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幽霊達が雨宿りへ誘ってくれました(全生庵)
地下鉄千代田線千駄木駅の団子坂方面出口を上がった頃は、曇り空ではあったが未だ降ってくる気配は感じなかった。それが交差点を渡り、三崎坂と呼ばれる道を谷中墓地に向かい数分行くとパラパラと雨が降ってきたので少し急ぎ足になる。やがて雨が大粒になり、慌てて駆け込んだところが全生庵であった。
目当ての幽霊画は本堂の2階に展示されていた。ざっと一周するが、何故か幽霊達に怖さを感じない。もう一度ゆっくり周り気付いた。彼らの目は決して我らの方は見ていない。彼らが睨んでいるのは我々ではなく、横の方向等の人物なのだ。
もちろん、絵の作者が見る者のことを恨む様に描いていたのなら、見る我々は震え上がっていたに違いない。でも彼らが恨んでいるのは、世間であり仇である。だから寧ろ見に来てくれる者は彼らの味方と思ってくれているのではないだろうか?
その証拠に絵を見てお堂の外に出るとさっきの雨はすっかり上がっていたのだ。