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かんぱいは魔法の言葉
私は結構お酒に強い方だと思う。
ブルガリアにいた頃はよく1人酒をしていた。
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私は発達特性からか、好奇心が湧くと、何も考えずに突っ込んで行くようなところがある。
そんな私は、今思うと何やってんだって思うようなお酒話がいくつかある。
私の住んでいたプレヴェンという町は、道を歩いているとそこかしこに個人の食料品店があった。
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お店で何か買って食べたりする用のテーブルとかイスが、多くの店先に置いてあって、みんなそこで自由な時間を過ごしていることが多かった。
私はその日、休日で気分も良かったし、朝カフェでもするかと1人ぶらぶら道を歩いていた。
ある個人商店の前を横切ろうとした時、店先のイスに座った知らないおっちゃんに話しかけられた。
おっちゃん「きみ、日本人?」
私「はい、医学生です。」
おっちゃん「ラキア好きか?」
ラキアはアルコール度数40%超えのブルガリアの地酒である。
最近のブルガリア人の若者は好んで飲まないらしいけど、個人的には結構好きだった。
だから、めっちゃ好きですって答えた。
その時のブルガリア人のおっちゃんは、日本人が外国人に寿司が好きか聞いて、うんって答えてもらった時のような、そんな気分だったんだろうね。
気をよくしたおっちゃん、なんと店の冷蔵庫からワンショットサイズのラキアボトルを持って来て、一緒に飲もうと差し出してきた。
まぁ、私の目の前の冷蔵庫から持って来たボトルだし大丈夫か...
おっちゃん&私「ノズドラベイ(乾杯)!!」
ラキアを飲み干して、お礼を言って立ち去った。
もちろんカフェには行かなかった。
別の日の話。
その日私は、大学を卒業して本帰国のフライトに乗っていた。
これが日常で英語を話す最後の日になるのかと思うと、無性に隣の席の人と話したくてたまらなくなってしまった。
客室乗務員が機内ドリンクを運んでくる。
隣の席のおっちゃんがワインを頼んでいたから、私も真似てワインを頼んだ。
それが、私が飛行機内で初めてお酒を飲んだ経験だった。
私「あの、どこの国からいらしたんですか?」
おっちゃん「ドイツだよ。」
私「ドイツ語で乾杯ってなんて言うんですか?」
おっちゃんとドイツ語で乾杯した。
あまりにもピッチが早い私をドイツ人のおっちゃんは心配したのだろう。
もっとゆっくり飲めと言ってきた。
初めて機内で飲んだ私は知らなかった。
飛行機内で飲むと、揺れと気圧でめちゃくちゃ酒の回りが早いことを。
おっちゃんの心配は正しかった。
その数十分後に機内のトイレでリバースする事になるから。
『立つ鳥跡を濁さず』
その言葉が脳裏に浮かんだ。
顔見知りじゃない他国の人とお酒の席で距離を縮めたければ、「どこから来たの?あなたの国の言葉で乾杯ってなんて言うの?」って聞いて乾杯したら、大抵仲良くなれると思う。