相続の基本4(相続人④兄弟姉妹・親の兄弟姉妹はどこに?)
亡くなった方(被相続人)に子がある場合は子が相続人になります。もし子がなかった場合その直系尊属が相続人になる話は前回書きました。子がなく、直系尊属もない場合は兄弟姉妹が相続人となります。兄弟姉妹はあくまでも子、直系尊属がない場合相続人になります。
配偶者は常に相続人ですので、兄弟姉妹が相続人になる場合の組み合わせは、配偶者と兄弟姉妹又は兄弟姉妹です。
実は相続人を確定する際、結構時間がかかることがあるのが兄弟姉妹が相続人になる場合です。
普段から配偶者の兄弟姉妹と行き来があればいいのですが、生まれた土地を離れ長年兄弟姉妹と没交渉という方も珍しいことではないかもしれません。亡くなった配偶者の過去の戸籍について詳しく事情を聞かされていなかった方もいるかもしれません。
ところが、民法は子なし親なしの被相続人の相続人は配偶者と兄弟姉妹としています。配偶者が亡くなりその戸籍を取り寄せると、亡くなった配偶者の両親は実は何度か結婚を繰り返しており、その時点で初めて配偶者に別の兄弟姉妹がいたことを知ったなんてことも現実にあります。
その兄弟姉妹は亡くなっていて、彼らには子がいたが行方不明とかいうと更に難しくなります。
兄弟姉妹が亡くなっていてもその子は代襲相続人になれますから彼らを探す必要があります。(ちなみに子のみで兄弟姉妹の孫以下は代襲相続人になれません。)もし完全に消息不明だと、家裁に不在者財産の管理人を選んでもらうよう申立てが必要な場合も考えなければなりませんが、先ず兄弟姉妹又はその子を探し出す必要があるので、手間とお金がかかる可能性があります。
戸籍を取り寄せて初めて知った兄弟姉妹もしくは兄弟姉妹の子と連絡を取り、何らかの承諾をもらわないと相続手続きが出来ません。会ったことがなかった親族が被相続人の配偶者にとっていい方ばかりとは限りません。お金に困っている方もいるかもしれません。そうなるとその方達に法定相続分だけは財産をあげざるを得なくなります。被相続人にとって残された財産が現在住んでいるだけだとしたら、家を売って現金を作る必要があるかもしれません。仮に法定相続分は要らないと言われても、分割協議書等に判を押してもらうためある程度お金を払う必要が出てくるでしょう。
消息不明の兄弟姉妹やその子との相続紛争にならないためには(不明でなくても争いになりそうな場合も)被相続人の生前から遺言書を書いてもらうという方法があります。遺言書に相続人を被相続人の配偶者のみとすることを書いてもらえばいいのです。兄弟姉妹は遺留分がない(兄弟姉妹の代襲者である彼らの子にもありません。)ので、その場合相続財産は全て配偶者のものとなります。