その普通が、いちばんむずかしい。
ARE。2023年にどこを向いても目に入ってこない事はないくらいに、色々な所で飛び交っていた言葉。実は阪神が好きだったりもするので、去年の野球は本当に楽しませていただいた感じです。もっとも、どっぷりというわけではないので、熱狂的なファンの方々からすると、疑われるようなこともあるけれど、テレビとかで映像が流れてきたら、そのままになってしまいます。きっかけは、小さい頃に親に好きな帽子を買ってあげると言われて、何も知らずに手に取ったのが縦じまのあの帽子。それからちょっぴり野球に興味が出て、という感じ。そして今に至ります。
ちょっと前に、本屋さんで目に入ってきたのが、現在の阪神タイガースの監督、岡田 彰布さんの書いた本。他の本を買った時に一緒にレジに持っていったのですが、ようやく最近になって、ページを開きました。
最初に思っていたのは、野球のことや、チームのことについての考えを書き綴っているのだろうということでしたが、読み進める中で、野球のことというよりも、組織やマネジメント、職業人としての仕事への向き合い方のようなものを強く感じるようになっていきました。
一度、阪神の監督をされた後に、一度阪神を離れて時間をあけてからまた戻ってきて。常に岡田監督の周りには、様々な分野でトップにいらっしゃるような方々を中心とした人脈があって、そのような方々の視点や情報を常にインプットされていたのだと思います。ただ、その情報をすべて鵜吞みにするのではなく、一旦は受け入れたうえで、ご自身が確かめたり考えたうえで受け入れるかどうかを、ご自身の判断軸で決めてこられている。監督という立場であれば、当たり前のことなのかもしれませんが、その決断と責任を常に持っていらっしゃるという、覚悟とプレッシャーを強く感じました。
野球のプレイヤーとしての活躍も素晴らしいと感じていましたが、監督をはじめとした指導者としてのキャリアについての記述から、それぞれのポジションでの視点だけでなく、ご自身が別の立場であったとしたら、どのように判断するのかということを常に考え続けてこられていた姿を感じ。1つひとつの積み重ねがあったからこそ、2023年の結果があったということなのだと思います。
岡田監督の考え方として特徴的だと感じたのが、『今ある戦力で勝つために、それぞれの長所をどのように組み合わせていくのか』ということを常に意識しているということ。そして、野球以外での人としての当たり前のことを、見ていらっしゃるということ。これはどんなビジネスにも、人間関係にでも共通する考え方だと思います。
今年の野球はまだ、先が長いですが、試合の見方や楽しみ方もまた少し変わりそうだと感じる、そんな素晴らしい本に出会いました。やっぱり、根本は人間性と縁。プロフェッショナルにこそ、必要なことなんですね。
『普通にやるだけやんか オリを破った虎』
岡田 彰布 著 Gakken発行を読んでの感想