iricのソルバーである「Nays2DFlood」を用いて浸水図を作成し、浸水実績図と比較しよう!(その4)
はじめに
前回から引き続き、iricのソルバー「Nays2DFlood」を用いて作成した浸水図の信憑性を検証することを目的に、浸水実績図との比較を実施します!
今回は、前回投稿の申し送り事項について対応していきます。
また、申し送り事項と前回の投稿は以下の通りです。
「検討河川に流入する河川の流量の時間変化」の設定
「建物の占有率」の設定
「浸水図作図範囲の粗度係数」の設定
検討河川に流入する河川の流量の時間変化
本検討では、日長川の流域界を包絡するメッシュを作成することにしました。そのため、検討河川に流入する河川の流量の時間的変化は設定しなくて良くなりました。解析条件が単純化することができて嬉しいです(笑)。
建物の占有率
建物の占有率について、用途地域ごとに建物面積を分析して算出することとしました。算出に先立ち、日長川の流域界を確認し、その範囲内における用途地域と建物面積の把握を行いました。
分析の結果、各用途地域の面積、用途地域上の建物面積、そして用途地域内における建築面積の占有率は以下の通りとなりました。これらのデータを基に、次のステップでは用途地域のポリゴンと建物の占有率を「Nays2DFlood」に読み込ませる予定です!
浸水図作図範囲の粗度係数
浸水図作成範囲の粗度係数は、「土木研究所資料 氾濫シミュレーション。マニュアル(案)ーシミュレーションの手引き及び新モデルの検証ー 平成8年2月 建設省土木研究所河川部都市河川研究室 p.33」を参考に設定しました。
粗度係数の算定には、以下の3つの占有面積が必要です。
A1:建物、農地の占有面積(m2)
A2:道路の占有面積(m2)
A3:その他の占有面積(m2)
A1、A2、A3の占有面積を求めるため、「1997年(平成9年)土地利用3次メッシュデータ」を使用しました。
土地利用種別の属性情報を、A1、A2、A3の占有面積算出のために振り分けました。
算定の結果、浸水図作図範囲の粗度係数noは0.056となりました。なお、浸水は陸上で発生するため、より正確な計算のために海水域の面積は除外して算定しています。
最後に
これでようやく解析条件が出そろいました!!
次回、Nays2DFloodで解析をしてみようと思います。
以上です!
読んでいただき、ありがとうございました。