17年前、乳がんを患った母はその時に温存療法として乳房の一部を切除した。
私は小学生だったか。
その頃から母は痛いが口癖になっていたように思う。
天気が悪いと傷が痛むようだった。
正直そのくらいの記憶しかない。小学生の記憶なんてそんなものなのかもしれない。
しかし、一つだけ、覚えていることがある。
彼女は、自分が障害者になったみたいと言った。
みんなと違って、変な形になってしまったんだと小学四年生の私に切なく口にした。
彼女は周囲と異なることを極端に嫌っている。
それから温泉好きだった母は一気に消極的になってしまった。