我慢することが多くなるんですよね。
反面、ジルベールや富永家、シロさんの親のようにデリカシーの無い人もいたりします。
自分は自己主張をせず我慢することが多いのですが、もしかしたら誰かを傷つけていることもあるかもしれませんよね。
浮気疑惑
職場の若いスタッフといちゃいちゃしているように見えたり、病院に通うケンジを見て大病になったのかと思いシロさんは不安で仕方なくなります。
大切な人がいなくなるんじゃないかと悩むシロさんと薄毛を気にしていただけのケンジとのギャップで笑いました。
いわゆるアンジャッシュのコントみたいなすれ違いで面白かったです。
とはいえLGBTQの方々は出会いが少ない分、お別れしたときのダメージが大きいんですかね。
人類の受け継がれ方はそれぞれ
佳代子さん一家の孫の名前に史朗の「朗」をつけました。
しかもたまたまシロさんのお父さんと同じ名前の悟朗に。
他人の家族でもシロさんの生き様が別の子供に受け継がれていくと考えたら人類単位の人の営みの受け継がれ方はそれぞれだなと思いました。
普通ってなんだろう
普通に学校に通って、普通に就職して、普通に結婚して、普通に家買って、普通に退職金をもらって、普通に孫に囲まれて死ぬ。
いわゆる「普通」の像を小さい頃からテレビ版番組や親や教師に言われてきましたけども普通ってなんなんでしょうね。
今の普通って明治時代や戦争中じゃ違うし。
2050年には今の普通もおかしいって言われるんじゃないですかね。
ノンケでも結婚する人が減ってるし
住宅ローンが資産じゃなくて負債って気づかれてきたし
大卒でも高卒でも給料に差がでないし
年功序列が崩壊して退職金をもらえる人も減っているし
世間様の普通や幸せじゃなくて自分にとっての幸せを探した方がコスパがいいかもですね。
とシロさんとケンジさんの生き方を見ていると考えさせられました。
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