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純粋な思いを、正しくつたえると・・・。

 個人的に、あまり大きな会社で働いたことはないので、トップの言葉を全く聞く機会がないということは経験したことがありませんが、大きな会社で働いている方のお話を聞くと、トップの考えなどを、社内よりも社外で目にすることが当たり前にあるという方もいらっしゃいました。

 竹村さんの本を読んだのは、結構久しぶり。コピーライター養成講座に通っていて、どんどん出される課題につらくなりはじめたときに本屋さんで、『書くのがしんどい』というタイトルを目にして、すかさずレジに駆け込んだあの日以来。Xやnoteはたまに少しのぞかせていただいていますが、竹村さんが少し前から書いていらっしゃったことが、ようやく少し理解できたような気がしています。

 「経営者の側に、顧問編集者が必要だ」というようなことを、いろいろな場面で、竹村さんが仰っていましたが、個人的にはてっきり、うまい文章を書いてくれる人がいると、ビジネスに良いということだと思っていましたが、この本を読み進めるうちに、それだけではないということに気がつきはじめました。お硬い、きれいな文章は、ホームページなどのオフィシャルな場にあって、業者に依頼すれば、それなりに作ってくれますが、あまり体温を感じない、乾いた印象の少し冷たい文章なことが多いように思います。

 私たちが例えば、人と出会って仲良くなるというプロセスを考えると、外面のきれいな部分でのコミュニケーションではなく、その人の内面や、どんなすごい人であっても少し抜けているような、人間らしい部分なのではないかと思います。そのような『人間らしさ』を、素直に言葉に、そして文章にできる人は、そんなに多くないのだと思います。そして、自分が伝えたいことを思いのままに伝えることができる人は多いとしても、伝えたいターゲットに響くような、知りたい心をくすぐるような文章を書ける人もあまりいないのではないのでしょうか。

 だからこそ、自分ではない誰かの問いや、取材という形で話を引き出してもらうことによって、『純粋な思い』が言葉になって現れ、人の心に響く文章として歩きはじめるのだという風に、私は感じました。

 そう言われてみれば、時代劇などを見ていても、お殿様の側には参謀のような方や、何でも相談できるような知識や思慮の深い方がいて、会話をしながら、思いや考えを明確にしていく様子が描かれていることもよくあるように思います。歴史に名を残してきた方々には、言語化をサポートするような存在がいたということなのかもしれません。

 キャリアカウンセリングなどの場面でも、なかなか自分の経験をうまく伝えることができなかったり、自分自身の過去に自信が持てなかったりする方もいらっしゃいます。言語化してしっくりくる、自分でも納得できる言葉に出会う。そんな瞬間は、誰しも嬉しいと思いますし、自信にもつながるはずです。

 この本の後半では、社長の言葉をどのように、どれくらいの頻度で伝えていくかなどのヒントもギュッと詰め込まれています。行き詰まったり何かを書きはじめたりする前にも、参考になるように思います。

 そう言えば最近初めてお会いする方が、ここの文章を読んでくださっていて、お話してくださることがたまにあります。ちょっぴり恥ずかしい気もしますが、少しは人となりがにじみ出ているのかなぁ。

『社長の言葉はなぜ届かないのか? 経営者のための情報発信入門』
竹村 俊助 著 総合法令出版発行を読んでの感想

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