見出し画像

腰と要(かなめ)

腰を落として。
腰を入れて。

学生時代から民俗芸能を学んできた私は、腰を低くし、足の裏全体で地面を踏みしめて舞うことの大切さを、何度となく言われてきました。

最近体調を崩し、踊りの恩師に相談に行ったところ、慣れ親しんだ大好きな踊りの一つを踊り込むようにアドバイスされました。

腰を低くしたり、伸び上がったり回転したり。
見た目は軽快ながら、とにかく動きが激しく、たった5分で息が切れるハードさ。
それなのに、これを踊っている時は、体調不良が消えます。
(ただし、やり過ぎると、筋肉痛が…)

さすが先生、と思いつつ、久しぶりに踊った踊り、一体自分はどのように動いているのだろうと気になり、相方さんに動画を撮ってもらいました。
そうしたら!
両足とも浮き足立ち、手足の動きだけでかろうじて形を整えているような舞姿でした。
うわぁ、私、こんなに下手だったのかな。
さすがにショックを受け、先生に報告したところ、即座にこんなコメントが返ってきました。

調子の悪い時ってそうなんですよ

鳥が枝に止まっているように「腰を低くして=腰を入れて=丹田をしっかりさせ」足の裏で床を掴みましょう

鳥が枝に止まっているように。なるほど!
そして、また腰かぁ。
数十年来の課題、腰を入れることに、今また必死にくらいついているところです。

さて、踊りの稽古の時に、腰の話が出てくると、時々話題にのぼるのが腰という漢字でした。体を表す肉月と、要(かなめ)という字でできている。つまり、体の中心なんだ、と。

諸橋大漢和辞典の記述をあたってみました。

小篆の字形にご注目。

腰と要は同じ。
そして、要という字は、腰は人体の中央部にあり、左右の手で支えている形。そこから、かなめの意味が生じ、肉篇を加えて腰の字になるとあります。

漢字を調べがてら、腰について調べているうちに、興味深い記述に行き当たりました。

人間の骨格上、一番強いのが腰です。腰椎は背骨の中で一番太い部分です。
人の体は、上半身の力みが抜けてくると骨盤の中に力が集まり、重心が中心に寄ってきて、足腰がしっかりとしてくる構造をしています。
重心が骨盤の中に落ちてくると、自然と仙骨を両サイドの腸骨がしっかりと挟むような力が生まれてきます。 
結果、動く時に軸がブレにくくなり、余分なエネルギーを使わないために疲れにくくなります。
腰がしっかりすると姿勢が良くなり、視野が広がります。また胸郭が緩んで広くなり、呼吸もしやすくなります。

しゅとう整体

頭、肩、手に力みがなく、足、腰がしっかりとしている身体の状態を、上虚下実というそうです。
腰は身体のかなめ。
まさに、です。
だから腰を入れて踊りを踊ると身体が整うんですね!

身をもって知る身体の不思議です。

おまけ

私が踊り込みを指示された踊りです。
地元の方達、軽やかに舞われていて、さすがです。

おまけ2

上虚下実という言葉を、フランネルさんが記事にされていました。身体の重心を丹田に持ってくることは、心を静かに平らにすることにつながるそうです。


いいなと思ったら応援しよう!