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2024夏 四国旅行記(その1)

 もはや旅も食傷気味だが、さりとて家にいてもやることもないので、例によって今夏も青春18きっぷ旅行に出た。まだ訪問したことのない高知県で泊まることを第一目的に、大阪→和歌山→徳島→高知→愛媛→岡山→大阪という一筆書きのようなルートをたどる2泊3日(2024年8月15日~17日)の旅だった。

とくしま好きっぷで南下

南海難波駅

 この日の早朝、大阪市などで一時24万戸あまりが停電する事態が発生し、大阪環状線などでダイヤが乱れた。元の旅程では阪和線と紀勢線で和歌山市駅へ出て、南海和歌山港線に乗り継ぐ予定だったが、大事を取って難波から南海本線で南下するルートに変更した。

とくしま好きっぷ

 南海難波~和歌山港間の鉄路と、南海フェリーがセットで2,500円の「とくしま好きっぷ」で、難波6:38発の急行和歌山市行に乗る。車中、13日深夜放送のTBSラジオ「爆笑問題カーボーイ」CD田中スペシャルを、radikoタイムフリーで聴取した。

 和歌山市駅で、和歌山港線に乗り継ぐ。加太線観光列車「めでたいでんしゃ」が運用されていた。てっきり加太線専用かと思っていたが、和歌山港線も走るとは知らなかった。

 和歌山港に着く。南海フェリー乗り場の待合所は狭く、券売機とトイレ、自動販売機はあるが、売店はなかった。乗船開始時刻まで多くの人が立って待っていた。

南海フェリー船内

 「かつらぎ号」船内は、先頭のグリーン席では前面展望ができるが、私は一般席だったので正面はテレビ。NHK総合が映っていた。海が見えるようにと左端の席に座ったが、エンジンのせいなのか周期の短い揺れが激しくて酔いそうになったため、中央側に移り、眠ってしまった。

南海フェリー徳島営業所

 2時間ほどの乗船で徳島港到着。出口すぐのバス乗り場で、徳島駅へ直通する市営バスに乗り込んだ。

徳島

 徳島県内には小学生時代に訪問したことがあるが、徳島駅周辺に行った記憶はない。

徳島駅前の阿波おどりの絵画

 この日は阿波おどりの開催期間にあたり、商業施設アミコをはじめ、あらゆるところでお囃子が店内BGMとして鳴っていた。ラルフ・ローレンでも阿波おどり、マックレガーでも阿波おどり、ポール・スミスでも阿波おどりであった。

 お昼ご飯は、アミコ東館地下1階のうどん店「ふなもとアミコ店」にて、平打ち麺を頂いた。大根の関東炊きと、コショウの利いた爆弾コロッケのセットである。770円。

 よくわからないが、ふなもとは再出店した店舗らしく、告知ポスターが洒落ていた。

西へ

JR徳島駅ホーム
徳島線列車(徳島駅)

 昼飯も済ませて、やっと18きっぷの使用開始である。

 徳島11:52発・阿波池田13:47着の徳島線、阿波池田13:49発・高知16:05着の土讃線に乗った。阿波池田の乗り換えがタイトで焦ったがちゃんと土讃線も着席できたので良かった。ちなみに阿波池田駅の住所は「徳島県三好市池田町サラダ」という珍地名である。

 土讃線では途中、新改駅(高知県香美市)でスイッチバックがあった。マニアの間では有名らしいが、私は何も知らなかったのでてっきりトラブルでも起きたのかと勘違いした。

 車内では軽部謙介著『人事と権力──日銀総裁ポストと中央銀行の独立』を読む。新日銀法で政府からの独立を果たしたはずが、正副総裁や審議委員の人事によってむしろ政治から手を突っ込まれることになっていく過程のドキュメントで、なかなかおもしろかった。

 合間にスマートフォンを開くと、ジーナ・ローランズの訃報に接する。夫のジョン・カサヴェテス監督とともに、アメリカのインディペンデント映画を開拓した功労者である。ショックで呆然としてしまった。

 地方のJRだと、さっきまで完全に山間を抜ける閑散路線だったのに、県都級の駅に近づいた途端に一気に通学移動客の乗り降りが発生して別世界かのように感じることがある。土讃線も例に漏れず、後免駅あたりからは急に中高生と思しき乗客が増えた。

高知到着

土讃線列車(高知駅)

 夕方に高知駅到着、「ホテルタウン錦川」に投宿した。肌着を持ってき忘れたこともあり、ホテルの無料レンタサイクルを借りて、イオンモール高知まで走った。

 途中で立ち寄ったのがこの要塞のような集合住宅「沢田マンション」である。圧巻の構造美に立ち尽くすような感慨があったが、これは建築素人の夫婦が独力で作った「セルフビルド建築」というらしい。違法建築とされつつも実際に居住者もいて行政からは黙認状態だという。

 晩御飯はホテルから徒歩圏内のひろめ市場の「土佐蔵社中」にて、カツオのタタキ定食。普段は控えているお酒も、旅先なのでビール1杯だけ頂いた。

 この日は、8月8日に発表された「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」の注意呼びかけ期間の終了日だったこともあり、地元のニュースでは街の声などを報じていた。一見した感じでは、ひろめ市場も大賑わいで観光客の足が遠のいた感じはしなかったが、県内で1万2千人余の宿泊予約キャンセルが発生したという。

 土産物屋でミレーのビスケットを買ってホテルに戻り、夜食にして入眠した。

(つづく)



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