見出し画像

ウチのみどりいちゃん。


みどりぃちゃんは今年で24歳。
職業は「やとわれ農業人」

最初に社員で入った農家でちょっとイヤな目にあったからすぐ辞めた。
病む前でよかったと思うよ。社会の洗礼を浴びたということだ。

んで、新しい会社にハケンで入った。
カンボジアとかインドネシアの方と仲良く働いていて
「カンボさん」とか「ネシアさん」って呼んでいる。
たまにひっくるめて「カンボネシアさん」とも呼んでいる。
圃場で蛇が出てもカンボネシアさんたちがひっつかまえて
しかもグルングルン回して気絶させてくれるから助かるんだってさ。
(みどりぃちゃんは昆虫は好きだけど蛇は苦手らしい)
ありがたいね。助かるね。

みどりぃちゃんはよく働く。
せっかくの夏休みでゆっくりしたいだろうに
ハハオヤがいちいち仕事をいいつけるので
実家でもシャベルや鍬を振り回していて
もう飽きたであろう草刈りも自ら進んでやっていた。
「カァサン、ヘタくそ」とか
「この草刈り機、やりにくい」とか言いながら。
(家庭用の電動草刈り機はお気に召さないらしい)
プロだ。
そして、クソ暑いのに厚手のパーカーを着ていて
ハハオヤに
「暑くないのか?」って聞かれてたけれど

「あっちは毎日37℃あるし、しかもいつもハウス内。」
「なんなら涼しいくらい」
と言っていた。頼もしいわね。

そんなみどりぃちゃんは
小さいころからハハオヤやおばぁちゃんに
「農家、いいね。何かを作るって素晴らしいね」と刷り込まれ、
農学部がある大学までのルートをほんのり敷かれていた。
徒歩圏内の高校に進学し、付属推薦で大学に入れてもらえたので
受験勉強もそんなにしていない。
農学部は理系選択だったらしいけれど
付属推薦なので文系選択でもなんとかなったみたい。
(担任の先生から、この子に「数3」は絶対に無理だから
このまま文系で行きましょうって言われてたしね)

ハハオヤは私たちの刷り込みで農業人になるって決めたのかな?
ってちょっとだけ心配していたみたいだけど、
実際、みどりぃちゃんは土をいじっていると落ち着く子だったし、
ハハオヤが家庭菜園みたいなことをテキトーにやっているのを手伝ったり、
その横に自分だけの畑を作ってみたり、
地元で売っている野菜は生産者さんの名前で買ったり、
高校三年生の時の夏休みには、朝の6時から自転車を一時間漕いで
山の上のキュウリ農家さんのところにアルバイトに行ったりしてたから
農業従事者への道は自ずと決めていたのかもしれないね。


みどりぃちゃんは高校を卒業してから一人暮らしで
今でも自炊をしている。
小さい時から料理上手なハハオヤの隣をウロウロして
なんとなく覚えたらしいのでそう苦労はしなかったらしい。
大学の仲間と宴会をするのもだいたいみどりぃちゃんの部屋で
8人分の料理をなんやらかんやらと作っていたから
みんなからは「おかん」と呼ばれていたそうだ。

この先みどりぃちゃんがどんな農業人になるのかは
誰にもわからない。
ハハオヤはこっちに帰ってきてほしいみたいだけれど
このあたりは「新規参入農業人」になるのは
ちょっとムズカシイみたい。圃場探すのも大変だって。
大学の同期が近くで米農家を継いでいるから
そこに潜り込むこともできるけれど、それは今ではないらしい。
(みどりぃちゃんはイネ科アレルギー)

どんな農業人になったって、いや農業人にならなくったって
みどりぃちゃんはみどりぃちゃんだし
それはみどりぃちゃんの人生だから
ハハオヤは、口も手も出さないと決めていて
ただ、心はいつもよりそっていようと思っているらしい。

頑張れ、みどりぃちゃん。

みどりぃちゃんの座右の銘
「淡々と、生きる」

これは中学生のころから変わらないらしい。
中学生で「淡々と、生きる」って・・・・











この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?