深夜のかりすま名画座:レイニーデイ・イン・ニューヨーク
レイニーデイ・イン・ニューヨーク
ギャツビーはモラトリアム只中の大学生。都会の裕福な家庭に生まれましたが、富裕層としての品格や教養を押し付ける母に反発していました。
彼の恋人アシュレーは都会とジャーナリストに憧れる、田舎育ちの女学生。彼女は大学の実習課題として、映画監督ローランド・ポラードに取材すべくニューヨークを訪ねる事になりました。
ギャツビーはアシュレーをエスコートし、マンハッタンの町を歩く休日を夢想し舞い上がります。
然しアクシデントが続々と発生し、デートどころではなくなります。ギャツビーの母との衝突、元恋人の妹チャンとの再会。アシュレーに言い寄る映画関係者たち。全てを包み込む様に優美なピアノジャズが響き渡ります。
青年ギャツビーが精神的自立を果たす上で母や恋人が何者であるかを知り、それを通じ自己理解をも深めて行きます。
物語全体を通して劇的な展開は見られず、大雑把に表現すると「日常映画」という印象です。刺激を欲する際に適さない内容ではありますが。会話劇の皮肉っぽさ、ギャツビーによるピアノ演奏のピュアさが心の栄養になった感覚があります。
余談ですが。セレーナ・ゴメス氏に関しお名前は存じ上げていますが、お姿を初めて目にしました。
彼女が演じるチャンが可愛らしいのですが。チャンがギャツビーに自分の存在をアピールする場面、その反応の素っ気のなさ。ギャツビーが恋人に振り回されながらも一途に想っている事が分かる、彼に好感を持てる描写ではありますが「おいおい」「このやろー!」と、野次を飛ばしながら観ていました。笑