見出し画像

なんちゃって家庭菜園おばさん。②。

「タ、タスケ・・・てぇ・・・」

何やら、西側の庭から奇妙な声がした。
(ような気がした)
西側の庭、そこはには小さな
「なんちゃって家庭菜園」がある。

こないだワケギのようなものを
テキトウにギュンと埋めたけど
いつまでたっても芽が出ないから
ネット情報にイチャモンをつけていた
ところだった。

あまりにも芽が出るのが遅くって
そのうち庭にも行かなくなって
いつのまにやらツユクサが畝を
覆ってしまっていて、
私はもう来年の春まで
家庭菜園のようなものは放置しておこうと
思っていたところだったんだが。

「タ・・タスケ・・てぇぇ・・」
と、またもや聞こえた(ような気がした)ので

ちょっとだけ、庭に行ってみた。
相変わらずツユクサが幅を利かせていて
しかもまだまだ蚊がブンブン飛んでいて
刺されるのもイヤだから
蚊取り線香を持って行った。

あ、そうだ、芋・・・・
コンポストからニョキと出ていた
芋ヅルを試しに埋めていたところ
なんだかグングン成長していたのを
掘らなきゃということを思い出した。

あの声らしきものは芋からの
「掘ってください」の要望だったのか??

まぁ、よい。
ワサワサと茂った芋ヅルを切って
さぁ、出でよ!芋!!

いや、待て。違う。
芋ヅルの隣の
ツユクサジャングルのその奥から

「オバサン・・・そこの、
なんちゃって家庭菜園オバサン・・・
タスケテ・・・」

・・・・
はっ!!!!??
私がツユクサジャングルの隙間から
見たものは・・・

ワーケーギーーーー!!!
芽がでー--てー--たー---!!!

ってか、ワケギじゃなくて
小葱??だってさ、
ほっそいのよ。
んで、ひょろっこいのよ。
よわっちいのよ。

そりゃそうだ、
ツユクサに覆われて
陽も当たらなくて
伸びる隙間もなくて

それでも頑張って
芽を出してたのに。

それなのに
ほっそいとか
ひょろっこいとか
よわっちいとか
言われたくないわヨ。
ほんと、このオバサンったら
失礼しちゃうわヨネ。

放置してたクセに
芽がでないとかなんとか
ネット情報にいちゃもんつけてさ。
下から「タスケテ」って言って
よかったよね。
上から言ったって
どうせ、このオバサンは聞いちゃ
くれなかったヨネ。

・・・・
立派に芽を出してくれていた
この子ぉらの魂のヒソヒソ話が
聞こえた。(ような気がした)

私は、
「ごめん、ごめんよぅ・・・」
と言いながら
ツユクサジャングルをかき分けて
ワケギ、いや小葱に
サンサンと陽が当たるように
させていただきました。

持ってきた蚊取り線香も放り出して
それはそれは、時間をかけて
丁寧に手作業でツユクサを
抜かせていただきましたとも。
えぇ、えぇ。

これでワケギ、いや小葱?が
満足したかどうかは
これからの成長を観察しないと
わからないけれど。

無事にワケギ、いや小葱を救出し
芋も掘って作業を終わらせて
ひとつだけわかったことは

私の瞼が
蚊に刺されて膨れ上がっている、
とういことだった。

カユイ、タスケテ・・・・



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?