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「学びに向かう力」の育成と評価 #8改めて整理する新しい学習評価

1.本稿のポイント

新しい学習評価で整理された3つのポイントのうち、主体的に学習に取り組む態度について、改めて整理した。

<本稿の結論>
・「主体的に学習に取り組む態度」は、性格や行動ではなく意思を評価する。
・「主体的に学習に取り組む態度」は、教師の評価に加え、自己評価や生徒の相互評価を材料とする・
・シラバスやワークシート活用したPDCAサイクルの考え方と実践を育成し、評価する。
・「自己調整学習」というカギ概念を生かす。


2.「主体的に学習に取り組む態度」の評価対象ーー何を評価するのか

・性格や行動面を評価するのではなく、意志的な側面を評価する。

継続的な行動や積極的な発言を行うなど、性格や行動面の傾向を評価するのではなく、各教科などの「主体的に学習に取り組む態度」に関わる評価の観点の趣旨に照らして、知識及び技能を獲得したり、思考・判断・表現力を身に付けたりするために、自らの学習状況を把握し、学習の進め方について思考錯誤するなど自らの学習を調整しながら、学ぼうとしているかどうかという意志的な側面を評価する。

3.「自己調整学習」に関する研究の蓄積

・「粘り強い取り組み」と「自らの学習を調整する」というキーワードをより具体的にする。

アメリカでは「自己調整学習」に関する研究が蓄積されてきた。この自己調整学習のポイントは次の9点となる。

・自己の学習目標を立てる。
・自己の学習計画を立てる。
・学習意欲をもって粘り強く取り組む。
・自己の学習の様子をメタ認知(俯瞰)する。
・自己評価してより主体的に学ぼうとする。
・学び方を選択する。
・学習環境を選択する。
・学習に必要な情報や支援を求める。
・学習ログ(記録)を取り、振り返る。

このなかで、学校という教育現場で生徒と教師でともに進めていけるものを考えてみる。

4.評価方法ーーどう評価するのか

・従来の教師による評価に加え、生徒の自己評価・相互評価も評価材料に。

自己評価と他者評価を組み合わせ、自己調整学習の考え方も踏まえ、本稿では以下の評価方法を提案する。

① 教科や単元のまとまりをもとに、課題解決的な学習を進める過程で、到達すべき目標や評価基準を生徒が把握し、その目標に到達するための見通しをもつ。(学習目標をもち、学び方の選択や必要な情報や支援を考え、計画を立てる)

② ①の全体として共有する学習の見通しに加え、生徒個人が設定し、自己評価する目標を設定する。

③ 生徒の自己評価に加え、生徒同士の相互評価を通じた学習改善を進める。

④ 学習を進めていく過程で、学習ログを取り、振り返る機会を設ける。

以上をまとめると、いわゆるPDCAサイクルと一致するのではないかと思った。PDCAサイクルを教師や同級生からの他者評価と自己評価によって進めていくという考え方や実践力を育成するということにまとめていいのではないか。

以上の評価を行っていくための具体的な方法としては、次の方法を提案する。

① シラバスを使い、生徒が自らの学習の見通しを立てる。
② ワークシートを使い、学習計画を立てる。
③ ノートや振り返りシートなどを活用した学習ログの蓄積とアセスメントの機会を設ける。

これらのうち、②の学習計画以外については過去記事などで実践例を提示しているので批判的な評価をお願いしたい。

もちろん、従来通りの授業内の行動評価や発言、課題の提出などの評価をこれらに効果的に組み合わせることで、より多面的な学習評価につながっていると考えている。またシラバスを提示することは、教師側としても単元や学期、学年を通じて育成したい資質・能力を整理することができ、生徒の粘り強い取り組みと学習調整力を評価することにつながっている。

シラバスについてはまた次の機会に取り上げたいと思う。




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