[ゲーム雑感]「バイオハザード RE:3」
(ゲームストーリーの核心的部分のネタバレを含みますので、未プレイの方はご注意ください。)
少し前に「バイオハザード RE:3」をクリアいたしました。
本作は、1999年に発売された「バイオハザード3 LAST ESCAPE」を現代の最新技術で作り直したリメイク作品で、同じくリメイク作品である「バイオハザード RE:2」から続くREシリーズの第二弾となっております(chapagiはRE:2もクリアしております。)
(以下ネタバレを含みます。)
ホラーゲーム作品としてのバイオハザードシリーズ、特にその原点的作品ともいえる「バイオハザード1、2、3」のストーリーについてはご存じの方も多いのではないかと思いますが、そのストーリーを例によって恐ろしく単純化してしまえば、
・アメリカ中西部の「ラクーンシティ」発祥のグローバル製薬企業である「アンブレラ社」は、その裏の顔として極秘裏に違法な生物兵器の研究・開発を行っており、その一つとして、「Tウィルス」という、感染した人を恐ろしい「ゾンビ」へと変貌させてしまうウィルス兵器の開発に成功します(「バイオハザード1」)。
・しかしながら、アンブレラ社における社内政治・開発成果の争奪に端を発するある事件により、アンブレラ社の管理する洋館や研究施設においてTウィルスの流出事故が発生し、そこから研究施設につながっていた下水道に生息するネズミを通じて、ラクーンシティの市民に次々とTウィルスの感染が広まり、街はゾンビが闊歩する地獄へと変貌します(「バイオハザード RE:2」)。
・ラクーン市警の精鋭部隊S.T.A.R.Sの一員であるジル・バレンタインは、洋館で発生したTウィルスの流出事故(「洋館事件」)に遭遇し、そこからアンブレラ社による違法な生物兵器の研究・開発を知ることとなり、地獄へと変貌したラクーンシティになおも留まり、S.T.A.R.Sの他の隊員とともに、アンブレラ社に対する独自の捜査を続けてきました(「バイオハザード1」、「バイオハザード RE:3」)。
・アンブレラ社上層部は、流出事故の隠蔽工作の一環として、ジルを含むS.T.A.R.S隊員を抹殺するため、Tウィルスを応用して開発した生物兵器「ネメシス」(追跡者)をラクーンシティに解き放ち、ここからジルとネメシスとの壮絶な逃亡劇・追跡劇が始まります(「バイオハザード RE:3」)。
というものです。
バイオハザードシリーズは、カプコンの代名詞ともいえる看板作品であり、ナンバリング作品だけみても、1996年発売の初代「バイオハザード」から2017年発売の「バイオハザード 7」まで相当な数が出ており、RE:2やRE:3以外にも多くのリメイク作品やリマスター作品があります。
そのような連綿と続く歴史がある中で、chapagiを含むバイオハザードファンは、REシリーズ第一弾であるRE:2のグラフィックの美麗さにまずは驚いたのではないでしょうか(次は、ラクーン市警庁舎にトイレが設置されたことでしょうか笑)。
「フォトリアルなグラフィック」・「説得力の高い世界観のイメージ」を目指して開発されたREエンジンによって作り直された、RE:2の主な舞台となるラクーン市警庁舎の雰囲気・世界観には本当に驚きました。
バイオハザードシリーズの影の主役ともいうべきゾンビが怖いのは言わずもがなですが(ゾンビの噛みつきの間や倒れるまでの間などのタイミング的恐怖演出にはカプコンスタッフの並々ならぬ熱量を感じました笑)、正直、ゾンビがいなくても探索するのが嫌になるほど、壁や床の質感に始まり、ライトや照明器具の光の反射に至るまで細部の表現が作りこまれていて、カプコンのホラーゲーム作りの巧みさを改めて実感しました(「The Last of Us Part Ⅱ」のアビー編における病院がずーっと続くような感じです笑)。
そして、RE:2をプレイし終えた人は皆さま、こう思われたのではないでしょうか。「この技術でラクーンシティ市街地の街並みとジル(の美しさ)とネメシス(の怖さ)を表現したら一体どうなっちゃうの。」と(RE:2はラクーン市警庁舎などの屋内がメイン舞台なのです。)。
こうなりました笑
(カプコン公式HPのイメージより)
すごすぎますね、REエンジン。
映画を観ていたり、ゲームをプレイしていたりすると、「住みたいな」と思う街とともに、「住みたくないな」と思う街が舞台として出てくることがあります。
映画ですと、
デヴィッド・フィンチャー監督の「セブン」の「街」(なんだかほの暗くて、ずっと雨が降っているような気がして陰鬱な街並みです。主人公の奥様が「この街が嫌い」と告げるシーンがあります。)
ゲームですと、
SIRENシリーズの「羽生蛇村(はにゅうだむら)」(人外の生き物(死人)が住んでいます。)
には「絶対に住みたくないな」といつも思います。
でも、観た人やプレイした人に、「住みたくないな」と思わせる「街」を映像的に表現するというのは、並々ならぬ技術や舞台考証が必要とされることだと思います。そういった事情を反映してか、そのような「街」が出てくる映画やゲームには名作が多いと思います。
バイオハザードシリーズにおけるラクーンシティにも、「住みたくないな」と思わされる要素が随所にあります。
(その要素の大部分は、アンブレラ社幹部による企業体質や同社がラクーンシティ幹部と癒着するなかで築かれてきたものなのですが。)
バイオハザード・シリーズに出てくるアンブレラ社は、ゾンビの基本原則の中でも抜きん出た企業の無能さを晒している。この多国籍企業の政治力が明白なものである一方で、その組織としての能力は非常に疑わしい。(中略)企業アクターとしてのアンブレラ社の唯一の分かりやすい成功は、主要なメディアで自らの過去を隠蔽できたことだけである。-ダニエル・ドレズナー(谷口功一・山田高敬[訳])『ゾンビ襲来 国際政治理論で、その日に備える』(白水社、2012年)125頁‐126頁
2021年には、ナンバリング作品として、「バイオハザード ヴィレッジ」(バイオハザード8)も発売される予定ですので、皆さまも是非、バイオハザードシリーズをプレイしてみてください。
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