読書記録37『朝からロック』
後藤正文『朝からロック』
(朝日新聞出版 2023年)
ミュージシャンが政治を語ると途端にきな臭くなるような風潮がある。(実際きな臭い人とそうでない人がいると思うのだけれど。)
もちろん波風を立てずになにもしなければ、スムーズに音楽活動ができる。万人に受け入れられやすい。しかしそれは、そもそもやりたいことなのかあるべき姿なのか?
がむしゃらに若い頃に仕事などしてきて、ふと一息つくと40代。少し周りも見えるようになってきて、いままでやってきたことや発した言葉や思考を振り返るようになる。これはゴッチと全く同じだ。そして、自分は何をするべきか。どう他者とかかわっていくべきかを考えるようになった。
政治と民衆、生活。
音楽も然り。切り離せないし、切り離す必要もない。間違うこともあるし、ぶつかってしまうことも出てくるだろう。他者の意見をよく聴き寄り添えればそれでいいんじゃないか。間違ったと思ったらごめんと謝ることができればそれでいいんじゃないかと常々…。
ゴッチの文章は、やさしい。
寄り添うような文章だ。
読了後、少し人生の先を歩く先輩の後ろ姿をみているような感覚になった。
コロナや震災。忙しなく進む日常が突然止まった時に本当に大切なものは何なのかに気がついた人は多い。明日からも大切にしていきたい。