ボノボの世界は穏やか!
日経にアフリカに住む類人猿ボノボの研究についての記事があった。ボノボはチンパンジーと同じく人類に最も近い類人猿で、生活環境は似ているが、オスの子殺しや殺し合いは確認されておらず、メスが強くて平和的な種族だという。
理由としてはチンパンジーのメスが出産後3~4年は排卵せず、発情期も短い(5~6年に60日程度)ので、この短い期間を巡って激しいオス同士の抗争が生まれるという。これに対し、ボノボのメスの排卵はチンパンジーと同じながら、発情期は1年ほどで再開するため発情期がチンパンジーの8~10倍。発情期を巡るオスの争いがなくなり穏やかな集団となっているという。
ボノボが穏やかな要因としてもう一つ。メスが集まって行動しており、強いメスが集団の中心にいて年下のメスを助ける傾向があることも挙げている。例えばしつこいオスをメスが協力して排除したり、自分の子を集団で育てたりするそうだ。
ところで猿人と比較しては申し訳ないが、ヒトの場合ボノボより更に発情期が長いけれど、女性を巡る争いは絶えない。(ボノボの場合、乱交であるので比較対象とはならないが。)戦争も多い。
もちろんヒトの場合はメスを巡る争い以外にも様々な争いのタネがある。もし争いが少ないのが進化した集団とするならば、ボノボより多くの点で進化したはずのヒトは、争い部分では退化してしまったのだろうか。
もう一つ。ボノボの集団はメスがトップにいることで穏やさを確保している。ヒトの集団も女性のトップが増えると争いが少なくなるのだろうか?この点も進化によりジェンダー格差が無くなってきている今のヒトでは、男女どちらが集団のトップに立ってもあまり変化がないのかもしれないが。