『エドワード・ヤンの恋愛時代』
人の話を聴くということは、そう簡単にできることではない。ほんとうに自分は人の話を聴いているのか。あるいは、ほんとうに自分は人に話を聴いてもらえているのか。言葉が上滑りする会話しか、私には経験がないのではないか。
コミュニケーションに戸惑い、恐れる人間は私だけではないだろうが、28歳になろうとする今も、聴くことの困難という壁のほんとうの高さをまだ知らないような気がしている。
本作の登場人物たちも、人に言葉が届くとか、人の言葉が自分に届くとか、そうした経験を持たないのか