ドラマ99.9刑事専門弁護士から学ぶコーチングスキル
我が家の子供たちが好きなドラマで99.9刑事専門弁護士というドラマがあります。
ご存じない方のために簡単に説明すると、松本潤さん演じる刑事事件を専門に扱う深山弁護士が日本では99.9%の確率で有罪とされる刑事事件に対して被告人側の弁護人として活躍するドラマです。
私自身は全ての回を毎回見ているわけではなく、子供たちが見ているタイミングで見る機会があれば一緒に見るようなスタンスです。
そんな熱心なファンというわけでもない私から見て、ドラマ中に出てくる深山が被告人含めた関係者に話を聴く場面を見て、私がコーチとして非常に参考になると思うことが2つあります。
1.被告人の生い立ちから聴く
通常であれば、ほとんどの弁護士は被告人と初めて面会した際には、今回の事件についての被告人の言い分やアリバイを聴くのだと思います。
一方で深山は必ず被告人のこれまでの生い立ちから聴きだします。多くの被告人は意外に思いながらも生い立ちを話し始めます。
生い立ちから話してもらう理由をドラマの中で深山本人が話したのかどうかは私は知りませんが、私なりに3つの理由があると思います。
①被告人の人となりを知る
被告人がこれまでの人生でどんな人生を歩んできたのか?今回の事件につながるような話があるのかを確認しているのだと思います。生い立ちを聴くことで、その被告人の価値観を知ることができるかもしれません。
②被告人の話し方の癖を知る
人はそれぞれ口癖や独特な言葉の定義を持っている場合があります。例えば何か考えている時は左上を向くとか、言いたくない話の時は目をそらすといった観察ができるのでしょう。相手が独特の言葉の定義を持っていたりすると、後から大きな誤解につながる可能性があります。さらに相手の話し方が情緒的なのか、それとも論理的なのか?ということを把握しておくと、実際に事件の話を質問する際の質問の仕方にも役立つのだと思います。
③信頼関係を築く
最後が私が最も重要だと考えるポイントですが、被告人との信頼関係の構築をするために生い立ちを聴いているのだと思います。
被告人という立場で拘置所にいる人間にとって、現れた弁護士が信頼できるかどうか分からない不安を持っていたり、この弁護士も自分を疑っているのではないか?と疑心暗鬼になったりしていることでしょう。
また、外の人との接触が制限され、孤独感にも陥っていることでしょう。
そんな中、文字通り聞き耳を立てて、自分の生い立ちから真剣に話を聴いて、熱心にメモを取ってくれる弁護士に好意を抱くことは間違いありません。
私の場合、コーチングにおいては最初に過去の生い立ちを聴くことはありませんが、信頼関係の構築は最も重要なポイントでこの部分が欠けていると質問が尋問に聞こえてしまうことすら考えられます。
そういった意味でも生い立ちから確認するという深山のルーチンは大変理にかなっていると思います。
2.事実を確認する
深山が何度も繰り返す言葉の中で「私は事実が知りたいんです」という言葉があります。毎回事件の再現を行い、矛盾点を洗い出します。
深山のクールな性格から同情や義憤といったものよりも、ただひたすらに起きた事実に対して深く掘り下げたいという研究者のような姿勢を感じます。
意外と思われるかもしれませんが、特にクライアントさんが何か問題を抱えていて、その解決策を見つけるためにコーチングを受けている際にはコーチングにおいても事実を聴いていくことはとても重要です。
なぜならば、感情は相手のその時の状態によって変わってしまいますが、事実は変わりません。皆さんも起きた当初はショックが大きかったことも時間がたつに連れて、少し冷静になれたということがあるかと思います。
変わらないものに焦点を当てて聴いていくことで、クライアントさんの多くは自分が問題として認識していたことを客観的に把握することができます。そしてクライアントさんの課題は「事実に対する自身の認知の問題であること」を冷静に見ることができるようになるのです。
読者の皆さんもラジオの相談番組等を聞いたり、人からの相談話を聞く機会があると、「なぜそんなことに悩んでいるんだろう?」と思ったりする機会があると思います。
一方で当事者にとってはそれは大問題で、解決策が見当たらずモヤモヤしたり、時にはイライラしたりします。
つまり、自分のことをまるで第三者かのように客観視することができれば、意外と簡単に解決策が見つかったりすることがあるということです。
コーチはいわばクライアントさんの客観視のお手伝いをするのが役割の一つです。
深山の破天荒な行動やギャグまで取り入れる必要はありませんが、コーチとして深山の姿勢から学ぶことはあると思います。
普段何気なく見るテレビ番組からも学びは得られる、そんなことを今日は書いてみました。