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同じ職場でも大切にしたいことは、人それぞれ。

 大き目の書店の本棚を眺めていると、ときどき、『こんな本が出ていたんだ!』と、不思議な出会いがあるように思います。この本も、そんな出会いを感じた1冊です。

 キャリアカウンセラーの養成講座のテキストの中で、キャリアカウンセリングに関する心理学のパートがあって、その中でも終盤に出てくるのが、エドガー H. シャイン博士の理論です。シャイン博士と言えば、『キャリア・アンカー』というくらいに、試験対策としては理論の中身よりも理論の名称の方が色濃く残っているように思います。養成講座の中でお世話になっていた講師の先生が資格取得後に、シャイン博士の講演会を聴きに行かれた時のエピソードを今でも強く覚えているのですが、冒頭に同じようなことがかかれていました。

 アンカーとは、船の錨のこと。仕事をしていく中で自分自身が大切にしていることを8つの視点に分類し、表現したものが、『キャリア・アンカー』であると私自身は理解しています。どんなものでも分類していくと、それ自身があたかも何らかの答えというようにとらえてしまうと思うのですが、養成講座を受講していた当時、キャリア・アンカーはちょっと違う印象を覚えたことを、今でも強く記憶しています。そして、それと同時に何だかしっくりこなかったようにも思います。

 あらためてこの本を読み進める中で、どのようにこのキャリア・アンカーが8つになっていった経緯などを読み進めていくことで、しっくりきた部分もありましたし、自分自身が社会人としての経験を深めてきた今だからこそ、理解できるようになったということが正しいのかもしれません。

 養成講座の先生からお聞きしたこと、そしてこの本の冒頭でも真っ先に書かれていたこと。『社会人経験のほとんどない、学生には当てはまらない』ということ。この本を読み進める中で、すごく腑に落ちた気がします。

 キャリア・アンカーはアセスメントなどで分類できるような簡単なものではなく、キャリアカウンセリングを進めていく中で見極めていくものであるということが、あらためてわかってきました。そんなことも頭に置きながら、ある程度社会人経験のある方とは、カウンセリングを進めていけるように、自己研鑽していきたいと、強く感じました。

 キャリアカウンセリングの実践の中で、新たな切り口が欲しいという方や、10年以上仕事をしてきて、これから先のキャリアについて考えていきたいと感じている方にとって、おススメの1冊です。

シャイン博士が語るキャリア・カウンセリングの進め方ー<キャリア・アンカー>の正しい使用法ー
エドガー H. シャイン 著 株式会社白桃書房発行 を読んでの感想

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