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長編小説完結『メゾン・ド・モナコ』

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メゾン・ド・モナコのアパートの住人は、火の鳥の青年フウカ、水の妖の美女マリン、狼男のギンジ、男性アイドル猫又のナツメ、化け狸の少年ハク、貧乏神の春風。 そこへ、夢や仕事を失った人…
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記事一覧

メゾン・ド・モナコ 75

「わ、私も雇って貰えるんですよね!」 「サキさんにも言ったろ?君の力が必要だ。それに、君…

茶野森かのこ
1か月前

メゾン・ド・モナコ 74

サキの病室を後にしてから、なずなはどういう事だと春風を問い詰めたが、春風はどこかもったい…

茶野森かのこ
1か月前

メゾン・ド・モナコ 73

*** 町内会のイベントは大成功の内に幕を閉じ、それから数日後、なずなは自身で借りていた…

茶野森かのこ
1か月前

メゾン・ド・モナコ 72

  ** ふ、と夏の風が心地よく頬を撫で、春風は現在のメゾン・ド・モナコを見上げた。 笑…

茶野森かのこ
2か月前
1

メゾン・ド・モナコ 71

なずなは自分に頷いて、そっと深呼吸をした。 「良かった…これで心残りはありません」 そう…

茶野森かのこ
2か月前

メゾン・ド・モナコ 70

ライブが終わると、三人は温かな拍手に胸を熱くしたまま、感謝の思いを込めて頭を下げた。 ア…

茶野森かのこ
2か月前

メゾン・ド・モナコ 69

*** ライブの時間は二十分程、曲は三曲。 アパート内の二階への階段で、ふぅ、となずなは深呼吸する。なずなは衣装を着るでもなくラフな姿だ。マイクはラジカセに繋いだ、ギター一本のアコースティックライブ。久しぶりに人前に出るので、ここ一週間、ナツメのスパルタレッスンによって感覚を取り戻し始めていたが、緊張やら不安やらで落ち着かない。 せめて、ナツメがいてくれたのが幸いだが、その頼りのナツメが、なかなか姿を現してくれないので、なずなの不安は募る一方だ。 「…ナツメ君まだかな」

メゾン・ド・モナコ 68

「ここは昔、レストランだったって言ったろ?僕は昔、君のひいおばあさん…ヤヱさんがまだ若か…

茶野森かのこ
2か月前
4

メゾン・ド・モナコ 67

なずなもレストランを手伝いつつ庭の様子を眺めていると、ある人の姿に目を止めた。 「明里!…

茶野森かのこ
2か月前

メゾン・ド・モナコ 66

*** そうして時は過ぎ、今日はいよいよイベントの日だ。 キレイに整えられた庭には、チラ…

茶野森かのこ
2か月前

メゾン・ド・モナコ 65

「も、もしもし、久しぶり。ごめんね急に…今、大丈夫?」 『うん、大丈夫だけど…』 久しぶ…

茶野森かのこ
2か月前

メゾン・ド・モナコ 64

その夜、もやもやが止まらず、少し冷静になろうと、なずなは庭に出て、イベントの為に出してい…

茶野森かのこ
2か月前

メゾン・ド・モナコ 63

ふぅ、と溜め息を吐いて、なずなはアパート内の階段に腰掛けた。 目玉というか、イベントで一…

茶野森かのこ
2か月前

メゾン・ド・モナコ 62

*** それからなずなは、気持ちを切り替えて、レストランとイベントの準備に集中して取り組んだ。 どうにか手分けをして庭を更に整え、倉庫内に眠る品物のピックアップや、外でも寛げるようにと、ラグや椅子、テーブルも用意した。それらの物は、倉庫の角に眠っていた物だったり、紫乃や花屋の店主達が貸してくれた物だ。 倉庫に眠っていたテーブルは、シックなアンティークの物で、表面には細かな傷がついていたが、これが実際レストランで使われていたと思えば感慨深かった。そういえば、曾祖母のヤヱも