ライスウイスキーには、麦芽が入ります!《ライスウイスキー:後編》
■前回からの続きです
ライスウイスキーと米焼酎は、どちらも米を原材料とする蒸溜酒です。
それぞれで蒸溜技術の歴史背景が異なりますから、随所に違いが見られます。
ただその中での、大きな違いの1つとしては
「木樽熟成させているかどうか」があります。
通常、ウイスキーは琥珀色で、焼酎は無色透明です。
それでは、
という疑問が浮かんで来ます。
■回答は?
それでは、「木樽熟成させた米焼酎」と、「ライスウイスキー」では、何が決定的に違うのでしょうか?
■穀物のお酒は糖化が必要
お酒というものは、ほとんどの場合
からつくられます。
(はちみつや、馬乳からつくられるお酒もあります。)
フルーツ(葡萄など)からつくる場合は、元々、糖分がありますから、そこに酵母が入り込めば、アルコール発酵がはじまり、お酒ができます。
穀物(米/麦/コーンなど)の場合は、はじめからは糖分がないので、デンプンを糖に変える「糖化」の工程が必要になります。
この糖化工程に使用する酵素が、西洋と東洋では異なるのです!
■シングルグレーン知多にもモルトが入ります!
穀物からお酒をつくる場合、「糖化酵素」の活用が必須です。
糖分が無ければ、お酒(アルコール発酵)はできません。
そして、その糖化酵素は、西洋と東洋では異なるのです!!
ビールやウイスキーでは、麦芽の糖化酵素を使って糖化します。
麦は収穫したそのままでは糖化酵素はありませんが、芽が生えると糖化酵素が発生するのです!
そのため、お酒の世界では
「発芽していない大麦=barley」と
「発芽させた大麦=麦芽=malt」は、
別物として扱います。
逆に言うと、麦芽がないと、ビールやウイスキーはつくることができません。
デンプンを糖化できないので、酵母がやって来てもアルコール発酵が起こらないからです。
よくこのような質問を受けることがあります。
これについては、これ↓が回答となります。
これは以前に記事にしています。
シングルグレーンウイスキー知多にも、モルト(麦芽)を使います!|チャーリー / ウイスキー日記
■糖化酵素
西洋は「麦芽」で、東洋は「麹」の糖化酵素で、デンプンを糖化します。
この糖化酵素の違いは、その土地の気候風土(例えば東アジアは湿潤なのでカビ≒麹が発生しやすい)や、連綿と受け継がれてきた食文化(主食が麦か米か?)などの歴史の違いによるものだと思います。
また、第3の糖化酵素としては「唾液」があります。
いわゆる『口噛み酒』ですね。
このように穀物からお酒をつくる場合、
・どの穀物からお酒をつくるか?
と同じくらい
・何を糖化酵素として活用するか?
は、そのお酒を特徴づける重要なポイントなのです。
■ライスウイスキーには麦芽が入ります!
繰り返しになりますが、西洋の穀物のお酒=ビール・ウイスキーには、必ず「麦芽」を糖化酵素材の役割として使用します。
つまり、
は、その糖化酵素が
のどちらなのか? というのが製造上、そして酒類文化史上の違いなのです!
まとめると、ライスウイスキーと米焼酎の決定的な2つの違いは、
ということなのです!
■次回は
ライスウイスキーについてのおまけの最終回です!