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秀逸なボトルデザイン変更 『アラン・モルト』

■前回に引き続き

前回の「ベンローマック」に続き、スコッチのモルト蒸溜所における「リブランディング」の事例のご紹介です。

スコッチ業界の盟主によるリブランディング 『ベンローマック蒸溜所』|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)


■アラン島とは?

今回、ご紹介するアラン蒸溜所(現在は蒸溜所名をロックランザ蒸溜所に改称)は、スコットランドのアラン島にある蒸溜所です。

アラン島は、高い山があることもあって、島の北と南では気候風土が大きく異なり『スコットランドの縮図』ともいわれている島です。
ざっくりですが、島の北側がハイランド南側がローランド的な風土といったイメージです。

ちなみに、お隣のアイルランド共和国に属する「アラン諸島」とは別の島です。

ただ、スコットランドのアラン島も、アイルランドのアラン諸島も有名な観光地なだけに、紛らわしい!!

アイルランドのアラン諸島は世界自然遺産に登録されている島もありますし、アランセーターでも有名です。
アランセーターは、元々は「漁師さん向けのセーター」であり、『防寒・防水』のための服だったそうです。

アイルランド発祥の伝統的なニット「アランセーター」とは? | THE RYUGAKU [ザ・留学]


■そのスコットランドのアラン島では

かつては、アイラ島同様にウイスキーの密造のメッカだったそうで、そのアラン島のウイスキーは『アランウォーター』と呼ばれていました。
それくらいウイスキーづくりが盛んだったということですね。

しかし、1837年を最後に160年間は、ウイスキーは一滴もつくられませんでした。

スコットランド全土を見渡せば、1824年に新しい酒税法がはじまって、グレンリベットが政府公認第1号蒸溜所として登録されると、

新酒税法では、密造するより
公認蒸溜所になった方が得!

とばかりに、一気に公認蒸溜所が増えます。というか、密造が激減します。

そして、1860年にブレンディッド・ウイスキーが発明(※1)されると、1898年のパティソン事件(※2)まで、スコッチウイスキー全盛の時代が到来します。

※1
『ブレンディッド・ウイスキー』、はじまりは雑貨屋のオヤジの閃きから!|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)

※2
【ついにバブル崩壊】パティソン兄弟の2つの過ち《パティソン事件:③》|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)

Q)なぜ、アラン島の密造蒸溜所は、公認蒸溜所へ移行しなかったのか?(1824年~)
→ひょっとしたら移行したけど閉鎖したのかも知れませんが。

Q)なぜ、スコッチ全盛期にアラン島で蒸溜所が、再建されなかったのか?(1860年~)
→一方で、アイラ島ではこの時期に蒸溜所が開設されています。

不思議ですね。

アラン島にあった蒸溜所の閉鎖は「重税の取り立てが原因」とされているのですが、であれば「グレンリベットやマッカランのように、公認蒸溜所へ移行すればよかったのではないか?」とも思いますし、イマイチわからない部分があります・・・

これについては今後の宿題としたいと思います!


■アラン蒸溜所とは

これも紹介しだすと、何話もかかるので、超すごいポイントを2つだけ挙げるとすると以下の通りです。

《アラン蒸溜所 すごいぞ!ポイント》

①    スコッチ不況下での蒸溜所開設
→1995年に創業。スコットランドで20世紀に創業した最後の蒸溜所と言われています。

②    創業者が業界のプロ
→ 創業者は元シーバスリーガル社の重役ハロルド・カリー氏。

なんか、「逆境下での蒸溜所開設」「異業種でなく同業種からの参入」という点は、ベンチャーウイスキーを創業したイチローズモルトの肥土伊知郎さんの草創期と似ています。

2008年、逆境に立ち向かって蒸溜開始 イチローズモルト!!|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)

そして、業績好調のアラン・ディスティラリー社は、2019年にアラン島南岸に2つ目となるラッグ蒸溜所を開設しました。

それにともない、1つ目のアラン島北岸にある蒸溜所名を、アラン蒸溜所から、ロックランザ蒸溜所に改称しています。


■アラン蒸溜所のシングルモルト・ウイスキー

2019年に、2つ目となるラッグ蒸溜所を開設して、1つ目の蒸溜所をロックランザ蒸溜所と改称すると、ブランド・イメージを一新しました。

この旧アラン蒸溜所、現ロックランザ蒸溜所から発売されているシングルモルトが、こちらです。

◇旧アラン蒸溜所
  アラン・モルト

◇現ロックランザ蒸溜所
  アラン・シングル・モルト

文字だけだと、
「シングルって文字が入っただけやないかい!」
という話ですが、ボトルの見た目は大きく変わっています。


■で、本題の「勇逸なボトルデザイン変更」

◇旧アラン・モルト

悪くないですよね。
まぁ、普通といえば、普通のデザインですが・・・


◇新アラン・シングル・モルト

※    写真は、下記「BARREL アラン・シングルモルトを学ぶ」から引用してています。
ウイスキー「アラン・シングルモルト」を学ぶ!味や種類、おすすめの飲み方 (barrel365.com)
(また、こちらにはアラン・ディステラリーについても詳しく解説されているのでご参照ください。)

なんかカッチョいい。
他にあまり類を見ないボトルシェイプ!
古風であり、逆に現代風でもある!!

個人的には、まさに「アランウォーター」というか、ボトルの形状が『密造酒を隠し入れておく瓶』のように見えますね。

◇オフィシャル・コメント

■アラン島の自然を感じ取れる新ブランドデザイン
新ブランドデザインは「A Breath of Fresh Arran」というタイトルで、地元のアラン島・ロックランザ村に起源することに焦点を当て、アランモルトの自然の要素と地域性を表現することを目的としています。アラン島を象った新しいロゴには、蒸溜器とアラン蒸溜所の歴史に根深い2羽のワシを配しています。このワシは蒸溜所の裏手の山に巣をつくり、1994年に蒸溜所の建設を中断させ、その後も25年間住み続けています。ボトルのデザインはアランモルトの仕込み水に使用している、清らかな水源「ロッホ・ナ・ダヴィ」をボトル肩口の波紋や底面のデザインで表現しています。

シングルモルトウイスキー 「アランモルト」 新デザインで登場 | ウィスク・イーのプレスリリース | 共同通信PRワイヤー (kyodonewsprwire.jp)

このボトルデザイン変更は、ウイスキー愛好家からかなり好意的に受け入れられているようです!


■こうして

2つ目のラッグ蒸溜所の開設とともに、ボトルデザイン=ブランド・イメージを一新した新生ロックランザ蒸溜所。

「デザイン変更」に加え、「中身品質」の高さも相まって、現在では「アラン・シングル・モルト」は、手に入りづらいほどの人気となっています!!

さすがですね!


やっぱり、

マーケティング × 中身品質の追求
⇒ これの両立!

が大切なんだと思います!

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