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世界に広がる、『食』のKANDO。
「丸亀製麺って、トリドールがやってるんだって。」「へー。そうなんだ。」
丸亀製麺のお店が各地に広がりはじめた頃、地元の飲食系で働いていた知人とそんな会話をした記憶があります。それからあれよあれよという間に、国内だけではなく海外にまでお店が広がっていって、さらには様々な業態もグループで展開を続け、スタッフの数は4万人を超えるそうです。
20代の頃、トリドールさんにはよくお世話になっていて、職場仲間との飲み会などでよくお邪魔していましたが、地元を離れてからは足が遠のいていました。丸亀製麺自体も、大学生時代に高松で過ごしていた私にとっては、『丸亀』という地名も讃岐うどん風のお店のスタイルということにも、なじみがあって、見つけて食べに行ってうれしくなったことを覚えています。まさかこんなにもお店が増えていくとは思いませんでしたが、讃岐うどんが恋しくなると、食べに行きたくなるお店です。
ただ、時間帯や場所にもよりますが、香川の人気の製麺所のように、入口まで人がずらりと並んでいるお店も多く、それでも人が並んでいるという状況。基本的に並ぶことはあまり好きではないので、列が多いとあきらめてしまうことも多いですが、それでもお店のつくりや職人さんをはじめとしたスタッフの方々の動きを見ていると、あまり待った感じもせずに食べられることも多いように思います。
この本を通して、最初のお店を構えるに至ったことから、様々な困難を乗り越えて、今の丸亀製麺を筆頭に数々の業態にチャレンジしてこられたかということが紹介されています。その中から、粟田さんがどのようなことに着眼点を置いて展開を進めてこられたかということが、語られるように伝わってきたように思います。
現在では、日本国内だけでなく、海外に向けてもパートナーを得て、現地にも溶け込みつつも、コンセプト自体はブラさない。そんな意志を強く感じました。グローバル展開を進める中で経営理念を再構築され、コンセプトに関してもわかりやすくシンプルにされていて、どんな国のどんなポジションの方にとっても伝わりやすいものになっているのだと感じました。
物事の展開のスピード感や、判断の速さ、徹底的に『感動体験』という考え方に合うかどうかを見極めながら、どんどん権限委譲していく。組織を大きくしていくことや、大人数をどのようにまとめていくかということでヒントが欲しいという方にとっては、とても参考になるのではないかと思います。
『感動』という言葉が、『KANDO』という言葉で世界中西良らる日も、そう遠くない未来に起こりそうな、そんな予感も感じさせられた、素敵な本でした。
2024の最後も良い本と巡り合えたことに、感謝。うどん、食べたくなってきたかも。
「感動体験」で外食を変える 丸亀製麺を成功させたトリドールの挑戦
粟田 貴也 著 宣伝会議発行を読んでの感想